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その5 少女からのお礼とか期待してはいけない

この血に染まった街・渋谷で、俺は奇妙な事態に足を踏み込んだのは間違いない。

ひょんな事で助けた少女、天道友美により奇妙な戦いに巻き込まれてしまった。

そして・・・・


今俺は、俺の後ろをついてくる美少女・天道友美をどうやって振り切ろうかを考えていた。

美少女から逃げるとか、普段なら考えもしないのだが今日は違うのさ。

確かに友美は色白に長い黒髪で人形みたいに整った顔立ちをしている。

もしも街ですれ違ったら振り返ってガン見してしまうくらいには美少女だ。


だが俺は逃げる。


早足で歩く俺に、なかば小走りでついてくる友美が俺に話しかけてきた。

「Vさんちょっと待ってくださいよ。私の話も聞いてくださいよ。」

俺は、足を止めるないで友美の方を向いて返事をした。

「なに?まだ俺に用があるの?もう助けたしイケメンキューブも取り返したんだからもういいでしょ。俺は友人を探さないといけないんだから、ここから別行動にしよう」


すると友美は小走りのままポケットからルービックキューブを取り出し俺に差し出す。

「イケメンキューブじゃありません、イケメンスイッチです!このイケメンスイッチを安全なところまで持っていくまでは、Vさん手伝って、くーだーさーいーよー。」


友美は背後から俺の腕を掴もうとしてきた。

しかし俺はすっと斜めに進んでその手から逃げる。

捕まるわけには行かない。

俺にも勘みたいなものがある。

そして俺の勘が言っている、いま嬢に負けて判断を間違えたら面倒な事になると。

そんな俺の気持ちに気づいているのか、友美はさらに必死さが増す。


「まってってば!まってくださいよ。イケメンスイッチがまた悪やつに狙われたら大変じゃないですか!せめて少しの間だけでも守ってくださいってば。あ、でも、できたらVさんがもらってくれると嬉しいんですけど。」


37才できたモテ期なのだろうか?微笑が俺を必死い追ってきてる。

しかしあえてこのモテ期は捨てさせてもらう。

もう、走り出しちゃおうかな。


そういえばイケメンスイッチとかいうルービックキューブ。

・・・どうやらこの渋谷を血で真っ赤に染めた元凶らしいのだが、俺はそこまで信じてはいない。

友美は、このイケメンスイッチとやらを俺に渡したいらしいが、受け取ったらヤバイ気がしてしょうがない。


俺は足を止めずに友美に言った。

「そんなものいらないって。だいたい平気で人を殺すような女の頼みなんて聞けないよ。」


友美は数秒考える表情をしたらイケメンスイッチをポケットにしまい、俺の腕を掴んできた。

「騙したの怒ってるならごめんなさい!でも、ああするしかなかったですよ。あのお爺ちゃんが、すでにスイッチマスターの儀式をしていたら殺す以外に手が無かったって言うのもあったんです。ちょっと止って私の話も聞いてくださいよ!。」


聞きませんよー。

俺は友美を無視するように、さらに歩行速度を上げた。

周りは見渡すと、なんかどす黒い。

血が乾き始めたのだろう、赤い街は黒い街へと姿を変え始めていた。

いい加減血の匂いに慣れてきたようで、気持ち悪さは減ってきている。

人の順応力には驚くね、まったく。


あと他にも街に変化がある。そろそろ大量の警察や消防の人員が目に入りはじめたのだ。

彼らの服が血に染まっていないので、渋谷の外から来たのだろう事は分かる。


そうだ、渋谷で合流する予定だった友人は無事だったろうか・・・・

それなりにイケメンに近い奴だったから、もしかすると・・・・

そんなことを考えてはっとした。


『俺は今、イケメンスイッチが本当に渋谷を血の海にしたという設定で考えていたのか?』


先の戦いでは、確かに人が爆発するシーンを見た。

だがあれは元から爆弾が仕込まれている人たちだったと考えるのが自然だ。

そんなイケメンスイッチなんていう設定を信じるのはバカらしいと、すこし自分がおかしかった。


すると友美は、いきなり俺の背中に飛び乗るようにへばりついて来た。

うわ、なにしてきてるの、この娘。

足で俺の胴体をがっちりホールドして、腕はギリギリと俺の首にまとわりつく。

強制おんぶ状態だ。

うわー、なんか嬉しいけどどうしよう。

そんな状態でも歩みを止めない俺の耳元で、友美が甘えるようにささやいてくる。


「お願い、待ってください、ちょっとだけ待ってください。じゃあこうしましょう。私とイケメンスイッチをあるところに送り届けてください。そしたらVさんにお礼を渡して終わりにします。ね、それならいいでしょ。お願い。」


ぐはっ、おっちゃんちょっと気持ちがグラついちゃったよ。

友美に強制おんぶ状態で捕まっている(?)俺は、下手に逃げるよりもそこに友美を連れて行くほうが、早く開放される気がしてきた。

「・・・・わかった、じゃあそこまで連れて行くよ。お礼はいらない。それで終わりだよ。それでいいね。」

「やった、なんかVさん大好き」

友美は俺の背中で、バタバタ手足を動かして喜んだ。

大好きとか言うな、惚れてまうやろ。

く、この小悪魔め、おっさんの弱点をわかっていやがる。

「Vさん、ありがとうございます。お礼は結構な大金だからもらってください。世界を救ったんですから。」

「大げさだな。まあいいさ。で、どこまで連れて行けばいいの?」

すると信じられない答えが返ってきた。


「国会議事堂の自国党の控え室にお願いします。今電話してセッティングしてもらいますからちょっと待ってくださいね。」

そういうと、友美はおもむろに携帯電話を出して話し出した。

そこで電話すると俺の耳に息がかかって・・・いや良いんだけど。


「あ、麻草さん。天道友美です。やっとイケメンスイッチイを取り戻しましたのでそちらに向かいます。助けてくれた人が居るので、教団に連絡して礼金を超特急で用意してください、一億ほど。近くに言ったらまた連絡しますのでよろしくおねがします。」


素早く用件だけい離すと友美は電話を切った。

で、俺は、混乱した。

背中の少女の言葉を理解できなかった。


「え?麻草さんて・・・元首相の?え?礼金一億?俺、からかわれてる?。」

なんとなく俺の中で好奇心が頭をもたげてくるのが分かった。

この娘の言葉が嘘でも本当でも、確認したくなってきてしまったのだ。


そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、友美は俺の背中ではしゃいでいた。

「さあ、いざ国会へ!」



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