その39 友美から見た大人たち
第三者視点です
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友美達が待機している部屋
所長の国持はタブレット端末から、所内の様子をチェックしていた。
「うほほほ、あのイケメンマスターは凄いのう。あっというまにエスパー軍団を倒していきおるわい。しかも本当に殺さず倒しおる。あのエスパー軍団は特殊部隊ですら倒せると自負しておったんじゃがな。イケメンマスターにはどのみち通用しなかったということかのう。」
その言葉が耳に入った友美は冷たい表情をしつつも、どこか嬉しそうに国持ち所長を向く。
「当然です、Vさんはなんでも凄い人なんです。Vさんさえいれば大体なんでも解決するくらいの人なんですよ。最高のイケメンマスターなのです。」
そんな友美の肩に夏子は優しく手を置いた。
「友美ちゃんはVさんが本当に大好きなのですね。」
友美は一瞬照れた表情をしたが、すぐに力強く答える。
「当然です!Vさんだけいればいいと思うくらいです!。あ、あと芽衣も。」
そう言って、友美は芽衣を見てテヘっとわらった。
芽衣も微笑み返す。
「わたしもVっちと友美っちがいればそれで良いよ。友美っちがVっちのお嫁さんになったら、わたしはVっちの愛人になる勢いだよ。」
友美は楽しそうに芽衣を指差すと
「ですよねー」
とキャッキャとわらった。
それを見ていた秋彦は小声でつぶやく。
「荒川君はたいした男だ。友美を血の通う少女に戻してしまうとは。」
そのつぶやきに国持所長が返す。
「確かにおどろいたわい。あの友美が・・・。今度のイケメンマスターは不細工な外見の中に、イケメンな精神を持った男なのかもしれんのう。」
「はい、兄とは違います。なんというか、話してみると友美がべったり懐いている理由が分かるというか、不思議な男です。」
「まったくじゃ。」
すると扉が勢い良く開いた。
部屋に居た全員が開いたドアのほうを向く。
そこには1人の男が立っていた。
その男を見て、国持所長は忌々しげにその男の名を口にする。
「長井臣人・・・、そうか女のエスパーをイケメンスイッチへのおとりに使い、自分はターゲットを殺しに来たか。あいかわらず狡猾な奴じゃわい。」
長井はゆっくり歩いて近づく。
金子達はすぐに攻撃をしようと動いた。
しかし、長井が手を突き出すと、金子チームは一瞬で吹き飛ばされて、壁に叩きつけられた。
すでに、イケメンスイッチのキャンセルの効果は消えているようだ。
全員、一瞬で気絶した。
本来エスパーと常人にはコレくらいの差がある。
長井は友美を見つけると、邪悪に口元を吊り上げさせて笑った。
「はじめまして。俺はS級エスパーの長井臣人です。とうとう見つけたぞ、イケメンマスターの娘にして、イケメンスイッチの巫女、天道友美。お前を殺してイケメンスイッチを封印するのが我らが悲願。ここで死んでもらうぞ。」
長井が友美に手を伸ばす。
「死ね、天道友美!。」
次の瞬間、友美に向けて長井の手から凄い衝撃波が打ち出された。
一瞬だが、空気が白くにごる。
友美はぎゅっと目をつぶった。
しかし、そのとき秋彦が飛び出した。
「させん!」
どごお!
秋彦は友美の前に立ちはだかると、強く踏み込みながら背中で衝撃波を受ける。
背を斜めに当てて衝撃波をうまく逃がしたが、衝撃で秋彦は軽く吹っ飛ばされた。
目を見開く友美
「お、叔父様!。」
長井はヒューと口笛を吹いてニヤニヤと倒れた秋彦を見下ろした。
「おやおや、殺すつもりで打った衝撃波を耐えるとはたいしたものですな。だがもう立てまい。」
そう言いながら。今度は手の中で衝撃波の玉を作り出す。
白く空気がにごる玉。
その玉がニューと伸びて槍状になる。
長井はそれを構えて、友美に向けて投げる構えをした。
すると今度は夏子が友美を抱きしめてきた。
「友美ちゃんを殺すなんて意味が分かりません。やめてください。」
友美はあわてて夏子を引き離そうとした。
「夏子さんはなれて。一緒に殺されちゃいますよ。」
しかし長井は待ってくれなかった。
「ヒヒヒ、だったら二人一緒に死ね!」
衝撃波の槍が二人に向かって投げ放たれた。
その瞬間。
バギギギギギ
衝撃波の槍に別の衝撃波がぶつかり止めた。
歌田芽衣だった。
長井は叫ぶ
「イの4号!お前裏切る気か!そいつはイケメンマスターの娘だぞ!」
バキュアン!
芽衣は長井の衝撃波を横に弾く。
「友美っちは友美っちです。イケメンマスターの娘だとかは関係ないよ。私の友達なんです!。今のイケメンマスターだって私は大好き。殺すなんておかしいですよ!。」
長居はイラついた顔で、さらに衝撃波の槍を空中に4本作り出した。
「ち、バグめ。だったらお前も一緒に殺してあげましょう。」
一本でもギリギリだった衝撃波の槍。それが四本。
おそらく手に負えない。
しかし芽衣は手を突き出し、戦う姿勢を示した。
友美は芽衣に向かって叫んだ。
「芽衣やめてよ、逃げて。逃げてよ。」
しかし芽衣は自分の中のESPを極限まで高めなが答える。
「確かに友美っちをはじめて見た時は咄嗟に殺そうと思ったよ。でも友美っちは拾った私に治療してくれていたでしょ。嬉しかった。友美っちは兵器だった私の初めての友達なんだよ。それにVっちも私を友美っちと一緒に優しくしてくれた。私みたいな兵器を人として扱ってくれたじゃん。だから二人のためなら、私は死ぬのも怖くないよ。兵器なのに持ち主を選べた私は幸せだよ。」
すると国持所長がひょっこり前に出てくる。
「やれやれ、イケメンマスターのせいで小娘がたいへんじゃわい。しょうがない、このジジイもイケメンマスターの宝物を守ってやるかの。」
そう言って杖を構えて芽衣の隣に立った。
さらにどうにか立ち上がった秋彦も、ふらふらと芽衣の横に立つ。
「友美、私を兄さんの敵だと思い、お前が私を嫌っているのは知っている。だが私は兄さんを助けたかった。だから言いにくい事も言ってきた。今のイケメンマスターはお前の父とは真逆の人間だ。今のうちに決めておけ。荒川君の考えがお前の父の考えを否定するとき、お前はどっちを信じるのかを。そのときは遠からず来るぞ。」
友美は秋彦がなぜ今ココでこんなことを言うのかと理解できなかった。
すると秋彦は続ける
「これはわたしの遺言になるかもしれないからよく聞きなさい。お前の父がイケメンスイッチを振りかざさなければ『イケメン爆滅団』もこの『対イケメンマスターエスパー』も生まれなかった。わかるかい?。」
友美は泣きながら首を横に振る 。
秋彦がVの手紙と同じような事を言い出した事に混乱した。
認めたくなかった、Vが確かに秋彦と同じような考え方をすることを。
秋彦は更に続ける。
「お前の父は敵を生み出し、荒川武威は味方を作った。私はイケメンマスターVなら信じる。お前は父と荒川君のどちらを信じるんだ!。」
そんな会話をしているなか、芽衣は全力で長井の衝撃波の槍を小さい衝撃波で攻撃して、完成しないように妨害していた。
しかし、力の差は歴然だった。
芽衣の時間稼ぎも虚しく、長井の衝撃波の槍が完成し4本友美に向く。
長居は叫んだ。
「死ね!イケメンスイッチの巫女!」
長井が振り上げた手を、勢い良く友美に振り下ろした。
その瞬間。
カチン
入り口からスイッチの音と共にVが割って入ってきた。
バチッ!
衝撃波の槍は、光に包まれたVの手刀が切り裂き消し去る。
友美を背に立っていたVは振り返り、ニヤリとした。
「すまない、待たせたな。」
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次回からはまたV視点。




