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その28 あるエスパー少女の回想 マコ子

研究所では三班ハの04号と呼ばれていた巴マコ子。

マコ子は研究所を脱走したとき、三班の仲間と一緒に行動した。

研究所を脱走したその日に、三班の5人はガラの悪そうな男から金を奪い、ネカフェで夜を明かす。

そこで、5人は生まれて初めてアニメを見たのだ。

それは深夜アニメの「魔法少女 まほか☆マギカ」というアニメだった。


生まれてはじめて見るアニメに、5人は釘付けになった。

そして強く共感をしたのだ。


運命にもてあそばれるように魔法少女になり、悲劇的な運命を進む登場人物たちに共感した。

エスパー部隊の兵器として生まれて、その運命から逃げられないでいる自分達が重なる。


とくに第3話めと第9話めでは、深夜のネカフェなのに、五人で抱き合って号泣した。

そこでは魔法少女の仲間が理不尽に死んでいったから。

いつか自分達も歩む運命を見る思いで、怖くて泣いた。


そして巴マコというキャラにひかれた三班ハの04号は巴マコ子を自ら名乗ったのだ。

ほかの4人の班員も、まほか☆マギカの登場人物にちなみ、鹿目まほか子、三木さなか子、佐倉あい子、暁美むら子と名乗り、一生懸命姿も似せたのだ。


そしてあの日。

自分達は、長井臣人というエスパー部隊のリーダーに逆らえず、仲間の畑野武の殺害に手を貸してしまった。


エスパー部隊のマインドコントロールの中に、リーダーである長井臣人の命令に逆らえないというプログラムも含まれていたからだ。

そのとき、巴マコ子は、自分は魔法少女から魔女に堕ちたのだと思った。


しかし、研究所へ襲撃をかけた日に、あの強力なエスパーの長井臣人が、荒川武威にあっけなく倒されたため、エスパー部隊は全員拘束されてしまう。


そこで自分達は処分されると覚悟した。

しかしそこで、出来損ないのはずの歌田芽衣が長井臣人に逆らって、友美を守ったことを知ったのだ。

それは巴マコ子だけでなく、すべてのエスパー達に衝撃だった。

歌田芽衣は、友美を守る為にマインドコントロールを破ったという意味だったからだ。


長井に逆らえずに畑野を殺した自分達が恥ずかしかった。


自分達の前に現れた荒川武威は言った。

「いまから君らのESP拘束具をはずす。まだ逆らえば殺さないといけないが、逃げるなら追わない。もしも行くところがなければ面倒もみよう。だがここに残ったら、俺の訓練を受けてもらう。友美を守る為に。」


当然行くところなどない巴マコ子たちは全員が荒川武威の元に残った。

そして初めて人として扱われ、妹か娘のように指導されることに喜びすら覚えたのだ。


しかも荒川武威は事あるごとにエスパー部隊に言った。

「みんな、君らは必要ならば必ずマインドコントロール破れる。自分の意思で必ず破れる。でも覚えておくんだ、マインドコントロールを破ったら、もっと恐ろしい呪いにしばられる。その覚悟が出来たら、きっとマインドコントロールは破れるよ。」


そこで巴マコ子は聞いた。

「マインドコントロール以上の呪いなんてあるんですか?」

荒川武威は頷いていった。


「ああ、自由という名の翼の裏には『自分の意思』という呪いがつきまとう。こいつは厄介なんだ。もう誰のせいにもできないのに、ありえないほど自分を『自分』が縛る。その呪いを受け入れる勇気が必要だ」

その時、巴マコ子は荒川武威の言葉の意味が分からなかった。

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