その48 俺がショボイんじゃない。こいつらが凄いんだ。
何故か俺は、部屋のベッドの上に正座をさせられていた。
目の前では、俺を睨んでいる友美が正座している。
友美は、まるで俺を諭すように言った。
「こうやって正座させられている意味はわかっていますね。」
俺は、本心から言う。
「すいません、わかりません・・・。」
友美はまた俺を睨む。
「私に嘘をついていますよね。私はその嘘を責めるつもりはありません。ですが本当のことを聞きたいのです。怒りませんから言ってください。」
エ、エッチなお店に行ったことだろうか?
いや、軽はずみに尻尾を出しては駄目だぞ俺。
きちんと相手の言うことを確認しなくては。
「すいません、何の事を聞きたいのでしょうか・・・。」
俺は恐る恐る聞いてみた。
すると友美は頷き
「・・・あのことです。私に初めて会ったとき『武道の才能なんて無駄だった』って言いましたよね。でも『ロンリーV』と呼ばれたVさんに武道の才能が無駄だったとは思えません。あの時は嘘をついたのですよね。」
な、なんだそのことか。
俺は、ほっと安心すると友美に答えた。
「いや、それは本当だよ。俺は対麻薬部隊で戦っていたから、基本はチーム戦だし、攻撃だって銃か罠なんだ。しかも俺ははじめから小隊長だったから作戦指揮ばっかりで、肉弾戦はまったくなかったんだ。武道が役立つと思って入隊したのに、とうとう一回も役立つことはなかったよ。むしろ武道を使わなかったから俺は生き残ってきたんだと思う。それはホントだよ。」
すると、友美は顔の力が抜けた。
「そう、そうですか・・・。だったら良いんですよ。あ、そうだ。Vさん、今の段階で嘘をついていることがあったら正直に言ってくださいね。私はVさんを許しますから。だって一生のパートナーですもの!」
そういうと、ニコリとする。
最近は、友美の束縛好きには驚いている。
女性はみんなこんな感じなんだろうか?。
俺の周りにいた女性は、もっとアッサリした人が多かったけど。
ま、いいけどさ。
俺は、ベッドから立ち上がると、芽衣がESPで宙に浮かして待っていてくれたコーヒーをハシッと掴み一口飲んだ。
やっぱり、このホテルのコーヒーはいまいちだ。
不味いわけではない。万人向きの味なので、俺好みではないだけ。
そんなことを考えながら、俺は一気に飲み干す。
さて、そういえば俺も大事な話があったのだ。
俺は、昨日大急ぎで国持兵団研究所で、ある兵器の要望を出した。
すると、驚いたことに今日の朝一で俺の要望したものが届いたのだ。
「そうだ二人とも、今日は大事なものを二人に渡すよ」
そう言って、俺は届いた荷物をあけて、天道友美と歌田芽衣の前に置いた。
芽衣は不思議そうにそうに品物を手に取る。
「Vっち、これは・・・棒と筒?。これが大事なもの?。」
確かに棒と筒だ。しかし普通の棒と筒ではない。俺が長年温めていた必殺武器だ。
友美も俺の渡した棒と筒をじろじろ見ている。
俺はそれを指差して説明した。
「これは俺が考案した意識連動武器『如意棒』と『気念砲』だ。ちなみにこの命名は適当だ。国持兵団研究所に頼んで作ってもらったんだ。友美と芽衣にも相性がいいと思ったから、お前たちの分も用意しておいたよ。」
芽衣はハハハと笑い
「Vっち、棒と筒だよ。そんないすごいとは思えないよ」
と笑っている。
今は笑うがいいさ。この武器の真の力を見たら笑えなくなる。
友美は不思議そうに言った。
「これが、国持所長に頼んで作った秘密兵器ですか?Vさん、言いにくいんですが、しょぼいです。」
全然言いにくそうには見えない言い方だな。
まあ、今はしょぼいとか言っていればいいさ。
俺は答えた
「この筒と棒は俺が昔知り合いと一緒に研究していたけど資金や技術的な問題で実現できなかったものなんだ。でも今回は国持兵団研究所が協力してくれたのでやっと実現したんだ。俺が考える理想武器だぞ。」
芽衣は身を乗り出して答える。
「つまり、Vっちが頼りにするくらいの凄いモノってことだね。」
俺は頷いた。そう、これこそ俺が長年構想だけしていたが、実現化できないでいた秘密兵器なのだ。
たまたま国持兵団研究所の秘密論文資料を見ていて「これなら実現できるかも」と思って簡単な設計図を書いて頼んだら、天才の国持所長が本当に実現してしまった、スーパー兵器なのだ。しかもおそらく芽衣や友美とも相性が良い。
俺はおもむろに、まずは筒と棒を持って説明に入った。
「いいか、この二つは持ち主の意識に反応して変形したりエネルギーを溜め込んだりするする性質がある。『気念砲』がエネルギーの蓄積と放出に優れていて、『如意棒』は硬化や変形に優れている。」
すると、まずは友美がぴんと来たようだ。
「そうか、つまりこれは芽衣のESPを効率よく使う道具になるんですね。もしかすると、この気念砲をつかうと力の弱いエスパーも長井級の攻撃がバンバンできたり、如意棒を使って便利な攻撃ができたりするんじゃないですか?。」
そこで芽衣もはっとして、あわてて気念砲と如意棒を手にとってジロジロ見ている。
俺は、頷き答えた。
「友美ちゃん、そのとおりさ。だが芽衣にだけ便利なわけじゃない。友美の人造人間としてのデータを見たところ、空間把握力が異常に高い。つまりすばやく動く相手や細かい相手への砲撃もできるし、如意棒を瞬時に複雑な形状にイメージして変形させてさまざまな補助を行うこともできる。」
二人は「おー」と言いながら。ただの筒と棒にみえる気念砲と如意棒をまじまじと見てる。
俺は説明を続けた。
「でだ、この二つは補助として便利な装置もつけてある。一見ただの棒と筒だが、お前たちが集中すれば鋼鉄の盾にもなれば、敵を追い詰める刃にもなる。どうよ凄いだろ。」
二人はさらに「おー」と言いながら、渡した棒と筒をまじまじとみた。
「俺もこれから実用の実験するから、お前たちも決戦までに使いこなせるように訓練だ。」
友美は、一式抱えて飛び上がると。
「うん、これがあればVさんと一緒に敵地にけるんですね!」
そう言って喜んだ。
芽衣も
「Vっち、これはエスパー部隊の皆にもくばっていいかな。」そういって喜んだ。
おれは喜ぶ二人を見て複雑な気持ちである。
この二人を戦いに連れていかなければいけないから、俺の考えられる万全を用意した。
しかし、本心は連れて行きたくなんかない。
本当に俺は、複雑な気持ちだった。
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結局、金子たちの部隊とエスパー部隊、それに房代さんや夏子などのエリートに気念砲、如意棒を配布した。
本当はもっと作りたかったのだが、材料がそれほどなかったのだ。
それと数セット、国持所長に予備分を預けておいた。
俺の予想が正しければ、その予備の用意が重要になるはずだ。
さて、俺と友美と芽衣と房代さんで、施設の訓練広場に来た。
あとその他、大勢の金子とか夏子とかも、来ているがこいつらは俺を見て勝手にやればいいさ。
まあとにかく、おれは三人に徹底的に叩き込むため、砲と棒の使い方を見せることにした。
如意棒シリーズ(如意棒と如意棒を改造して作った気念砲)は、研究所で開発された精神連動繊維に人口筋肉の性質を融合させてある。
さらにその素材には電気やESPを取り込んで材質の性質を変える形状変化合金の性質も与えた。
これにより、強力な材質変化の性質と人口筋肉の回復性能をうまく引き出せるようにした。
回復機能応用で、材質を異常に増幅もさせて巨大化もできるし、小さくもなる。
その基本性能に、特性特化させた能力を与えたのが『如意棒』『気念砲』である。
この武器を、使用者本人の細胞と融合させることで、特に持ち主の意志に強く反応する武器にしてある。
「この如意棒シリーズは、イメージ力と精神力でかなりのことができる(予定)だ。よく見ていろ」
まず、俺は両腕の前腕にセットした気念砲を撃った。
精神を集中させて、砲の中にエネルギーの圧を高める。
それを細いホースから水を出すイメージで、一気に撃ちだした。
バヒュ、バヒュ、バヒュ!
いきなり連射で撃てる俺って才能あるかも。
理論的には、これがあれば銃はいらない。
本来はESP(精神力)の消費をしてしまうが、それを避けるために高圧縮の電池で代用できるようにオプションも作った。
これでエスパーでなくても使えるはずだ。
俺はそのまま、変形をイメージして、気念砲を数メートル伸ばしてL字にまげて撃つ。
意識連動で変形できるのも、この武器の特徴だ。
バヒュバヒュバヒュ!
これで、遮蔽物に隠れている敵も撃てる。
砲を元の長さに戻して皆を見る。
「おー」と感心しているのがわかる。
ふっふっふ、気分良いね。
すると友美が
「空間に存在を明確にイメージできればいいんですよね。じゃあ機関銃の設計図を正確に空間にイメージできたらどうなるんでしょうか?。」
そういうなり、右手の気念砲に集中をした。
するとなんと、ありえないことに・・・
五秒ほどでバキバキと気念砲が変形し機関銃の形になった。しかもかなり大きい・・・。
そこから友美は作り出した機関銃の引き金を引いた。
ズババババババババン!
すげえ連射。
しかも撃った先の壁がボロボロと吹き飛んでいく。
威力もすげえ・・・。
友美の空間計算力は、この如意棒シリーズでは強い武器になると思っていたけど、想像以上だった。
俺は呆然として
「あっおう。えっと、みなさん気念砲の扱いは友美ちゃんにアドバイスしてもらうといいよ。」
というのが精一杯だった。
しかし、俺は気を取り直して如意棒を持つ。
格闘戦闘向けの如意棒なら、俺が一番うまいはずだ。
まずは如意棒を伸ばした。
如意棒は、基本性能に加えて変形スピードの向上と、高い硬度が出るように調整してある。
ズヒュ!
凄いスピードで先端がとがった状態で伸びる。
15mほど伸ばして、次はそれをやわらかくなるようにイメージする。
するりと棒が地面にたれたので、俺は鞭として振るった。変形速度は思ったより速い。
さらに俺は手元で、できるだけ大きくて硬い刀を作る。
幅40cm、長さ5mほどの大剣ができた。
俺はそれを思いっきり地面にたたきつける。
ドゴオオン!
10mくらい先まで地面がわれた。
うん、想像以上に凄いな。
すると芽衣は
「これは凄いね、私も・・・。」
そういうと、如意棒を宙に浮かせていきなり10本ほどの剣に分離させる。
その10本の剣は、芽衣のESPにより伸びたり熱を帯びたりしながら、凄いスピードで宙を舞う。
その10本の剣は訓練場の戦車並みに頑丈な壁に襲い掛かった。
ドガガガガ!
一瞬で、壁の装甲は粉々になる。
剣はしばらくとびまわたっあと、芽衣の手に戻り一本の30cm程度の棒に戻った。
俺、唖然
これは精神エネルギーの反応するからESPと相性がいいとは思っていたが、まさかここまでとは。
芽衣はうれしそうに
「Vっち、これ凄いよ。たしかに私には最強武器かもだよ」
そう言って喜んでいた。
俺は、なんか自分の居場所がない気分になりながら
「えっと、これはできたばっかりの武器なんで、俺も研究している感じなのだよ。だからみんなで意見を出し合いながら訓練しましょうね・・・。」
そう言って、なんとか体面だけは保とうと努力するのが精一杯だった。
うーん、基礎訓練ではもう教えることはなにもない。
逃げるように、隣の訓練室で待機しているエスパー部隊のほうに移動したが、そっちでは今以上に如意暴と気念砲がすごい事になり、嬉しい悲鳴を上げつつ、ちょっと寂しかった。
いや、このあとフォーメーションや防衛戦の訓練とかしなくちゃいけないし。
まだ俺が不要になったわけじゃないし。
だから俺、ガッカリしてないし。
すいません。本当は『俺凄い』したかったのに『俺しょぼい』になってがっかりしています。
ありがとうございます。




