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その6 そうだ国会に行こう

新宿まで歩き、どうにかタクシーを拾って国会議事堂まで来た。

疲れてたのか俺はタクシーの中で少し寝てしまったが、まあしょうがないだろう。

気が付いたら国会議事堂前だった。


だがあれだ。

ここまで来て冷静になってみると、本当に国会議事堂で待ち合わせとか大丈夫か?

まだ友美の妄想である可能性を疑っている俺は、ちょっと躊躇してしまう。


タクシーを降りると、驚いた事に正門前で男性が待っていた。

俺たちを見つけると男は近寄ってくる。

「天道様、お待ちしておりました。麻草もお待ちしておりますのでこちらへ。」

俺たちはすんなり門を通って中へ通された。


おお、マジか・・・。マジなんだよな。

なんか急の怖くなってきた。


男性に案内されて国会に入ると、すでに蜂の巣をつついたような状態だった。

そりゃあ、渋谷で人が大量に爆発すれば当然だな。

今さらなんだけど、俺、場違いなところにきたんじゃね?


そんな中、俺たちは部屋に通される。

大きな扉の上には「自国党」という表示が見えた。

本当に日本最大の政党、自国党の待合室だ。


案内してきてくれた男性が扉を開け。俺たちを部屋の中に案内してくれると、そこにはテレビで見慣れた人が座っていた。

前首相の麻草議員だ。


「よくきてくれたね、さあ座ってください。今コーヒーでも入れますから休んでください。」

そういうと、麻草議員は俺たちをソファーに誘導して、自らコーヒーを入れ始めてくれた。

俺たちをこの部屋に連れてきてくれた人はすぐに部屋から出て行き、部屋には、麻草議員と俺と友美の三人だけになった。

広い部屋に三人だけ。落ち着かないな。


ココまで来たのに俺は、まだ現実感をもてないまま周りを見渡す。

確かに国会の中で、ここはその一室。

不思議な感じだ。

一時間ほど前までいた血まみれの渋谷の次は、国会の一室を貸切。

なんだろう、ほんと現実感が追いついてこない。


すると麻草議員はコーヒーを俺たちの前に置いて、自分も俺たちの前に座った。

「よくきてくれたね。そして君がイケメンスイッチを守ってくれたんですかな。いああ、本当にありがとう。」


俺は、恐縮しつつ頭を下げる。

「いえそんな。あ、はじめまして、俺は荒川武威といいます。渋谷が大変な時に俺たちなんかに時間を割いていただいて申し訳ありません。すぐお暇しますので。」

こんな非常事態では国会議員は忙しいはず。

無駄な時間を使わせる訳には行かない。

俺は退室しようと半分腰を浮かせた。

その瞬間に友美が俺の腕にしがみつく。


う、おっとっと。

いくら軽いといっても人一人分の重みが俺の左腕にぶら下がったため、バランスを崩し俺は再びソファーにドスリと腰を戻す。



それと同時に友美が麻草議員に急に冷たい口調で話し始めた。

「麻草さん、この荒川武威さんはイケメンスイッチを守るために、命がけで爆滅団と戦ってくれました。礼金は届いていますか?。」

麻草議員は黙ってうなずくと、大きなカバンをこちらへ持って来た。

「あずかっておきましたよ。一億円です。荒川さん、受け取ってください。」


そういって、俺の前にカバンを置く。

友美はその瞬間、今までのように豊かな表情に戻った。

「Vさん、このお礼を受け取ってください!。私たちの感謝の印です。イケメンスイッチを守ってもらって、これだけのお礼では少ないくらいですが!すぐに用意できるのがこれだけだたのですよ。さあ、受けとてください!。」


友美はどっこいしょとカバンを持ち上げ、俺の顔にぐいぐい押し付けてきた。

「うざいわ!」

俺は、お金の入ったのカバンを奪って床に置き、友美を無理やり俺の隣に座らせた。

今は金などどうでもいいのである。


俺の今の行動にぎょっとしてる麻草議員に向きなおすと、思い切って質問をした。

「お忙しいところを無理して時間を作っていただいているのは重々承知ですが、これを逃すと聞くチャンスが無いかも知れないのでもう少しだけ質問させてください。

失礼ですが、麻草議員はイケメンスイッチなんてものと、どういう関係がおありなのですか?あとこのバカ娘とも知り合いみたいですが、そのあたりも教えていただけますか?。」

バカ娘と言われて、むきーと怒って掴んでくる友美にアイアンクローをかけながら引き離しつつ、俺は麻草議員に顔を向けた。


あ、そういえば俺、いつのまにか友美の扱いが雑になってるな。

なんか散々腕をつかまれたり背中に取り付かれたりしているうちに、俺も友美に遠慮なくなってきてかも。

ま、迷惑かけられてイライラしたから美少女扱い出来なくなってきているのもあるけど。


麻草議員は穏やかな顔でゆっくりうなずくと、口を開く。

「遠慮は要りませんよ。荒川さんのやってくださった事は国を守る行動です。遠慮は要りません。ではそうですな、何から話しましょうか。」


麻草議員は少し考えて俺をを見た。


「まずは私と天道さんの繋がりですが、天道さんたちの教団『ペルシアの華』はイケメンスイッチをシルクロード経由で日本に持ち込んだ人たちの末裔なのですよ。我々日本政府は極秘裏にイケメンスイッチを守るためにペルシアの華と協力体制にありました。ですが昨今の友愛党との政権交代で十分な支援が出来なくなり、今回のような事を招いてしまったのです。この事は、我々の落ち度でありましょう。」


ん?ん?なんか予想以上な答えが返ってきたぞ?

正直、俺は耳を疑いながら麻草議員の言葉を聴いていた。

麻草議員はさらに言葉を続ける。


「このイケメンスイッチの奪い合いは、有名なところではペルシア対ギリシアの戦いに登場します。

謎の彫像からイケメンスイッチを発見したペルシアは、隣国を次々に制圧したのですが、不細工で強兵のスパルタに打ちのめされる事となりました。

一説によるとギリシア側にも別のスイッチがあったため、逆転されたという説もあります。」


すいません、もう話しについていけません。

理解できないというわけではないのです。

感情が理解することを拒絶する。

俺の複雑な感情を無視して話はさらに続く。


「その後紆余曲折を経て、天道一族とともに日本に流れついたイケメンスイッチを手に入れたのが織田信長です。

信長は意外に不細工だったらしく、スイッチで比叡山などを壊滅させてしまいました。

その後、スイッチの威力に怯えた明智光秀が織田信長を裏切ります。

光秀はイケメンスイッチを奪う事に成功したものの、そのとき明智光秀はイケメンすぎたためにイケメンスイッチが役に立たず、討ち取られてしまいます。

光秀を倒しイケメンスイッチを手に入れたのが、不細工で有名な豊臣秀吉でした。

秀吉以上の不細工など戦国武将にはいなかっため、秀吉が死ぬまで各武将たちは豊臣家に逆らう事が出来ずに・・・・。」


うわーん、もう限界だ!

俺の知ってる歴史とちがううううう!


「ちょ、ちょっと待ってください!」


俺はさすがに、ここで休憩が欲しくなった。

イケメンスイッチのお話、壮大すぎるでしょ・・・

俺の想像を遥かに超えて凄すぎた。

信じたくないが、さすがに国会で前首相に一億円の礼金とともに語られたら、俺は信じるしかない。

よし、一億円もらって帰って、今日の事は全て忘れよう。そうしよう。



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