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その6 モテない愛され男

そこに房代さんがフラフラと歩いてきた。

あれ、なんか放心状態ですが・・・どうしたんだろう

私はその姿に不安になる。


「ふ、房代さん・・・どうしたんですか?まさかまた敵がこっちに向かっていているとか?。」

すると房代さんは凄くびっくりすることを言ったのです。

「通信機のチャンネル・・・1-1で、いまVさんの声が聞こえました・・・。」


「え?房代さん、通信機の1-1で?ええ?・・・あ、そうか!Vさんは通信機を持ってるから通信できても不思議は無いですよね!!。」


私は急いでチャンネルを1-1に合わせる。

興奮しすぎて、1-1を通り過ぎて1-2に合わせてしまったりして、少し手間取っていると、後ろで芽衣の絶叫する声が聞こえた。

「Vっち!Vっち!生きてるんだね!よ・・・よかった・・・・!。」


やっと私もチャンネルの1-1に合わせる。

すると、あのいつもの間の抜けたVちゃまの声が聞こえてきたのです。

『ああ、心配かけて済まない。おれは当面大丈夫そうだ。そっちは大丈夫か?』


わたしは、涙があふれてきちゃった。

もうわけが分からなくなって、通信機に叫んでしまうぞ。

「Vさーん!Vさーん!Vさーん!」


『友美ちゃん、聞こえてるからそう叫ぶな。心配かけて済まないな。友美ちゃんのために俺は必ず戻るから俺の心配はするな。むしろ友美ちゃんたちのほうが心配だよ。おれは早くても2年は出られないと思う。長ければ何年かかるか分からない。でも必ず戻るから。

あ、あとさ、今、この中にいるイケメンスイッチの本体の人が留守だからしばらくイケメンスイッチが使えないと思う。

けど、すぐにまた使えるようになると思うから油断しないようにな。』


そんな、いつものVちゃまの声が聞こえてきた。

よかった、Vちゃまはやっぱり私のために帰ってきてくれるつもりなんだ。


私は涙でかすれた声だけど、Vちゃまと話せえて嬉しい。

「何年かかっても私待っています。もしも10年くらいかかっても気にしないでくださいね。だってそのころには私と結婚してもロリコンとはいわれない年齢になっていますから、私にとってはむしろ好都合です。ですから、何年かかっても戻ってきてください。」


『なんだよ、可愛い事いうなよ。萌えるじゃないか。イケメンスイッチの中の人が戻ってくれば、こっちからは外の様子は見えるようになる。そしたらコンタクトの方法をイロイロ考えような。』


そこで冬美お姉ちゃまが割って入ってきた。

「Vさん、もうそこから出る方法は見つけているんですか?。あと私はVさんの一番弟子を名乗って良いですか?」


お姉ちゃま・・・こんな時に、一番弟子を名乗るかどうかを気にしているんだ。


『ああ、冬美か。そうだな冬美が一番弟子で、芽衣が二番弟子かもね。そんでさ、ここから出る方法なんだけど、なんかジャンプ漫画にありがちなシチュエーションなんだが、この異空間のなかでイケメンスイッチの力を使う必殺技「真荒神流」を習得して人類最強の男に勝たないと出られないっぽいんだ。ホント少年漫画っぽい話だよな。』


それを聞いて冬美お姉ちゃまの顔に赤みがかかる。

いつもの眠そうな目から、まるで少女マンガのヒロインのようなキラキラした目になり叫ぶのでした。

「おおおお!さすがVさん!私の願いがイケメンスイッチの神に届いたんですね!人類最強の必殺技を身に着けて帰ってくるのですか!凄いですよ。感動です!鼻血でてきちゃいました!ブラボーです!。」


ほんとうだ、お姉ちゃま、興奮しすぎて鼻血が出てきてる。

私は、そっとお姉ちゃまの鼻血を拭いてあげた。


次は房代さんが話し始めた。

「Vさん、私もVさんがいないと寂しくて死んじゃうかもしれませんよ。はやく帰ってきてくださいね。」

『ふ、房代さん、そんなからかわないでくださいよ、ははははは。』


「奥多摩に来たときのこと覚えていますか?。

傷ついたVさんを見たとき、どこか父に似ているって思いました。そして友美様から名前を聞いて確信したんです。この人は父と血のつながりのある人だって。

私の母は癌で死んでしまい、父はスイッチを残して消えてしまいました。あの時は祖父の国持もペルシアの華と敵対して連絡することが出来ず、それなのに姉夫婦も目の前で殺されてしまい・・・私はとっても孤独で怖かったんです。

ですけど、なぜか疑惑をかけられた冬美様を守らなければいけませんでしたし、一人で誰も信じない友美さまの帰る場所を守るのも大変でした。

そのときの私の怖さが分かりますか?

心細いけど、お二人を守らないといけない私を誰も助けてくれない怖さです。

ですが奥多摩で父とよく似た名前のVさんが現れたとき、私はとっさに、父が私に兄を送ってくれたのだと思ったんです。ですから私は大事な友美様をあなたに黙って託しました。

その後も、なにかと貴方がいるからと、心のどこかで安心していたんです。

調べてみると、血筋的には私の甥でしたが・・・私は・・・貴方の事を勝手に・・・兄のように思って、ずいぶん甘えていたのですよ・・・。」


そう言うと、房代さんは、口に手を当てて急にポロポロ泣き出してしまった。

うわああ、房代さん泣かないで。私、どうしたらいいの。

でも・・・房代さんが、こんなに自分の事を話すのを初めてみたかも。


房代さんは、涙をこらえながら絞り出すような声で続ける。

「Vさん、早く帰ってきてください!私にはもうVさんしか頼れる人は居ないんです。Vさんが居ないと私はもう戦えません!兄のような貴方に甘えることを覚えてしまった私は、貴方がいないと駄目なんです。」


そいうと、房代さんはもう声が出なくなったのか、うううと声を殺して泣き出してしまいました。


私はこの房代さんの姿を見て大反省です。

Vちゃまが居なくなった時、私だけが不幸な気でいたから。

ですが本当は、みんなのVちゃまが消えて辛かったんだ。


鼻をすするような音の後、Vちゃまの返事が帰ってきた。

『泣くな房代さん、いやこれからは房代ちゃんかな。知らないうちに、こんな可愛い妹が出来ていたとは嬉しいねえ。だったら俺は余計がんばってそっちに帰らないといけないって事だな。心配するなマイシスター。俺は信じてもらった分はキッチリ返す主義だ。まかせな。』


「待ってますから。帰ってきたらご飯いっぱい作ります。洗濯も掃除もまかせてください。生活の事は全部私がやりますから、Vさんはただ帰ってきてください。待ってますから・・・。」

『ああ、必ず房代ちゃんの飯を食いに帰るよ』

さすが私のVちゃまです。

このモテモテ野郎!


そこで、外部スピーカーで聞いてた玄太が泣きながら叫びだした。

「V君!君は本当に不細工の星だよ!彼女を作るのだけがモテモテじゃない。君ほどモテモテな奴はイケメンの中にだってそうそういないぞ。イケメンなんかよりもずっとすばらしい男だよ!愛されているよ!僕はV君が戻るまで、このV君のハーレムを守って見せるでござるよ!。」


声デカ!うるさい!

でも、玄太もデブでキモイおたくだけど、その辺のイケメンだけの奴よりは少しはマシだぞ。

特にVちゃまへの信頼や友情はじつに素晴らしい。

その一点はかなりのイケメンでも凌駕する美徳です。


でも調子に乗るから、玄太にそのことは言わないでおくのですが。

お読みくださりありがとうございます。


大黒玄太豆知識:信じられないことにロリコンではない。紳士である。

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