その3 当ててんのよとか言いだしそう
少女の友美を逃がして数分戦っただろうか
敵も俺も息を切らしている。
お互いスタミナ不足で決定打に欠けたが、俺としては時間さえ稼げればよかったので問題なし。
負けない堅実な戦いをして時間を稼いでいた。
「そろそろ・・・いいかな?」
俺は、逃げ出そうかと考えていたとき、遠くから俺たちに叫ぶ声が聞こえた。
「そいつらはもう良いですから、こっちを助けてください!お化けみたいな不細工なおじいちゃんに、イケメンスイッチを奪われてしまいました!」
さっきの少女・友美だ。
おいおい、なに戻ってきてるんだよ。
まったく、何なんだあの娘は。
だが友美ちゃんの言葉に、俺以上に目の前の不細工な4人がぎょっと反応した。
不細工たちは急に俺に向かって 慌てふためく。
「おい、ココまで戦ってなんだが、お前と戦う意味はなくなった、俺たちはイケメンスイッチを追わないといけない。天道友美にも手をださないから、見逃してくれ。」
俺は困惑した。
困惑しながら友美と敵を交互に見ていると友美は俺の横まで走りよってきた。
まあ、終わってくれるならそれでいいか。
確かに無駄な争いはコレ以上は避けたい。
俺はうなずき
「去るなら追わぬ。」
そう言い放つと、敵は「ありがとう」と言いのこし、走って去っていった。
走り去る奴らの背中を見ていると、友美は俺の手を引っ張る。
「お願いします、イケメンスイッチを取り戻してください。あいつらよりも先に取り戻さないと、大変なことになります。」
「ええええ、俺にまだ戦わせる気なの?勘弁してよ」
友美、、、美少女だからってオッサンがホイホイいう事聞くと思うなよ。
命賭けてまで美少女の我がままに付き合う気は無いんだけど。
すると友美は、少女とは思えない馬鹿力で俺の腕を抱え込む。
うん、腕を抱えられても胸が当たってる感触が無い。
当ててんだろうけど、うん、なんというか、あれだ、これからだぞ友美ちゃん。
そんな俺の生暖かい目を睨むように友美は必至に言葉を続ける。
「無駄な才能が花開くときじゃないですか、はやく行きましょう!。私からイケメンスイッチを奪った老人は、躊躇無く人を爆発させるんです。私、さっきお爺ちゃんが見知らぬ青年をスイッチで爆破させるの見たんです。あのお爺ちゃん、自分が爆発させた相手が近すぎてうっかり衝撃を受けて気を失ったんですが、その隙に私がスイッチを奪うのに成功したんです。これは奇跡的な偶然で凄いチャンスだったんです。でもまた奪い返されてしまいました。私がまたはやく奪い返さないと大変なんです。」
一生懸命説明してくれるのはいいけど、何を言いたいのかさっぱり分からないや。
「こらこら友美さん、君は混乱しすぎだよ。支離滅裂で何言ってるのかさっぱり分からないよ。」
「もおお、つまり大事なものがヤバイ奴に奪われたから、取り返してくださいっていってるんです。あなたが取り返してくれなかったら、さっきの四人が奪ってしまうんです。」
どうやら友美は是が非でも俺に頼みこむ気らしい。
何故さっきの奴らが奪ってはいけないのか分からないが、俺はこの娘の必死さがただの我がままだとは思えなくなってきていた。
まあ、乗りかかった船と諦めて俺は友美を最後まで助ける覚悟を決めるか。
これはあれだ、俺はロリコンではないがこの異常な血の街の中で感覚がおかしくなっているんだと思う。
だからこの美少女の言う事を聞いてあげるんであって、ロリコンだかホイホイ美少女に着いて行く訳ではないから。
って、いや、俺は誰に言い訳しているんだ。自分に言い訳とかしても意味ないのに。
自分にやましいところがあるのか?もしかして俺は本当は・・・
まあいいや、気を取り直そう。
おれを胸を張って笑顔で友美を見つめ返す。
「OKわかったよ、こうなったらお嬢ちゃんの我がままに付き合ってあげるよ。ちなみに俺の名は荒川武威。みんなからはVと呼ばれている。友美ちゃんも俺をVと呼ぶといい。」
さあて、しょうがないけど、もう一勝負いきますか。