表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/131

その47 少女はゾンビ並みに怖い

俺はペルシアの華本部内にある訓練用のスペースを借り受けた。

目的は、エスパー部隊の訓練のため。


でもアレかな・・・・

大人気なくボコった俺を恨んでいるかな。

少女に「まじ最低なんですけど」とか蔑まれたら、ちょっとゲロ吐くかも。

会うの怖いな。


内心ビクビクしながらエスパー部隊の待つ訓練ルームに着くと、まず驚いた。


六列縦隊で綺麗に並んで待っていたのだ。

一列5人。

それが6列。

綺麗な長方形に並んでいる。


その六列縦隊の前に2人立ち、そのさらに前に1人立っている。

前に居る三人が指揮官クラスということか。

指示もされていないのに隊列組んで待機しているとか、錬度高いな。

この子達、14~17歳の少女部隊だよね。

驚いた。


入り口から入って来た俺を見つけると、先頭のショートカットの娘がお辞儀をしてくる。

それに続いて、全員でお辞儀した。

なにこれ、一糸乱れぬまとまりに本気で感心してしまったよ。


彼女達が頭を上げないから、俺は傍まで歩いていって号令を出した。

「なおれ!。」

全員頭を上げて姿勢を正す。


そこでマジマジと彼女達の顔を見た。

う、女子高の先生になった気分。

なにこの天使の集団。

しかし、エロオヤジと思われたくないので、つとめて冷静に声を出した。

「休め。」

ザっという足踏みの音と共に、全員が休めの姿勢になる。

「よし、ではまず自己紹介をしよう。俺は君達をもらいうけた荒川武威だ。むかしから部下からもコードネーム代わりにVと呼ばれている。みなもそう呼んでくれ。」


「「「「はい」」」」

うわ、びっくりした。

急に、一斉に返事するんだもん。やめて、心臓に悪いから。

男の声には慣れてるけど、少女達の声は耳に慣れていないから、意外に驚いた。

おれは少女に対してヘタレなのかもしれない。


落ち着け俺、一呼吸してさらに言葉を続けてみた。

「では、最初に君達の意思を問う。どのような答えをしても、君達に不利になることは無いから安心して率直に答えてくれ。」


「「「「はい」」」」

うわ、また返事来た。

二度目だけど、やっぱびっくりした。

女の子の声とかに慣れていないから、意外にびっくりするんだよね、こういうの。


もっかい一呼吸入れて落ち着く。

何か言ったら返事が来るぞ、もう驚くなよ、俺。


「いまから君らのESP拘束具をはずす。まだ逆らえば殺さないといけないが、逃げるなら追わない。もしも行くところがなければ面倒もみよう。だがここに残ったら、俺の訓練を受けてもらう。天道友美を守る為に。」


返事くるか?!

・・・・・

来ない。くそ、身構えたのに。

どうやら彼女達は困惑しているようだった。

そうだよな、先日まで敵だった俺が拘束具は外すし、逃げてもいいとか言うんだ、当然か。


そこに、様子を見に来た友美と芽衣が現れる。

俺は2人を手招きした。


すると、さっきまで完璧な軍隊だったエスパー部隊の少女達が動揺してざわめきだす。

その緊張した様子を無視するように、嬉しそうに芽衣はエスパー部隊に駆け寄った。

「みんな無事でよかった。久しぶり!」


部隊の一番前にいた小柄なショートカットの少女は驚きつつ芽衣の手をとる。

「生きていたんだありますね『イの4号』。よかった、長井から死んだと聞いていたのでまた会えるとは思っていなかったであります。」

「長井の嘘つきめ。『イの1号』も元気そうで良かった。長井は私たちがVっちと一緒に倒したから、もうみんな大丈夫だよ。」

「な、なんですって、『イの4号』は長井に歯向かったのでありますか?。」

「うん、あんまり力になれなかったけどガンバったんだ。」


何か芽衣と先頭の指揮官娘が妙な会話をしているな。

もうすこし黙って聞いていようかな。

すると、そこに友美も会話に参加した。


「そうだよ、芽衣は私を守ってくれたんだから。あのヘビ男の衝撃波をバキンて跳ね返してくれて凄かったんだから。」

「ば、ばかな・・・・。」


驚く指揮官娘に友美は不思議そうに聞く。

「なんで驚くの?。」

「え、長井は上官でありますよ。上官に逆らうなんて自分達のプログラムが許しません。」

「そうなんだー。大変だね。」


友美が!友美が他人にねぎらいの言葉をかけた!

何か嬉しい。

あれだね、やっぱ同年代の友達って大事だよな。

俺今、オカンみたいな気持ちになっているかも。


でもこれ以上おしゃべりさせて時間も無駄にできない。

俺は友美達を後ろにさがらせた。

「では順番に制御装置を外すから、大人しくしていてくれよ。」


俺自ら、全員の解除を行った。

そうすれば、全員の顔を1人ずつユックリ見られるから。

そうすることで、彼女達の気持ちのようなものも感じたかった。


全員の解除を行ってから、俺は指揮官娘に話かける。

「そういえば、ここに居る芽衣は自分で自分に名前をつけたらしんだけど、君達は自分に名前をつけてないの?。」

すると姿勢を正して俺を見る。

「はい、みな潜伏しやすいように自分で名前を名乗っていました。ちなみに自分は佐藤柏を名乗りました。」

「そうか、じゃあ今日から君は佐藤柏と呼ぶ。他の者も名前を申告してくれ。これからは名前で活動するように。コード番号って覚えきれないからさ。」


「「「「はい」」」」


うわ、

油断していたから驚いた。

くそ、見事に忘れたときに一斉返事しやがって。


すると柏が後ろを向いて叫ぶ。

「全員、名前を自己申告せよ。順番にはじめ!。」

そこから、全員が順番に名前をさけぶ。


おい、覚え切れないよ。早いよ。

慌てる俺を気にせず自己申告はテンポ良く続き、すぐに33人全部終わった。

うーん、また改めてメモで提出してもらおう。


すると、友美が俺を見る。

「あれ、Vさん焦ってます?あ、もしかして覚え切れなかったんでしょう。」

くそ、

「お、覚えたと思うよ、たぶん。」

「ふーん。」

イタズラっぽく笑う微笑んだ友美は、テクテクあるいていって適当に指差す。

「この子の名前は?。言ってみて。」

このやろう!追求するなよ!


「えっと、うぐぐ。」

「ぷーくくく、Vさん覚えてないじゃないですかー。この子は水仙毒菜ちゃんですよ。」

「むかー。じゃあ俺が指刺すから友美ちゃんも答えてみ、・・・じゃあこの娘。」

「鈴木悪璃夢ちゃん。」

おれは、本人に確認する。


「あってる?」

「ういっす。自分は鈴木悪璃夢っす。」


おもわず膝から崩れ落ち、床に手を着いてしまった。

「これが、これが10代とアラフォーの記憶力の差か。ショックすぎる。」

すると生暖かい顔で芽衣が俺の肩を叩く。

「どんまい、Vっち。」

ちょっと半泣きしてしまった。


ーーーーーー


そのあと、エスパー部隊の少女達は行くところも無いという事で、俺の私兵になる事を決めてくれた。

こんな少女を戦いに利用するのは申し訳ないと思う。

だが、友美を守るためには、つかえる戦力は全て使うつもりだ。


引き続きそのまま俺はエスパー部隊の実力を調べる訓練をいくつもこなす。

さすがエスパーだけあって、とてつもない潜在能力を感じる。

これは凄い部隊が作れそうだ。


だが、

訓練が終わる頃には、俺は不気味さを感じていた。

みな俺に従順すぎる。


その疑問を率直にぶつけてみたい。

誰に聞こうかな・・・。

やっぱ指揮官の佐藤柏かな。


「柏、ちょっといいかな。」

「はい、なんでありましょうか?」

スタッとおれの前に立つ。

小柄で可愛いい。友美と同じくらいの身長か。


「まあ率直に聞くけど、みんな随分俺に従順に従ってくれているけど、それが不思議なんだ。殴り倒した俺を恨んでないのかな?。」


すると柏は不思議そうな顔をした。

「我らは、先の戦いで死んでも不思議ではないと思っておりました。死なないように制圧していただいたのですから、感謝こそすれ恨みはしません。感謝していなかったとしても我らは兵器です。ですので我らの持ち主に従うのは当然であります。そういうプログラムがされていると聞いております。」


う、なにこの悲しい娘達。

おれは柏の肩に手を置く。

「俺は兵器が欲しいわけじゃない。戦士が欲しいんだ。戦士は人間で無いといけない。できそうか?。」


すると柏は悲しそうな顔をした。

「出来ないと思います。我らは兵器でありますから。」


気がつくと、エスパー部隊が円陣を組むように俺を囲んで柏と俺の話を聞いていた。

「この中に、人間でありたいと想う者はいるか?。」


全員が目を伏せた。

すると、みんなの気持ちを代弁するように芽衣が俺に向う。

「Vっち、私たちは人間とか分からないんだ。だってずっと研究所の施設で兵器になるように育ったんだもん。」


芽衣を抱き寄せた。

そっか・・・そうだよな。

だったら、考え方を変えよう。

俺はどうやって人間になった?


思い出すのは母ちゃんの厳しい顔、

妹の情けない顔、

兄の不機嫌な顔、

爺ちゃんの豪快な笑顔。

そうだ、人は家族に囲まれて人になるんだ。


「じゃあ聞いてくれ、俺は君達の司令官かもしれないが、それは訓練時と実戦時だけだ。平時は俺を父か兄だと思ってくれ。俺も普段は娘か妹のように扱う。君達は全員俺の娘であり妹だ!。」


さっそく柏の頭を撫でてみた。

抵抗されずに、素直に頭を差し出してくる。

命令だと思われているんだろうか・・・。

それもこれからユックリ考えよう。


横を見ると、大柄な・・・ヤンキー風の鈴木悪璃夢が俺に頭を差し出してきた。

一瞬戸惑ったが、悪璃夢の頭を撫でる。

頭を撫でたとき「自分は鈴木悪璃夢っす」と言われた。覚えろって事か。

「わかった悪璃夢、覚えたよ。」

そういって微笑むとそれを皮切りに次々に頭が向ってきた。


なにこれ、なんかの宗教儀式か?

頭をなでるたびに、撫でられた娘は自分の名前を口にする。

覚えていないけど俺は全員に「覚えたよ」と言った。

うん、あとで友美に教えてもらって必死に覚えよう。


全員の頭を撫でたあたりで、泣き声が聞こえた。

あの大柄でケバい娘は・・えっと、えっと誰だっけ・・・・

慌てて友美に助けを求めると、そっと唇を動かしている。

ほ・ん・じょ・う・し・ず・か・・・・本庄静香か!

ありがとう友美!。


サムズアップで友美にお礼を返すと、静香の肩を叩く。

「どうした静香、撫でられるの嫌だったか?命令以外は自分の意見を言ってもいいんだぞ?。」

すると頭を黙って振り、俺の手をつかみもう一度自分の頭に俺の手を乗せる。

撫でろってことか?

「撫でて欲しいのか?」

そのまま撫でると、さらに嗚咽を漏らす。

どうしよう、これどうしたら正解なの?

静香は顔を上げると、俺を見て子供のような表情をした。

「Vさん、私・・・私・・・はじめて甘えた・・・。夢だったんです、いつかお父さんが現れてくれるって・・・甘えさせてくれるって・・・。嬉しくて。」


こんちくしょー!

俺を泣かせる気か!

っていうか、もう涙出ちゃったよ。

ボロボロ泣きながら、思いっきり静香を抱き寄せる。

「くそー、お前達、辛い思いをしていたんだな。もう我慢しなくていいぞ!甘えたければ好きなだけ甘えろ!俺でよければ好きなだけ向って来い!。」


すると周り中が泣き出した。

「うわーーーーん。」

みんな声を出して泣き出す。

そうだ、この娘達はとっくに人間だったんだ。

ただ、親が居なかったからまだ子供のままなんだ。


すると皆がいっせに俺に手を伸ばしてきた。

え、ちょ、おま・・・

うおおおお、お前らホント一糸乱れぬ団体行動だな。

怖いよ!ゾンビ映画みたいで怖いよ!


逃げようとした。

だが捕まって引き倒された。


その後、俺も夢をかなえちまったよ。

美少女の集団にもみくちゃにされるという夢をな。

しかし、叶えない方がいい夢もあると知った。

もみくちゃ、めちゃくちゃ死ぬかと思った。


全員が正気に戻り俺から離れたら、最後まで俺に抱きついていたのは友美だった。

なんで友美が参加しているんだ。

せめて助けてください、友美さん。


まあ気を取り直して、おれは懇親の意味もこめて全員に飯をおごることにした。

どうよ、俺って良い兄貴分だろ。

聞くと、研究所暮らしで美味しいものを食べていなくて、ハンバーグやカレーみたいな有触れたモノを食べるのが夢だって娘までいた。

ほんと、どこまでも俺を泣かせるね、お前ら。

俺を干からびさせて殺す気か。


だから俺は食堂で叫んだ。

「俺のおごりだ、みんな好きなものを好きなだけ食え!」

「「「「やったー!」」」」


わははは、少女に奢るのはオッサンの務め。

さあ好きなだけ食うがいい。

だが彼女達の食事風景を見ていて、大事な事を忘れていたことに気がついた。


あ・・・・

しまった・・・・・


エスパー達の食事量は友美と互角。

うわ、いま食堂には友美が35人いるようなものなのか。

大食いの友美が35人って、普通の人計算で行くと何人分?

背筋が寒くなったが、いまさら引けない。


数分後

「「「「ご馳走様でした!」」」」


そういって俺に群がる少女たち。

大丈夫、俺の張り付いた笑顔にだれも気づいていない。

美味しいものをお腹一杯食べて、さっきまでの人形のような顔のものは1人も居なくなっていた。

みな年相応の素敵な笑顔になっている。

うん、・・・よかったな、お前達・・・。


さらに友美はテンションが上がって

「じゃあつぎはトランプして遊ぼう!」

とか言って、俺も引っ張ってエスパー部隊を自室に呼び込んだ。


今俺は女子高の先生になった気分でトランプをしながら、食堂の支払額を考えて恐怖している。

おれをここまで怯えさせるとは、なかなかやるな、エスパー部隊。


次の日、再度訓練のためにエスパー部隊の待機する訓練室に行くと、全員手にメガネを持っていた。

俺が入って近づくと、やはり全員を代表して指揮官の佐藤柏が俺に敬礼をしてきた。

「おはようございます、Vさん。甘えてもいいという話でしたので今日は最初にお願いしたいことがあります。」

お、いきなり甘えるのか。

いいぞ、おっちゃん甘えれちゃうぞ。

「お、自主性があって良いね。なんだい、言ってごらん。」

「ありがとうございます。訓練の前に私達にメガネをかけて欲しいのであります。メガネをかけてもらえれば、自分達は安心してVさんの下で働けます。お願いします!」


差し出されたメガネ。


メガネをかけるという事は、主人を確定することになる。それが彼女達に埋め込まれたプログラムだ。

ちょっと迷った。

しかし、すぐに俺は覚悟をきめる。


俺が掛けなくても、いつか誰かがこのプログラムを利用してこの娘達を支配しようとするかもしれない。

いや、そういう奴は必ず現れる。

だったら、今は俺がメガネをかけてあげた方が、イロイロこの娘達も安全だろう。


俺はメガネを受け取ると、そっと佐藤柏にかけてあげた。

「メガネをかけるが、これは俺が保護者になるという事で支配者になるという事ではない。とはいえ、これからは頼りさせてもらう。よろしくな。」


すると、柏は今まで見せたことないような無邪気な笑顔をした。

「ありがとうございます。不肖、佐藤柏。ただ今よりVさんを兄と思い献身したします!。」

う、なにこの可愛い生き物。


芽衣の時もそうだっかけど、メガネかけると急に表情が柔らかくなるものなのか?

そのあと全員にメガネを掛けてあげたが、やっぱり全員フレンドリーになった。


強力な味方が増えた。

記念に整列するエスパー部隊と一緒に記念撮影して妹に贈ってやった。

『お前に妹が33人増えたぞ』とメッセージをつけて。


戦いが終わったとき、この記念撮影したメンバーが一人も欠けていない事を俺は祈った。

お読みくださりありがとうございます。

ネタバレ:しばらくしたら、エスパー部隊も活躍します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングアップのために、↓↓クリックしてくれると嬉しいです
小説家になろう 勝手にランキング

第四部はこちら
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ