その2 主なきイケメンスイッチ
「納得がいかん。納得がいきませんよ!」
あの後、お姉ちゃまはずっと怒っているのです。
そこで玄太はVちゃまが学んだ荒神流と姉妹流派の大黒流の跡取りだときかされました。
ちなみに、Vちゃまは荒神流の跡取り争いに負けてしまったため、自由の身になったから対麻薬組織部隊に入ることになったのだということも・・・。
どうも立場的にも本来はVちゃまよりも玄太のほうが上ということらしい。
信じられないけど・・・、お姉ちゃまの膝蹴りを顔に受けたのに手に持ったお茶をこぼしもしないなんて異常。
玄太はたしかにVちゃまよりも上かもしれない。
冬美お姉ちゃまは、それが納得いかないみたい。
お姉ちゃまは床に座ってるVちゃまの背中に両手をついて揺らす。
「Vさん、今すぐこのデブオタよりも強くなってください。こんなデブオタに負けてはダメだ!。」
芽衣もVちゃまの膝を揺らす。
「Vっちは出来る子だよ。こんな豚に負けないことは私が知ってるから、がんばろうよ。」
Vちゃまは揺らされながら困った顔をしています。
「まあ二人の気持ちはうれしいけどね。でも玄太クンは100年に一人といわれるほどの天才だからな。俺じゃ勝負にならないよ。」
「そんなの私が許さない!」
お姉ちゃまはVちゃまの背中をドスドス叩いて悔しがっている。
わかる、お姉ちゃまの気持ちは私も分かるよ。
私だって悔しいもの。
その会話を聞きながら、ちょっと嬉しそうにしている玄太が憎い・・・。
そこに、房代さんが大慌てで入ってきた。
「Vさん大変です」
「ん?どうしたの房代さん?」
「去年与党になった友愛党が、イケメンマスターがイケメンスイッチを守って戦ったことに対して表彰状を送りたいとか言い出したそうです。」
「はあ?あのバカ政党は何言ってるんだ?大量殺人者の俺を表彰する?しかもそれってイケメンスイッチを世間に公表するってことと同意語じゃないか。寝言は寝て言えって感じですね。」
「はい、私も同じ意見です。早急に手を打たないとあの人たちはいつマスコミで発表するかわかりません。麻草議員から連絡があってすぐにこちらから友愛党に接触したらしいのですが、それを言い出した鳩屋元首相があまりに言葉が通じなくて話にならないそうです。」
「友愛党自体がバカ集団だが、あの元首相はバカなだけじゃなくて基地外レベルだからな・・・。ペルシアの華としての意見はもうあるの?。」
「はい、相手が相手だけに殺害以外はないという意見になっているようです。」
なんてこった、玄太について悔しがっている時ではなくなって来たようです。
私はVちゃまに駆け寄った。
「Vさん、今すぐペルシアの華本部に行って対策を考えましょう。もしも少しでもマスコミにイケメンスイッチのことが流れたら、今まで以上の戦いがおきます。」
Vちゃまは険しい顔で頷くと立ち上がる。
「友美ちゃん、イケメンスイッチを出して。短絡的なことはしたくないけど万が一に備えておかないとね。緑面を!。」
私はポケットからイケメンスイッチを出すと同時に全力でイケメンスイッチをまわした。
ルービックキューブのような形をしたイケメンスイッチは、色を合わせた面によって出てくるスイッチが変わります。
緑の面をそろえると、そこから「イメージ」と書かれたスイッチがニューっと出てくる。
これは、相手の事を良く知らなくても、イメージするだけで爆破できる危険なスイッチ。
Vちゃまはそのスイッチを受け取ると、ため息をついた。
「はー、まったく。事態は想像以上に急ぐと思う。だからヤバくなったらコレを使おうと思うよ。『イケメンスイッチをマスコミで公表しようとしている連中』をイメージして使えば止められるだろうからね。」
それを見て玄太は声を上げました。
「おお。これがイケメンスイッチ!それを使うのかい、V君。」
Vちゃまはスイッチを握り締めた。
「できたら使いたくはないけど・・・これが世に知れ渡ったら危険なのは間違いない。必要ならば・・・使うしかないかもしれない。でも今はまずペルシアの華の本部に向かうつもりだ。」
―――
私達は、結局全員で出発した。
玄太とはすぐに別行動をしたかったけど、Vさんがまずは自国党本部に寄りたいと言うので、車できていた玄太に送ってもらうことになったのです。
うぬぬ、しょうがないです。
自国党本部前に着くと、私達は車から飛び降りる。
ここで本当ならば玄太とはバイバイのはずでした。
でも、自国党本部の前に黒い車が大量にとまっていたので、私たちの警戒度が上がる。
そしてVちゃまが私達を見た。
「嫌な予感がする。一戦しないといけないかもしれない。」
その言葉で全員に緊張が走ります。
全員無言で如意棒と気念砲を構えて突入をする。
すると玄太が 慌てて私達を追ってくる。
「まってV君、女性達も中にいくのなら僕も行くよ。」
そう言うなり身軽に走ってついてきてしまったのです。
邪魔くさい。
冬美お姉ちゃまは、明らかにイラついたみたい。
「道場の試合とはちがうんだ。足手まといだから帰れ。」
そういったけど、玄太は「僕が盾になるよ」そう言ってついてきてしまいました。
突入!
入り口をすばやく入る。
すると、すぐに銃を持って人を撃っているやつらを見つけた。
銃を撃っているやつらは、教会の神父様みたいな服を着ている。
それを見て房代さんがVちゃまに叫びました。
「Vさん、あの服は美メン教団というイケメン至上主義の連中の服です。」
見ると、確かに神父様みたいな服を着ている連中は全員がイケメンかも。
Vちゃまは素早くイケメンスイッチを出すと叫びながらスイッチを入れたのです。
「ココに居る美メン教団の連中!爆発しろ!」
カチン
スイッチが入った瞬間、建物の中でそこらじゅうで爆音が響いた。
ドガアアアアアン
目の前のイケメンが一斉に爆発するのは迫力です。
「ひいいいい」
玄太、悲鳴あげるな。
根性なしデブ、うるさいよ。
Vちゃまは足を止めずに、血煙の中に飛び込む。
私達も後をついて走る。
「麻草議員!居ますか、麻草議員!」
Vちゃまが叫びながら走っていると、真っ赤な人がこちらに手を振っているのが見えた。
それを見てVちゃまは焦った顔で駆け寄る。
「あ、麻草議員・・・・もしかして爆発に巻き込まれてしまいましたか?申し訳ありません。」
真っ赤な人は麻草議員でした。
ですが麻草議員はVちゃまの前で膝を突いて気が抜けたような表情をする。
「いや、かなりシビアなタイミングで助かりましたよ。爆発があと数秒遅かったら殺されるところでした。ありがとう。」
「麻草議員、なんで美メン教団はココに襲ってきたか見当がつきますか?」
麻草議員は顔の返り血を袖でぬぐいながら答えてくれた。
「ああ、あいつらは入ってくるなり言ってましたよ。イケメンスイッチについて教えろと。」
「ち、友愛党の基地外をどうにかしないといけないときに、面倒なことになってしまったか・・・・。」
Vちゃまはそう言うと、血の海をぐるりと眺めていると、麻草議員は「まったくですな」と言いながら立ち上がる。
「あっちもこっちも問題か。困ったな・・・・」
Vちゃまはそう言いながら、手にもったイケメンスイッチを眺めました。
数秒イケメンスイッチをVちゃまが眺めたあたりで、イケメンスイッチがチカチカ光出した。
え?イケメンスイッチが光るなんて始めてみたよ。
なになに?
びっくりしたみたいで、Vちゃまはこっちを見る。
「友美ちゃん、これは何?いまイケメンスイッチが光っているけど何が起きているの?。」
私も慌ててるよ。
「わかりません、Vさんが何かしたんでなければ、私にも分かりません!。」
そう私が言い終わるか終わらないかの時。
Vちゃまの体がうにょうにょと歪んだ様に見え、次の瞬間・・・・
信じられないことに、まるで何かの冗談みたいに『しゅるる』とVちゃまがイケメンスイッチに吸い込まれてしまった!。
Vちゃまがスイッチに吸い込まれ、支えを失ったイケメンスイッチは廊下の床に落ちる。
コランカラン
落ちたスイッチを私達は見つめながら、何が起きたか理解するまで数秒凝視してしまった。
そして最初に叫んだのは玄太でした。
「ヴ、V君がイケメンスイッチに吸い込まれた!」
そこで私は正気に返り、いそいでイケメンスイッチを拾って、イケメンスイッチに向かって叫びました。
「Vさん!Vさん!Vさーーーん!!!。」
しかしイケメンスイッチは何も答えてくれませんでした。
お読みくださりありがとうございます。
大黒玄太マメ情報。
いい奴なのに、なぜか女子に嫌われます。




