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友愛

幕間:第二部の序章です。

国会の中がやけに騒がしい。


私は待合室から出て忙しく動き回る人たちに、何が起きているかを聞こうと思って声をかけるが、みな私を相手にしてくれない。


私は元首相だぞ。


そのなかで、やっと馴染みのタカオテレビの記者が私の声にとまってくれた。

私は記者、中山智弘に尋ねてみた。


「中山君、ずいぶん騒がしいが何かあったのですか?。」


すると中山記者は驚いた顔をして答えてくれた。

「鳩屋元首相、もしかして渋谷の爆発テロのことを知らないんですか?自国党の議員さん達は独自に実行委員を作って動き始めているそうです。早く動かないと、また友愛党は危機管理ができないって叩かれますよ。」


私は寝耳に水で驚いてしまった。

中山君に細かいことを聞いてみよう。

「それはどういう事件なのですか?」


中山君は、ちょっと腕時計とかを見てから私を見て言った。

「すいません、こっちもイロイロ忙しいので、後ほどにでも、」

そう言って走っていってしまった。


後ほどに、どうすればいいのだろうか?。

後で誰かに聞いてみよう。


しかし私は困ってしまった。

私も元首相としてやることはあるはずだ。

だが誰も私に情報を上げてこない。

まったく、コレだから役人は駄目だというのだ。


しかし聡明な私は、足で情報を探すことにした。

歩けば人は前に進む。きっと情報にぶつかるはずだ。

あてもなく私は、きびきびと国会の中を散策してみた。


すると、妙な光景が飛び込んできた。

麻草議員の秘書が、穢れなき美少女と不細工なお供を連れて自国党の待合室にはいっていくではないか。


麻草議員の秘書は、美少女と不細工な男を待合室に連れて行くと、すぐに部屋から出てどこかに行ってしまった。


あやしい!、エマージェンシー。


私はとっさに、援助交際ではと疑ってみた。

この国会で、みなが忙しく走り回っている時になんたる悪行。

私は怒りを覚えつつ、可憐な美少女を救出するために自国党待合室に飛び込もうとした。


そのとき、中から可愛らしい少女の声で驚くべき言葉が聞こえてきた。

「一億円です。」

なに!そんな大金で援助交際をするのか?

私は事の真相を探るべく、鍵穴から耳を済ませて中の様子を聞くこととした。


すると・・・・

麻草議員の口から信じられない話が飛び出したのだ。

渋谷での爆発テロはイケメンスイッチというなぞの武器で行われたこと。

このイケメンスイッチは昔から、人類の歴史で暗躍していたことなど。


そして、一億円の金をもらった不細工な男が命をかけてこのスイッチを守ったイケメンマスターだといっている。

なるほど、言われてみれば味わい深い顔立ちで、イケメンといえなくもないかもしれない気がしてきた。


しかし、イケメンマスターは何かに怒って飛び出していってしまった。

彼が勢いよく扉を開けたとき、私の顔にドアがジャストヒットしたが、気づかれなくて良かった。


彼は何に怒って出て行ったのだろうか?

いや、きっと熱い思いで次の戦いに飛び出しただけに違いない。


―――


あれから三ヶ月ほどたった。

あの直後は、各地で人が爆発したり、吹っ飛んだり、爆発音の苦情が入ったりする事件が相次いだ。


しかし、今はまったくその気配はない。

あの不細工に見えるイケメンのマスターが世界を救ったのだろう。


ブラボー


そうだ、元首相の私としてできることがやっと見つかったぞ。

あのイケメンのマスターを表彰して、労をねぎらってあげようではないか。


ナイス私。

プレゼントフォーユー表彰状。


いいアイディアだと思うが、いきなり言ってまた馬鹿にされてもいやだから、誰かに相談してから言い出してみようと思う。

ふと見ると、私と親しくしてくれているタカオテレビの中山智弘記者を見つけた。


私は彼を呼び止めて話をした。

「中山君、ちょうどいいところにきてくれた。実は意見を聞きたいことがあるのだが・・・・」


そう言って呼び止め、私はあの日に見たイケメンスイッチとイケメンマスターと天使のような美少女の話をした。

「・・・という事なんだよ中山君、このイケメンマスターを表彰しようと思うのだがどうだろうか?。」


すると中山君は妙に怖い顔を一瞬した後、またにこやかに戻った。

ああ、今の怖い顔は私の見間違いか。


すると中山君は私にアドバイスをフォーミーしてくれた。

「鳩屋元首相。その話は絶対誰にもしないほうがいいですよ。もしも表彰するのでしたらマスコミに取り上げられて、世間が賞賛してからのほうが間違いがないと思います。」


おお、さすが中山君は頭がジェミニーだ。

私は握手をして、彼と約束した。

「なるほどありがとう。もしも報道するときは必ず私に知らせてください。」


硬く手をつなぎ、熱く目を見開いて私の気持ちをまっすぐに伝えてみた。

中山君はにっこり返してきてくれた。

私の思いは通じたようだ。


しかし、やはり報道までまてないな。

やはり私は麻草議員に話しをして、たたき台を一緒に考えてもらうというナイスアイディアが浮かんでしまった。


わたしは、一人自国党の待合室に飛び込む。

すると運がいいことに、ちょうど麻草議員だけが居た。

私は「やーやー、どーもどーも」と言いながら近づき、すぐに本題を切り出した。


議員たるもの、タイムイズマネーだからな。

「麻草元首相、実は渋谷の大惨事の時に・・・・・っというわけで、イケメンマスターを表彰したいと思うのですが、ご協力願えませんか。」


すると、いつも顔が怖い麻草議員の顔がさらに怖くなった。

そして私の胸倉をいきなり掴むと、ちんぴらみたいなしゃべり方で怒鳴ってきた。


「その話、誰かにしたか?もう誰かに話したのか?。」


「落ちついてください麻草元首相。とても仲良くしているタカオテレビの中山君という記者に話しただけですから安心してください。彼はとてもいい人ですから心配は要りませんよ。」


そう言って、麻草議員を静めた。ひとは話せば分かるものだ。

麻草議員は私の襟を掴んでいた手を離すと、すぐにどこかに電話を始めた。

麻草議員は電話を終えると、私の乱れた襟を正しながらいつもの口調で話し始めた。


「いいですか鳩屋さん、その話はとても危険な重要機密ですから今後絶対に誰にも言わないでください。ここで私にそれを約束していただけませんか?。」


私は大きく頷きながら、目で熱い気持ちを伝えるようにしながら麻草議員の手を握って返事をした。

「私を信じてください!決して口外しないとお約束しましょう。マニュフェストのように固くお約束しましょう!。」


そういって私はその場を去った。

でも信用できる相手には話しても麻草議員も許してくれるだろう。

私は、大沢幹事長、汗元首相と、野畑首相にはメールで相談をした。


まだまだ元首相として、私はやることが沢山ある。

がんばらなくては。


お読みくださりありがとうございます。

次回より、第二部・主人公は天道友美です。

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