その7 孤独求敗と呼ばれた男
第三者視点です。
今Vが居るのはイケメンスイッチの中。
周りは、巨大な石造りの神殿のような趣だが、あのルービックキューブのようなイケメンスイッチの中である。
Vはそこで、自分そっくりの白髪の男と向き合っていた。
白髪の男の名は荒川武玄。Vの祖父である。
Vはさらに横を向く。
するとそこには巨大な玉座があり、そこで六本腕の巨大な女性が玉座に頬杖をしながら眠っていた。
この巨大な女性シャンバラこそ、このイケメンスイッチの本体である。
今は、武玄をココに連れてくるために異次元との行き来をしたあと。
疲れたため眠っている。
イケメンスイッチから外に出るのは、数分とはいえシャンバラにとっても相当な負担らしい。
シャンバラは眠る直前に、シャンバラが目を覚ますまでは、イケメンスイッチは機能しないだろうと言っていた。
Vは目の前の白髪の武玄に目を向きなおし言った。
「なあ爺ちゃん、シャンバラさんはいつ起きるんだろうな。っていうかシャンバラさんが眠るとスイッチが機能しないって事は、じつはかなり動かないことってあったのかな。」
すると武玄は腕を組み鼻で笑う。
「あほ、シャンバラ様は本来は100年に一度しか眠らねえんだよ。しかも一週間だけだ。今回は特別負担がかっちまったから眠ったが、一週間して目え覚ましたらまた100年ねむらねえよ。」
「そうか・・・。っていうか爺ちゃん若すぎないか?」
確かに見た目は、Vと変わらない若さである。
武玄はまた鼻で笑うと。
「これはあれだよ、イケメンスイッチの力ってやつの応用だよ。イケメンスイッチと契約をすると食わねえでも死なねえし、傷もすぐ治るじゃねえか。あれは命の力が流れ込んできてるからだと俺は考えたわけだ。だから応用して若返ったって寸法さ。」
「そうか、すごいな。・・・っていうかなんで異次元に修行に行ってるんだ。あんたの娘の房江が殺されたり、房代が心細くて泣いたりしていたんだぞ。」
武玄は横に目線をそらしながら、少し語気を弱めて言った。
「バ、バカ野郎、俺は殺されちまったから生き返ってもそっちの世界にはいけねえらしんだよ。よくわからねえが、シャンバラ様が言うにはそういう世界のルールらしんだ。しょうがねえから俺は異次元に飛んで生きてたって寸法だ。戻れるんだったらもどってらあ。」
それを聞いて、Vは少し安心した。
祖父は好きで娘達を捨てた訳ではなかったのだから。
すると武玄はこつこつと歩き出し、そしてVに語りだした。
「ここに来た以上、おめえもココのルールに従うしかねえ。つまりシャンバラ様の納得を得るしかねえってことだ。だからおめえには、俺を超えてもらうぜ。そのためには俺が編み出した『真荒神流』を学ばねえと俺を超えるのは不可能だ。」
「真荒神流ねえ・・・それはどのくらい荒神流よりすごいのさ。」
「あほ、真荒神流の強さを100だとすると荒神流派0.01くれえだな。」
「そ・・・それは言いすぎでしょ。荒神流はなかなか強いよ」
「あほ、荒神流を極めた俺が言ってんだ。シャンバラ様が目を覚ましたら見せてやるわ。」
「え?真荒神流ってシャンバラさんが起きていないと使えないの?」
「たりめえだろ、こりゃあアレだよ、イケメンマスターの力を使って行う武術だからな。シャンバラ様が寝ている時はその力の1%くらいしか使えねえんだ。」
「うわ、すごい人任せじゃん。それで己の強さといえるの?」
「あほが、人の命はもともと自分だけで保ってるんじゃねえ。小さいものでは毎日食う生き物の命。おっきいものではこの地球の命や宇宙の命が流れて一人の人間を作ってんだ。地球の力や動物の命の力を使って出す己の強さは肯定して、シャンバラ様の命の力を利用して戦うのを否定するっってえのは了見が狭いぜ。石ころだろうと刀だろうと強くなれるなら使うだろう。シャンバラ様の力を引き出して使うのだって同じ事だ。」
「う・・・なるほど。」
「でだよ、イケメンマスターになると腹もすかねえし、傷もすぐ治るだろ。これはシャンバラ様の力が流れ込んで来ているからななわけだ。イケメンスイッチの攻撃がイケメンマスターに効かないのもこの理屈さあ。自分の毒で生物が死なないと同じで、シャンバラ様の神秘の力はシャンバラ様自身を殺さねえ。だからシャンバラ様と血の契約で命を結ばれたイケメンマスターはイケメンスイッチで殺せねえって寸法さ。」
「おお、俺は今猛烈に感心して納得したよ。なるほどそういう事か。だから白面スイッチはイケメンマスターにも効くんだな。あれは攻撃ではなくて防御の技だから。」
「よし、納得しやがったな。でだよ、俺は考えたわけさ。この流れ込むシャンバラ様の力を意図的に使えねえかってな。その研究をしてたらよ、思ったよりも生命の神秘みてえなものに近づいちまったらしくて、シャンバラ様の力が無くても荒神流よりも100倍はつよい技法を開発しちまった訳さ。さらにシャンバラ様の力を使えば強さは使用者の技量により、100倍にも10000倍にもなる可能性があるって寸法さ。」
「爺ちゃん・・・すごいな。それをサラリと俺に教えて、爺ちゃんがわざと俺に負けて俺を元の世界に返すとかは出来ないかな。」
「あほが、それが出来りゃあ苦労はねえぜ。この世界はどういう理屈か知らねえが、嘘が通用しねえんだ。だからこの世界ではシャンバラ様もルールで嘘が禁じられている。そいつばかりはどうしようも無えらしい。たとえばイケメンを殺すこのスイッチで特別にイケメンを助けようとしてもどうにもならねえ・・・とかな。」
「そうか・・・わかった。じゃあ俺は早く真荒神流を身につけて爺ちゃんを倒すしかないんだな。よしわかった。くそ、わかったよ。くそ・・・。」
「なんでい、そんなに帰りてえのかよ。久しぶりのジジイとの再開なのにつれねえじゃねえか。」
「俺はあんたが残した、友美や冬美、それに房代の傍にいないといけないんだ。早く帰らないといけないんだよ。」
そこで武玄はハッとした顔になり、すぐに寂しそうな顔をした。
「そうか、おめえに大事なことを押し付けてたんだったな。すまねえな。だがこの法則は曲がらねえ。やるしかねえ。」
Vは頷くと
「なんとなく理解はしているつもりだ。わかってるよ、どうしようもないだろ。さあ俺に真荒神流を叩きこんでくれ。人類最強って言うロマンに手が届くって言うのも、悪くないからな。」
それを聞いて武玄はにやりと笑った。
「いいぜえ、それでこそ俺が一番目をかけた孫だぜ。安心しろ、2年で俺を超えさせてやるぜ。」
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大黒玄太豆知識:実は気が強くて、おっぱいが大きい女性が好きです。




