表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/131

その30 必殺・友美クロー

俺は追加の調査をいくつか金子達に頼んで、友美と芽衣をつれて部屋に戻る。


今までの話で、引っかかる部分を推理できる情報が手に入るまで動かないつもりなので、落ち着いてコーヒーでも飲むことにした。


コーヒーを口に運びながら、今後の動き方を考えつつ部屋の中に目をやる。

そこに膝を抱えてテレビを食い入るように見る友美と芽衣の背中があった。

二人並んで、かなり真剣にテレビを見ている。

番組の内容はくだらないバラエティだ。


すると芽衣が口を開く。

「友美っち、テレビって面白いね。あたしさ、テレビをしっかり見るの初めてなんだ。」

それに対して、友美はテレビから目を離さずに答えた。

「あ、私もテレビをしっかりみるの初めてだよ。面白いね。」

そして二人、また無言でテレビを見つめる。


テレビを見たことが無い?

まじか?


俺はちょっと耳をうたがった。しかし少し考えて納得もした。

この非常識な人生を歩んできた二人の少女なら、テレビを見ない生活であっても不思議は無い。

さりげない会話だったが、あらためてこの二人の過酷な環境を思い知らされた。

些細な事に人生のハードさを滲み出さしてくる少女達に、何とも言えない気持ちにさせられた。


そして俺は、動かない二人の少女の背中を眺めながら考える。

エスパーを作る研究所から逃げてきたと言う少女、歌田芽衣はおそらく嘘をついている。

しかし、イケメン爆滅団の罠という可能性は考えなくて良いだろう。

彼女を俺たちが助ける可能性は、あまりに低かったのだから。


問題は、芽衣の嘘が俺たちにとって致命的では無いかということだ。

その答えは、芽衣を追っている国持兵団研究を知らないと始まらない。

なので、判断するための切り口を多く持つために金子には「関係ないと思えるものも全て突っ込んでくるくらいのつもりで調べてくれ。情報が整理されている必要はない。」と伝えてある。


さらにもう一口コーヒーを飲む。

あんまり好きな味のコーヒーでは無いので、もうコーヒーはテーブルに置き、俺は芽衣に話しかけてみた。

「なあ芽衣、君はどのくらい逃げ続けていたの?」

芽衣は、振り返って俺を見る。

「そうですね、だいたい半年くらいですかね。最初は仲間と逃げていたんですけど、見つからないように、みんなバラバラに行動してますよ。」


そこで友美が話しに入ってきた。

「じゃあ、芽衣の仲間も助けるよ。ねえ、いいですよねVさん。」

そう言いながら俺を見た。


俺は、ゆったり足を組んで椅子の背もたれに身を預ける。

「どうかな、タブン可能だとは思うけど・・・そのためには芽衣が本当の敵を教えてくれないと戦えないな。どうやったって敵の中枢に行かないといけないんだからね。」

そういうと、芽衣の表情が一瞬硬くなる。


友美は急に怒った表情になり俺につっかかってきた

「Vさん、それは酷いんじゃにですか?芽衣が嘘をついているって言うんですか!。」

俺は他人をかばって怒る友美に少し嬉しくもなったが、まあそれは今は置いておこう。


しょうがないので、友美に説明した。

「いいかい、人間は生き残るためなら平気で嘘をつく。それが悪いと言うつもりは無いし、今まで嘘を言っていても俺は許す。すこしは落ち着いて俺たちを仲間だと思えてきたなら、それなりに本当のことを話して欲しいってだけさ。芽衣の境遇を考えたら、むしろ今俺たちに大事な部分で嘘を付いていないと考えるほうが不自然だ。」


「だけどVさん・・・いたたたた」

俺に反論しようとした友美をアイアンクローで制すと、芽衣に穏やかな口調で再度聞いた。

「どうだい芽衣、それに今言わなくても、向かってくる敵を調べていけばそのうち真実は分かるんだ。だったら今教えてくれた方が無駄な犠牲を少なく出来る。教えてくれないかい?。」


芽衣はうつむき、一分ほど黙って考えてた。

俺は、そのあいだ友美にアイアンクローをしながら待った。

すると友美が大絶叫をする

「Vさん、アイアンクロー外してください、痛いいいいい!」

俺は手を離すことなく友美に言った。

「いま芽衣が答えるのを待っているんだから静かにしなさい。芽衣が話したら開放してやんよ。」

そういうと、もう少し力を入れる。


友美はさらに絶叫する

「いたあああああい。ギブアップ!ギブアップです!!!!。」

痛みでもがく友美。


すると芽衣は慌てて俺のアイアンクローを外そうと、友美の頭に飛びついて頑張りながら言った。

「言います、はやく友美っちを離してあげて。敵は国持兵団研究所です。」

俺は友美を離さず、さらに質問する。

「芽衣の仲間は何人だ?」

聞きながら、俺は友美の首を捻る。

芽衣は慌てて答える。

「35人です!リーダーは臣人っていう男の人で、その人の指揮で私たちは逃げ出してきたんです!!。」


そこまで聞いて、おれは友美をぱっと離し、アイアンクローから開放した。

開放されて、ばたりと膝を突く友美に芽衣が駆け寄る。

「大丈夫?友美っち。ごめんね、私の話しに巻き込まれちゃって。」

すこし涙を出している友美は芽衣の肩をポンポンとたたきながら涙を拭いた。


「芽衣は悪く無いよ。悪いのは・・・あのVさんなんだから。大丈夫、もうすごい復讐しちゃうから。」

そういって、友美は芽衣に笑った。


すると、友美は急に俺に向かって飛びついてきた。

「痛いじゃないですか!おかえしです、必殺・友美クロー!!!!」

そう叫びながら、俺にアイアンクローをかけてきた。


必殺ってなんだよ、ぷぷぷ。

正直俺は鼻で笑いながらアイアンクローをあえて受けた。

だって少女のアイアンクローなんて・・・・


そう思っていたのだが、食らった瞬間激痛で驚いた。

凄い握力だ。

「いたたたたたたた、痛いです友美さん!。」

友美はギリギリと俺の頭を掴かむ。

骨がきしむ音が聞こえそうなレベルで痛い。


「だったら謝ってください。先に攻撃してきたのはVさんなんですからね!」

俺は、予想外の痛みに狼狽してしまった。

「すいません、すいません、勘弁してください友美さん。ごめんなさい。」

なにこの握力!痛すぎる、助けて!


すると友美は手を離し。

「もう!わたしが怒るとすぐ謝るのに、なんでひどいことするんですかね!。」

そう言いながら、俺の前で両手を腰に当てて仁王立ちをした。

「ま、まあ、そう怒るなよ。あはははは。」


おれは笑って誤魔化すしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングアップのために、↓↓クリックしてくれると嬉しいです
小説家になろう 勝手にランキング

第四部はこちら
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ