その7 イケメンマスターと呼ばないで
混乱する俺に麻草議員は笑いながら 語りかけてくる。
「あはは、ちょっと語りすぎてしまったかな。
だがイケメンスイッチが危険物だという事は分かってもらいたくてね。
イケメンスイッチは六面そろえてスイッチを押すと、世界中のイケメンを全て爆発できるといわれているんですよ。奪え返せて本当に良かったよ。
だが荒川さんもスイッチマスターになったのなら、死ぬまでイケメンスイッチを守らないといけない。
我々の力が必要なときは遠慮なく言ってくださいよ。」
え?
俺は、思わずぎょっとした。
「あ、あの死ぬまでって・・・どういうことですか?。スイッチマスターって何ですか?」
俺の問いかけに麻草議員は怪訝な顔をしながら
「おや、天道さんから聞いていないのですか?
スイッチと血の契約をしたらそのマスターが死ぬまでイケメンスイッチのスイッチマスタ。
つまりイケメンマスターとして生きて行くことになるのです。
イケメンマスターは常に一人しかなれませんから、荒川さんが生きている限り次に誰もマスターになれないのです。
いやー、今代のイケメンマスターが良さそうな人で安心しました。」
あれ、もしかして勘違いされている?
俺は冷静になり、今の話しから推理し、自分がイケメンマスターとかになったと勘違いされているのだと判断した。
俺って以外に頭良いかも。
「まってください、タブン誤解されています。俺はイケメンマスターとかいのになってないと思います。
イケメンスイッチには取り返すときに触っただけですし、儀式っぽいこととかもしてません。」
そう、そもそもすぐにバイバイする予定だったのだから。
ふー、危ない危ない、勢いでなんかイケメンマスターとか恥ずかしい呼び名で呼ばれる所だったかもしれなかった。
ずっと逃げ腰だった俺偉い。
そんな事を思っていると、不意に俺の指にチクリという痛みが走った
「いて!」
何だ?
指を見ると、友美が俺の針を刺していた。
「おい、バカ娘なにしているんだ!」
まじ、なにこの娘、ちょっと怖いんですけど。
普通の他人の指に針さすか?
指された場所から、ぷくーっと血がでてきた。
ほら血が出てきちゃった!
思わずとも実を睨んだ。
だが友美は俺と目を合わせてニッコリ。
全然罪悪感を感じてる素振りが無い。
そして無言でイケメンスイッチを俺の指から出ている血の上に乗せた。
なんだ?
俺が軽く混乱していると、友美はユックリと病んだような笑顔になりつつ、楽しそうに言ったのだ。
「Vさん、これが血の契約です。これにてVさんの契約完了です!今日からVさんはイケメンマスターです!」
「・・・・え?・・・・えええ?えええええええええええええ!なんだそりゃ!」
思わす俺は叫んでしまった。
友美は病んだ笑顔から普通のニコニコ顔になる。
「あなたに賭けます、Vさん。スイッチマスターになってください。イケメンスイッチのマスターは代々イケメンマスターと呼ばれていますから、今日からVさんはイケメンマスターVなのです。」
俺は、今日一日でかなり判断力があがったらしい。
今のやり取りで何が起きたか理解できた。そして殺意すら沸いた。
「ごら友美!なにしてくれるんじゃい!
ていうか、俺みたいな不細工にイケメンマスターなんて恥ずかしい名前付けるな!」
迷わず友美にアイアンクローをかけてしまった。
そして心中に不安が広がる。
このイケメンマスターとかいう称号は、手に入れてはいけないものだったにちがいない。
これから俺に何が起きるのだろうか?
アイアンクローに苦しむ友美を見つめながら、頭の中を嫌な予感が駆け回っていた。