その40 俺ってヒーローかもと思った瞬間
やっぱESPさえ無力化させてしまえば、所詮敵は少女の集団。
あっというまに33人倒しちゃった。
10分掛からなかったんじゃないかな。
まあ少女を攻撃した事で、俺の心はいまボロボロだけど。
敵は35人居るはずなので、あと2人か。
事態を把握するために友美や国持所長が居る部屋に帰ってくる。
俺が友美の部屋に帰ってくると、なんかヤバそうな事態が見えた。
まずい!あれ喰らったらあかんタイプの攻撃だ!
俺は咄嗟に、友美にセットしてもらっていた白面のスイッチ「キャンセル」を発動させて飛び込む。
その瞬間、敵の槍状のESPが友美に向かって飛び出した。
間に合え!
アチョ!
四本の槍に俺チョップ炸裂。
一瞬でESPの槍は消え去った。
あぶねー。初めてイケメンスイッチに感謝した。
俺は振り返り、友美を守る全ての人に言った。
「すまない、またせたな。」
振り返った瞬間、全員の顔に安堵というか喜びの表情が見える。
あれ、いま俺って超ヒーロー状態?。
エスパーの男は俺を見ながら凄い憎悪をこめた顔になる。
「それはイケメンスイッチ!貴様はイケメンマスターか!女エスパー達は何をやってるんだ、33人も居てイケメンスイッチの足止めもできないのか!」
こいつ馬鹿だな。
「33人の少女ならとっくに気絶させたさ。俺にESPは効かないんだ、少女が何人かかってこようと足止めにもならないさ。」
「ば、ばかな・・・・。」
困惑する男エスパーを無視して、おれは友美にイケメンスイッチを投げる。
「友美ちゃん青面だ。」
友美は受け取ると、一瞬で青面を作ってスイッチを差し出す。相変わらず早いな。
そのスイッチを夏子が受け取り芽衣に渡す。
芽衣が俺にスイッチを差し出した。
このイケメンスイッチのバケツリレーは、この場にいる人間の連帯感の象徴のように感じられる光景だった。
「サンキュー」
おれはスイッチを受け取りポケットに押し込む。
「おいイケメン、俺にESPは効かない、どうするよ。」
俺はそういうなり、目の前のエスパーのみぞおちにパンチを打ち込んだ。
ふふふ、今度の敵は男だ。遠慮なく行くぜ。
ゴズン。
だが殴った瞬間、異常に硬い感触が帰ってきた。
すると目の前のエスパーは服を脱いだ。
エスパーの服の下には、爆弾が巻きつけられていた。
「ヒヒヒ、イケメンマスターよ。俺はお前を殺せれば任務終了だ。俺が死ねば爆弾が爆発して巻きこまれるぞ!。」
まったく、なんでこういう馬鹿なことをするかね。
こいつも助けようと思ったけど気が変わった。
こいつは狂った方向に暴走している。
助けようとしたら、きっとコッチの仲間に被害が出るだろう。
爆弾を見た後ろの連中にも、全員が緊張が走るのが伝わってくる。
だが俺にかかれば心配無用だと見せてよろう。
「馬鹿エスパーに、良い事おしえてやるよ」
俺は、冷静に目の前のエスパーに肩でタックルをかける。
「ぐはあ」
エスパーは吹っ飛ばされて部屋から飛び出した。
そこで俺は、さらに勢い良く両掌でふっとばしながらいう。
「厄介な爆発物はな・・・・」
ズドム
エスパーは、廊下の窓まで吹っ飛ばされた。
「お外に捨てれば良いんだよ!」
そう言いながら、全力の前蹴りで蹴り飛ばした。
バリン
エスパーは窓から外に飛び出した。
俺は冷静にイケメンスイッチを出してスイッチを窓の外に向ける。
「グッバイ、イケメンのエスパー君。助けてやれずに悪いな。」
そう言いながら、グラスでも弾くように人差し指でスイッチを弾いた。
カチン
同時に外で爆音と炎が巻き上がる。
ドガアアアアアアン!
建物のほかの窓が衝撃波で割れ、爆風が建物の仲間で吹き荒らす。
しかし外の爆発により人が怪我をする事はなかった。
危ないものは外に捨てて処分すればいい。それだけだ。
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また、いつものように俺たちの朝は、ホテルのバイキングから始まる。
二人の凄い食べっぷりは、もはや名物級だ。
友美と芽衣の食事姿を見ながら、昨夜のことを思い出していた。
あの後、国持ち所長から長井ともう一人の男のエスパーは7才で病気で死亡した直後に、研究所で引き取りエスパーとして改造蘇生させたと聞かせてもらった。
7才に成長してからエスパーになったため、自我が強かったのか?。
それとも死亡から蘇生させたときに脳が破損して人格障害が出たのだろうか?
なんであれ、危険思想で自我構成されていて、問題児だったらしい。
でも俺の印象は、産まれたときからエスパーだった少女達と違って、成長してから大きな力を手に入れた長井は力に酔ったのではないかと思う。
エスパーの少女たちが型番で呼ばれていたのたいして、男のエスパーは名前があったのは、研究所の外で生まれたためなんだな・・・。
そうそう、そういえば昨日は友美も熱かった。
昨日、ホテルに帰るなり、友美は俺につかみかかり
「勝負ですよVさん。私の理想のイケメンマスターになってもらいます。Vさんが私の理想を変えるのが先か、Vさんが私色にそまるか勝負です。」
そう叫んだときは、かなり驚いたが、同時に安心した。
そうか、この娘は俺と居てくれるのか。
実は7年前に、俺は大きな挫折をした事がある。
それ以来、自分の人生の意味を見失いながら生きてきた。
人生の役目なんて失ったはずの俺が、これからもこの少女を守る役が出来るというのだから嬉しくなる。
そんなことを考えながら、ボーと二人の食事を眺めていると、芽衣は俺に食事を差し出してくれた。
「Vっちも食べないと無くなっちゃうよ。オススメを持ってきたから食べて食べて。」
俺は驚きながら受け取る。
「あ、ありがとう。おれ誰かに食事よそってもらったの久しぶりかも。」
そういうと、芽衣は驚いた顔をした。
「え?友美っちはやってくれなの?Vっちは優しくするばっかりで可哀想だねえ。」
そう言いながら、俺の肩をぽんと叩く。
ありがとう、俺の苦労を理解してくれて。
俺も無言で芽衣の肩を叩いた。
同士だな、俺たち。
すると友美は凄い形相で、自分の前の皿を二つほど掴むと俺の顔にゴツリとぶつけてきた。
「そんなことないもん。Vさん、コレ食べてください。ほら。」
ゴリゴリ
い、痛いです友美さん。
しかし、初めて友美が自分の食べ物を人に渡すところを見た。
今までは人から食べ物を奪う事はあっても、与える事なんてなかったのに。
うんうん、人に食べ物を渡すという所まで成長してくれて俺は嬉しいよ。
友達の力って偉大だな。
俺は、とほほという顔をしながらも
「ありがとう、友美ちゃんが持ってきてくれた食事は特別おいしそうだよ」
そういって受け取った。
友美は満面の笑みで返してきた。
ち、こいつの笑顔は反則技だなちくしょう。
何となく、未だに会社をサボりながら友美と一緒にいる自分に不安もあるが、この笑顔が見れるなら、まあ良いかとか思う俺は、もうヤバイかも知れないと少し思った。
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