その27 親方!空から女の子が!
しかし、イケメンスイッチに呪われた俺たちに安息は無いのかもしれない。
あと出口のゲートまで100mほどのところに来て、ゲートに人が飛んできたのだ。
俺たちの遥か後方から、本当に投げ飛ばされたかのように飛んできた。
ドガン!
飛んできた黒服の男はゲートのぶつかり、衝撃で砕けた。
まるで、壁にたたきつけられた泥団子みたいに潰れ、弾かれるように地面に落ちて来た。
その場に居た、何百人もの人が一瞬止まって静かになる。
すると、さらにゲートに人が飛んできてぶつかった。
ドガン!
ドガン!
こんどは二人。
ゲートにぶつかると、なにかのショーかと思うほど、綺麗に破裂した。
その場に居た人たちは、それがアトラクションなのかどうか、すこし悩んでいるようだった。
まわりの人たちがザワめきだす。
みんな非日常すぎて理解できないのだろう。
しかし、ゲートの下近くに居た人が破裂した人の死体を手に取り、悲鳴を上げた。
「きゃああ!本物の人間!!」
その悲鳴が聞こえたとき、さらに数人空から落ちてきた。
今度は、ゲートではなく道の両脇に。
グチャ
グバン
ボギ
飛んできた人間は、落ちてくるたびに内臓をばら撒いて奇妙な形で地面にへばりつく。
そこで、大量の悲鳴があがった。
「きゃあああああ」
「うわああああ」
そうなったら、数秒でその場はパニックだ。
そこでこちらに不都合な状態になった。
なんと帰ろうとしていた客達は、出口に向かわず振り返ってこちらに向かって走り出したのだ。
最初にゲートにぶつかった人間の死体のせいで、ゲートと反対側に逃げたかったようだ。
俺は、やっと異常に気づいた友美を脇に抱えると、パニックの人間に巻き込まれないために道の横に飛び込んだ。
パニックをした人間はまっすぐ逃げるため、横に逃げてやり過ごすほうが逃げて走るよりも安全だし、ここで横に逃げて踏みとどまるほうが早く出口に迎えると俺は考えたからだ。
そこで金子は護衛チームに叫ぶ
「友美様の前に壁になって、暴走人間をやりすごすんや!。」
その指示により、群集が道の横に人が飛び込んでこないよう、護衛チームは人の壁となって、走ってきた人間をやり過ごしてくれている。
咄嗟に俺の考えに同調してチームを動かしたか。金子、やっぱり頼りになる奴だ。
パニックになった連中が園内に走り去ったあと、俺たちはすぐに出口のゲートに向かおうとした。
その前に・・・
「友美、イケメンスイッチの緑面だ!」
友美もすこし混乱しているようだが、俺の言葉に本能的に反応してイケメンスイッチを出し、数秒で緑面をそろえてスイッチを出した。
スイッチには「イメージ」と書いてある。
このスイッチは、アバウトな指定でも相手を爆破できる。
友美は危険になれてるだけあって、さすがに大体把握しているようだった。
「Vさん、また人が飛んでくる前に外に出るんでしょ。なんでスイッチがいるんですか?。」
俺は冷たい目で答えた。
「万が一、友美が避けられないと判断したら、飛んできた人間を爆破する。だが、もしもブサメンが飛んできたなら、護衛の誰かを爆破して友美を人間爆撃から守る」
その瞬間、護衛チームに緊張が走ったが、すぐに金子は一人を指差した。
指差された体育会系のイケメン男「村中」はうなずくと、黙ってすぐに友美の後ろに走りよった。
友美は慌てる
「Vさん、本気ですか?」
俺は冷たい目のまま友美に答えた。
「人間が飛んでくれば、衝撃は何十トンあるかわかわらない。爆破するしかないんだよ。仲間を殺したくなかったら、俺の指示通り本気で走れよ。」
友美は緊張した顔で、少し考えうなずいた。
すると金子が
「残りの護衛チームは、すぐにゲートまで20m間隔で道に立て。そこから後ろを向いて人が飛んでこんか監視。万が一人間が飛んできて、友美様が避きれないと思ったら、あきらめて空飛ぶ人間と友美様の間に立つんや。配置!」
そう叫ぶと、チームの人間は素早くゲートまでの道の真ん中に、20m間隔でスタンバイした。
まったく。こう賢い連中ばっかりいると、危機状態なのに気分いいね。
「よし、ついてこい友美!」
そう叫んで俺は走り出す。
友美も俺について走り出した。
しかし、本当に呪いかと思うほど俺は運が悪いらしい。
空に向ってガッデムと吐きたくなった。
70mほど走ったところで、護衛チームの一人が叫ぶ。
「人が飛んできます!」
するとすかさず、金子も叫ぶ。
「だいじょうぶや、これはゲートに直撃コース、Vさん一旦止ってください!」
俺は、止り素早く転進。そこで勢いあまって止まれない友美を受け止めた。
確かに俺たちを飛び越えるコースだ。
すぐにその人間はゲートにぶつかった。
しかし、破裂しなかった。
ごごおおおおん。
なんとゲートに直撃し、ゲートを破壊して道まで落下したのだ。
ゲートは音を立てて崩れた。
俺は一瞬判断に迷ったがすぐに叫んだ。
「走り抜ける!」
俺と友美はすぐに壊れたゲートへ向かって再び走り出す。
壊れたゲートの瓦礫を素早く上り、外に出ると俺はそのまま走りぬけようとした。
しかし、そこで友美が足を止めて叫んだ
「ま、まってVさん、この娘生きてますよ!今動きました。」
見ると、確かに一瞬指が動く。
死後に体が動くのよくあることだ。
しかし、友美が足を止めてては面倒だ。
俺は金子に言った
「誰かにこの娘を背負ってつれてくるよう指示してくれ。」
そして友美を見て
「この娘は金子達に任せて、俺たちは走り抜けるぞ。」
友美がコクリと頷いたのを確認し、友美の手を引いて俺は走り出した。




