表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/131

カラ丸

幕間:第三者視点です。

Vは1つの疑問があった。

ずっと気になっていたが、それを確認する余裕がなかったので、今まで放置していたが。


それは『何故、渋谷にイケメンスイッチが落ちていたか?』だ。


考えれば考えるほど不自然だった。

一度友美に確認しようかと思ったが、友美にとって良い記憶ではないだろ。

だから友美以外から話を聞いて調べることにした。


まずは記録を調べる。

当時の防犯カメラなども調べたが、確かにイケメンスイッチは午前中の渋谷の路上に落ちていたのだ。

2秒に一回写真を撮るタイプの防犯カメラが捕らえていた。

だがその映像は不自然だった。

あるときイキナリ、イケメンスイッチが路上に現れてコロコロ転がったのだ。

『何が起きた?』


防犯カメラにはその後の出来事も映っていた。

青年がイケメンスイッチを拾い、黄色面を合わせてスイッチを出しスイッチを入れる。

そこで渋谷の人たちが爆発した。

すぐに矢島が現れ、その青年を爆破してしまう。


そして友美が落ちたイケメンスイッチを拾い走り去る。

最初は、イケメンスイッチの神秘の力かなにかと考えた。

だが、Vが夏子に確認したところ、いままでイケメンスイッチがテレポートしたという話は存在しないらしい。

そこで、基本的な話を忘れていたことに気がついた。


先代イケメンマスターが爆滅団の襲撃で死んだときの話だ。

一旦は矢島の手にあったイケメンスイッチは、天道家のペットであったカラスが咥えて飛び去ったはず。

どうやら、昔からイケメンスイッチが誰か別の人が手にしたら、友美に渡すように訓練していたらしい。


あの日、矢島がスイッチを手にした事により、ペットのカラスは矢島からイケメンスイッチを奪い去り、窓の外に飛び出した友美にスイッチを渡すために飛び出したのだろう。

その予想を確かめるために、Vは冬美に聞いてみた。

「うん、私がわき腹を撃たれて動けないで居ると、カラ丸が矢島からイケメンスイッチを奪って飛び去りったよ。私も急いで追いかけたけど、どこかに居なくなってしまってた。」


そのあと、冬美は数日カラ丸を追いかけて行方不明になるのだ。


そこまで聞いて、Vは仮説を立てた。

話によると、カラ丸はかなり大きなカラスだったらしい。

最初は友美を探して海の上を旋回しただろうが、見つからないと陸地を目指したのだろう。

体が大きかったのであれば、そのくらいの飛翔能力はあったはずだ。


そのあと、イロイロ移動して、残飯をあさりやすい渋谷に巣を作ったとする。

すると大きなカラスを目標に爆滅団と友美が捜索をしていたのなら、渋谷で鉢合わせしても不思議ではないか。


すると次の疑問は何故、カラ丸はイケメンスイッチの傍にいなかったのか?

Vはそこまで考えて、確信に近い仮説を立てる。


あの渋谷の路上にイケメンスイッチが現れた瞬間。

それがカラ丸が死んだときなのだと。


確認するためにVは渋谷に向う。

9ヶ月前にあれほどの惨劇があったのに、もう人が沢山いる。

東京の復元力の速さに驚きを隠せない。

人が多いから、復元が早い。

人ごみは歩くのに邪魔だが、Vは嬉しくもあった。


Vは、イケメンスイッチが落ちていた道沿いの建物に足を運ぶ。

有名な百貨店だ。

その建物に入り、管理室に『ペットのワシがここの屋上にいたらしいという話があるので確認させて欲しい』と説明し屋上にいれてもらう。


上がって少し探すと見つけた。

フェンスの手前でコンクリートにへばりつくような黒い羽と、転がる鳥の骨を。

話には聞いていたが、かなり大きいカラスだったのは間違いないだろう。

本当にワシくらいありそうだった。

同行した警備員も「大きな鳥ですね」と驚く。


近づくと、骨と一緒に短い矢が落ちていた。

それでぴんと来る。

矢島は、あの日6人組と一緒に居た。

あいつらが、屋上に居たカラ丸を見つけて射殺したのだろう。

その時、暴れたカラ丸がイケメンスイッチを弾き飛ばし、この建物の下に落ちたのか。


すべての謎が解けた。

このカラスがイケメンスイッチを咥えて逃げなければ、どんな事が起きたか想像もできない。

あのコンプレックスの塊のような矢島が何を思うか・・・想像するだけで背筋が凍る。


骨を眺めていると、足の骨に足環のようなものがついている。

Vはそっと拾い見てみると、子供が書いたような字で『カラ丸』と書いてあった。

そっとその骨を元の場所に戻す。


そして警備員に断って友美に連絡した。

『友美ちゃん、カラ丸の骨をみつけた。どうする?』


一時間後、友美と冬美と房代が来た。

カラ丸の骨を見せると、三人はしばらく呆然とする。

最初に動いたのは友美だった。

「カラ丸!」

友美は素手で必死にその羽と骨を拾い集める。

房代と冬美も途中から手伝って拾った。

9ヶ月前までは、たった一人の友美の友達だったカラスだ。


拾い集めた骨の中から頭蓋骨を出し、友美は泣きながら頬にすりつける。

「カラ丸!カラ丸!カラ丸!寂しかったでしょう、見つけられなくてごめんね。大事なスイッチを守ってくれてありがとう!。」


しゃがみこんで骨を抱いてなく友美にVはそっと寄り添った。

「さあ、俺達の新しい家に連れて行ってあげよう。もうカラ丸が寂しくないようにな。」

付き添った警備員に礼を言ってV達がその場を去ると、Vの背後で警備員は貰い泣きしていた。


次の日、

カラ丸の骨は、ツボに入れて友美の部屋に飾られた。

これで、先代イケメンマスターが死んだ日に居なくなった家族の消息が、全て分かった事になる。


友美は部屋にカラ丸のツボを置くと、Vの腕に抱きつき一日過ごした。

Vもその日は何も言わずに友美と共に過ごす。


次の日も友美は悲しそうな顔をしていた。

だが、すぐにその顔は崩れる。


下の階に住むエスパー部隊の少女達が、落ち込む友美のために自分達に配給されたオヤツを持ってきてくれたのだ。

ささいな気休めのプレゼントだ。

だが、食べることに異様に執着するエスパー部隊の少女達にとって、それがどれほどの意味を持つか友美はしっている。


友美は今日も泣いた。


それを眺めるVも泣き、金子も泣いた。

Vは心の底から、この娘達に幸あれと思わずにはいられなかった。


お読みくださりありがとうございます。

もう一回幕間が入ってから第二部になります。第二部はかなりぶっ飛んだ話になります。イケメンスイッチの秘密が少しだけ明かされる予定。Vは少ししか出てきません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングアップのために、↓↓クリックしてくれると嬉しいです
小説家になろう 勝手にランキング

第四部はこちら
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ