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その52 心がイケメンであればいい

その呟きを聞いて、芽衣は一度、元リンダを見る。

すると元リンダ・・・つまり冬美は言った。


「房代さんの彼氏のフリはVさんに見抜かれたって言うからやめたんですよ。それでこんどはチャンの娘の振りをしてたんですが、また見抜かれましたね。Vさんが私への濡れ衣を友美に説明してくれた恩返しがしたかった。チャンスが来て嬉しい。」


そういうなり、冬美は背に背負った12本の如意棒を広げつつ、8本の気念砲を伸ばしてドアの方向に向けた。


冬美が背負っているこれは、8本の気念砲と12本の如意棒を背に背負う形でまとめた超実用タイプバージョンだ。

友美と同じような空間把握能力を持つ冬美用に調整して作った気念砲と如意棒である。

国持所長もコレを見て俺を天才といってくれた自信作だ。


この装備は本来は本人の細胞を使用して、意識の伝送率を高めるのだが、エスパー部隊の型番で『ロ』がつく大柄な少女達が冬美と同型の改造人間だと気づいて、彼女達をベースに調整していおいた。

思ったとおり、高いシンクロをしているようだ。


如意棒と気念砲を広げる姿は、まるで4枚の羽を広げているようにも見える。


これを渡したのは、もしかすると身を隠している冬美の役に立つかもと思い、房代さんに渡してあったが、まさかそれで助けられることになるとは皮肉な話だ。


確かにこれならば矢島に勝てるかもしれない。

この8本の気念砲と如意棒には高熱と高圧電気を出す能力を追加してあるからだ。

俺はすぐに友美と芽衣にも指示を飛ばす。


「芽衣は冬美を守れ、ESPの防御壁は消し去って如意棒と気念砲で防衛をしてくれ。冬美は血液を焦がすように焼いて固めてくれ。友美ちゃんはとにかく気念砲のエネルギーを爆裂させないで、まっすぐ押し込むように撃つんだ。」

三人はうなずく。


まずは芽衣がESPの障壁を消した。


そこに冬美の八本の気念砲が火を噴く。

糸で冬美の背につながった8本の気念砲は、宙をすばやく飛び、血液に火炎放射を放つ。


並みの火炎放射ではない。炎の色が白に近い高温の火炎放射だ。

血液の上部はあっという間に黒くなり燃え出す。血液が燃えた後、12本の如意棒が扇風機のように風を送り血液の火を消す。


そこで血液は黒く固まってしまう。

液体でなくなれば、もう血液は襲ってこれない。


矢島型の血液も襲ってくる。

しかし、冬美の火炎放射の前にあっというまに黒く固まり動けなくなっていく。


俺は友美にイケメンスイッチを突き出す。

「友美、イケメンスイッチを白面だ。」

友美は「なんで?」っという顔をしながらも1秒ほどで白面をそろえてスイッチを出した。

スイッチには「キャンセル」と書いてある。


スイッチを受け取り、俺は次に冬美に叫ぶ。

「冬美、おれを廊下の端にある窓まで援護してくれ。矢島を止めてくる。」


俺は如意棒を竹馬の形にして廊下に飛び出した。

うしろから冬美が叫ぶ。

「熱くっても怒らないでくださいよ!。ちょっぴり高熱です。」

そういうなり、俺の足元の血液に一気に火炎放射をする。


熱い熱い熱い!


しかし贅沢は言っていられない、俺は冬美の援護で窓までたどり着いた。

よっしゃあ!


俺は窓を蹴破って飛び出す。

6階の窓だが気にしない。

なぜなら今俺が使っている竹馬は如意棒だからだ。

瞬時に如意棒を6階の高さに伸ばして、地面を踏む。

そして一気に縮める。

あっというまに安全に地面に足がついた。


竹馬を一気に如意棒の形に戻すと、俺は玄関方面に走り出す。


今回の矢島の攻撃には疑問点がある。

自分の血液といえども、全滅してから動き出すまでのタイムラグが長すぎて不自然だった。

おそらく矢島が血液の端っこに触れるまでのタイムラグだ。

だとすれば、当然矢島は一階に居る。

一番安全なところから、俺達に襲い掛かってきていたに違いない。


俺が玄関前に走りつくと、すぐに矢島を見つけた。

建物に入らないのは、万が一爆発に巻き込まれるのを恐れてのことだろう。


おれは矢島に向けてイケメンスイッチを投げつけた。

強烈に縦回転させて相手にイケメンスイッチを投げつける「必殺・自爆ダイナミック!」という技だ。


スイッチが矢島に当たると、矢島の体でスイッチが入る。

カチン

矢島の体に白い光の幕ができる。

その瞬間、矢島の手にへばりついていた血液が地面に落ちた。


バチャ。


急に矢島の支配を失った液体は、動けなくなった。

イケメンスイッチの白面は光の膜で外からのESPから守ってくれる。

だが、光の膜がESPを消し去るのなら自分が発するESPも外には出せないはずだ。

逆転の発想だったが役にたったな。


ESPが封じられたと気づいた矢島は走って逃げようとする。

だが俺はすばやく如意棒を尖らせて伸ばした。

ビシュ!

矢島の右膝を貫く。


「うぎゃあああ」

矢島は悲鳴を上げて倒れる。


俺はすぐ駆けつけ、蹴飛ばして矢島の顔を見た。


驚くほどの不細工な老人。

間違いない、矢島だった。

「た、助けてくれ。わしはあんたには恨みはない。もう手を出さんから助けてくれ。」


だが俺は前腕につけた気念砲を矢島に向けると、まずは矢島の左腕を打ち抜いた。


ベヒュ!

「うぎゃあああ!」

左腕が千切れ飛び、矢島は絶叫した。


さらに俺は矢島の右腕を打ち抜く

ベヒュ!

「うぎゃあ、やめてくれ」

矢島の右腕も吹っ飛ぶ。


そこから、さらに矢島の両膝を撃った。

ベヒュ

 ベヒュ

「うがあああ、助けてくれ!。」

矢島の両膝がちぎれて飛んだ。


血みどろでのた打ち回る老人を哀れに思う気持ちはない。


こいつのせいで、信じられないほど沢山の命が爆発した。


俺は、ばたばたと暴れて騒ぐ矢島の腹を踏んで動きを止めて言った。

「お前は本当におろかなやつだ。自分が醜いことにコンプレックスを持つあまり、人の心を失った愚か者だ。己の醜さに負けた負け犬め。外見が醜いならそのマイナスを補うほどのモノをもった男になろうと何故しなかった。」


それに矢島は絶叫で返した。

「醜くいというだけで損ばかりだ。みんな砕けて死ねばいい。イケメンスイッチはそんな怨念によって生まれたにちがいない。だからわしがイケメンスイッチでイケメン共を殺してやるんだ。」


うすうす感づいていたが、いま確信にかわった。

イケメン爆滅団はイケメンスイッチによる被害者の集まりだという話だったが、実際はこういうコンプレックスをもつ連中の野望の場所でもあったのだろう。

こいつは、被害者達の気持ちを利用して、イケメンスイッチを手に入れようとしていたのだろうと思った。


俺は、右のこぶしを握り締める。この戦いへの怒りを全てこめて。

「卑屈にして愚かな奴め。イケメンスイッチなどなくても人は生きることもできれば殺す事もできる。そんな事にすら気づけずにイケメンスイッチに頼ったお前など生きる価値はない!。」


死ね!


俺は渾身の一撃を矢島の頭に振りおろした。

ゾゴオオオン!


矢島の頭は砕け散り、さらにその下のアスファルトまで数センチ吹き飛ばした。

よかったな矢島、これでお前の嫌いな不細工な顔は砕けて消えた。


俺は少し自分の血に染まったこぶしを眺めた後、友美を迎えにいくために、再びグロ色に染まるホテルに入っていった。



---


3ヶ月前

イケメン爆滅団は壊滅した。

だが、世にイケメンスイッチが知れわたってしまった以上、奴らのような馬鹿はまた現れるだろう。

俺は、これからも戦い続ける必要があるのかもしれない。


そんな事を思いながら、あらたに手に入れたマンションで朝食をとっていた。

戦いも終わったことだし、ホテル住まいもなんなので、ペルシアの華の所有するマンションを貰っただけだが、下の階にはエスパー部隊や金子たちも住んでいて、まあ楽しくやっている。

トレーニングルームや食堂なんかもあり、快適な住まいだ。


もちろん、友美たちも一緒に暮らすことになった。

いまさら離れるのも不自然だしな。

友美が居るなら、とうぜん芽衣も一緒だ。

嬉しい誤算として、冬美と房代さんも一緒に住んでいる。

ルームシェアに近いが、俺にも春が来たとしか思えない。


今は世話役の田島房代さんとエスパーの歌田芽衣が二人で朝食作ってくれている。

ハッキリ言って膨大な量だ。


俺の目の前には、今作られている食事を待つ、二人の美少女が座っている。

天道友美、天道冬美の姉妹。

お前達姉妹は、料理手伝わないのか・・・。

まあ、そうだな食材を手にした瞬間に無意識に口に運ぶやつだから、手伝わないほうが正解だな。


目の前に座る美少女姉妹を眺める朝か。

不細工で知られた俺には、なんとも贅沢な光景ではある。


座ったまま、冬美は俺にコーヒーを入れてくれた。

「お、サンキュー」

うん、俺好みの味だ。やっと好みのコーヒーが飲めるようになって超嬉しい。


そんな俺に、無気力そうな切れ長の目をした冬美は言った。

「Vさん、イケメンスイッチは運命を作るスイッチといわれているんですよ。Vさんのおじいちゃんが先々代のイケメンマスターだった事も、私達と関ったことも、もしかするとイケメンスイッチが作り出した運命だったのかもしれません。」

おれはコーヒーを飲みながら「へー」とだけ答えて微笑んだ。


冬美とはイロイロ気が合うところもあるが、あんまり親しくしていると、友美がスネるので俺は意図的にクールに接するようにしている。


芽衣はESPを駆使して、次々に料理をテーブルに運んでくれた。

正直言って、30人分くらいある気がする。

料理がおかれて、房代さんと芽衣もテーブルに着いたところで朝食開始。


「いただきます!」


言うが早いか、友美、芽衣、冬美は凄まじいスピードで食べ始めた。

房代さんと俺は通常スピード。

この三人と一緒に食べると、自分はすごく食べるのが遅くて小食な錯覚をおこすが、実際は俺も房代さんも人より多く食べるし、食べるのも早いほうだ。


数分の後。

爆食い娘達に気を取られず、俺は自分の分を食べ終わる。

房代さんの料理、最高です。


そこで呼び鈴が鳴った

ピンポン


房代さんが玄関に出てくれた。

すると玄関で絶叫がする。

「嘘だー、なんでこんな美人がV君ちから出てくるんだ」

俺にとっては聞き覚えのある声だった。


そういえば、今日は友人の大黒玄太クンが遊びに来る日だったな。

そして房代さんに通されて、丸々太った体型の玄太君は、食卓を見てさらにショックを受けていた。


「美少女が沢山いる!しかもキャラがかぶってない美少女が3人!!どういうことなの! V君、君はどんな魔法を使ったんだい!美女家政婦さんがいたり、急に3人の美少女が一緒に住み着いたりって、それはどんな萌えアニメだい!まさか二次元から呼び出したのか!」


俺は恥ずかしい気持ちで答えた。

「ま、不思議だよね。自分でも驚きの展開で・・・。いやあ、しかし渋谷での惨劇で玄太クンが生き残ってくれていて良かったよ。」


すると、友美は玄太クンをジロジロ見ていった。

「Vさん、こんなデブで秋葉系キモオタクみたいな人は爆発しないと思いますよ。」

そういいながら友美は、ぷすりと自分のゆで卵を箸でさして俺に食べさせようと口に運んできた。

それを見てまた玄太クンは驚愕した。


「V君!び、美少女にアーンとかしてもらってるのかい。な、なにが起きたらそうなるんだ。」


俺は恥ずかしくて友美の箸を手で「今はいいよ」と断ると率直に玄太クンに言う。

「ほんと何が起きたとか、俺にもよくわからないんだよね。急にイロイロあってこんな感じになったから・・・。」


玄太クンは巨体を揺らしながら

「どういうことなんだ、どうゆことなんだ。」

と、鼻息を荒くしながら興奮し始めた。


そんな玄太クンに冬美は冷たく指差して言う。

「食事中だ。デブオタうるせいぞ。」

それにたいして、ちょっと嬉しそうな玄太クンがまた見てられない。


俺は席を立ち。

「あ、じゃあ秋葉原に遊びに言ってくる。夕飯も向こうで食べて帰ってくるから。」

そういって、俺は玄太クンを無理やり部屋から押し出し秋葉原に向かった。


今日は久しぶりの友美抜きの行動だ。

友美と離れても許される生活。

これでこそ日常といえるだろう。


俺達は、やっと日常を手に入れる事ができたのだと思えた。


すると、外に出た俺達の後を追いかけて友美と芽衣が走ってきた。

「Vさん、私も一緒に、いーくー!。」

「Vっち、私もアニメのお店行きたい!。」


コラ、友美&芽衣!追ってくるなんて超可愛すぎるだろ!。

ヤバいレベルで可愛いんだよチクショウ。

夢にすら見ようとも思わなかった、凄まじく夢のような展開だ。

俺を追いかけて美少女が二人も走ってくるなんて。


グハ!


俺の心が萌えで吐血した。

俺の横で玄太クンも軽くのけぞっている。

常人には見えないが、玄太クンの萌え心も吐血してしまったらしい。

ま、友美と芽衣、ふたりと離れなくても良いか・・・。


離れないのも日常かもしれない、などと思ってしまうのだった。


お読みくださりありがとうございます。

これで第1部終了です。


第二部は、天道友美が主人公となります。

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