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その24 男の娘

次の日

ぐっすり眠って絶好調になった俺と友美はそっと新橋に向かった。

そこから、金子達を追いかけるために。


金子たちには、不信感で俺達が護衛を振り切って逃げたという設定で演技をしてもらっている。

実際、友美は護衛たちを嫌っていたし、護衛がいても敵に急襲されたのだから、俺達が不信感で姿を消しても不自然ではないだろう。


有楽町まで金子達をストーキングしていたら友美は楽しそうになっていたので安心したよ。

人を尾行するのって、やってみると純粋に楽しいからな。

そうしてお昼頃まで尾行したら、見つけた。

思った通り、奴も居たのだ。

神崎だ。


神埼は変装して金子達の数10メートル後ろから尾行をしているようだった。

神崎はスパイだったのだから、情報を探りに来るのは分かっていた。

そして当然、俺たちが死なずに姿を消したことで慌てただろう。

だが丁度いいことに金子たちが必死に捜索する。

スパイをするような奴の思考ならば、捜索者の金子たちを追うことで楽に、俺たちに行き着くと判断すると予想したのだ。


だが奴はミスをした。

俺は、相手の先を読むのが好きでね、先手は取らせてもらっているという事を。

神埼は間抜けに俺と友美に尾行されているが全く気づかない。

誰かを尾行している奴は、案外自分が尾行されている事には気づかないものなのだ。

ここまでは成功だ。


俺の思考は次のフェイズに入っていた。

次に、あの気持ち悪いオタク☆マギカをさがさねばならない。

たとえ何日でも、神埼を尾行する覚悟は出来ているし、そうそれば必ずキモいおっさん達を見つけられると考えている。


そして、俺はできるだけ地味な姿の不細工が居ないか注意を払っていた。

俺は連中が、普段は地味な服装であろうと予想しているからだ。


なんせ中年が、あんな魔法少女の格好をしていたら目立つ。

すっげえ目立つというか、むしろ目が離せないキモさだ。


だが俺たちは、秋葉原を散策しているときにその存在に気づかなかった。

だから、普段は地味な格好をしていて、戦闘直前に着替えるのだと予想したのだ。


さらに1地時間ほど神崎を尾行していたら、一人の中年が神崎に接触してきた。

気持ち悪い顔をした中年だった。


よし、思ったよりも早く尻尾を掴んだ。

俺たちは神崎の尾行をやめて、その中年の後を追った。


神埼から目を離しても心配は無い。

なぜなら奴は頼まなくても金子を追いかけていてくれる。

金子の居る位置がやつの居る場所だ。



尾行をおっさんに切り替えて数分後、さらに気持ち悪い若者2人と中年が1人が合流してファミレスに入っていく。

間違ない、そのうちの3人は見覚えがある。こいつらがオタク☆マギカだ。

ウィッグを外して地味な格好をしているが、あの不細工さは特徴的すぎて、むしろ見間違えるのが難しい。


店の外から五人を見る俺に友美は聞いてきた。

「あと一人を待って、オタク☆マギカを一網打尽に殲滅しましょう。」

「ん?あと一人?これで全員だろ。」

すると友美は俺によじ登るように掴みかかる。

「何言ってるんですか、ステーキ屋で現れたのが4人で、外からランチャーを撃ってきたのが一人ですから全部で五人ですよ。今ファミレスに居るのは4人だけじゃないですか。」

「何言ってるんだ、これで全部だ。そとからランチャーを撃って来た『マミさん』は神埼だからな。無線では声を裏返していたけど、あの程度で誤魔化せると思われたのは心外だよ。」

俺の言葉を聞き、友美は驚いていた。


「ええ、なんで分かったんですか?」

「いや分かるよ。俺は声を変えて別人を装おうとするやつを見つけるの得意なんだ。会社でも時々ズル休みしようとして風邪声を装うやつが本当に風邪かどうかとか電話越しに見抜くの得意だったんだ。」

「へえ、サラリーマンてすごいんですね。」

「ま、そんな事はいいさ。やつらをファミレスから引っ張り出して爆発させよう。」

「そのまえに、イロイロ準備するからちょっと待って。」

俺は持っていた鞄から、今回秋葉原で買い揃えたイケメンスイッチ用道具を引っ張り出す。


その間に友美はイケメンスイッチを用意していた。

「自爆ダイナミック(奥多摩で使ったイケメンスイッチ技)で倒しますか?」


俺は首を横に振り

「いや、今回は新技を試したい。それでダメなら自爆ダイナミックでいこう。」

そしてカバンから出した今回の道具を見せつつ、友美に作戦「新技・男の娘」を説明した。

友美は感心してくれた。

「Vさん、天才的です。それ、案外いけるかもしれませんよ。」


そして戦いの準備を始める。

準備は簡単だ、明らかに子供の落書きみたいな化粧をして、人が目を背けたくなるような女装をするだけだ。

しかし、これでかなり気色悪さは上がる。つまりブサメン力がアップするのだ。


俺は秋葉原で買った「魔法少女・暁○ほむら」というキャラの服を着た。

サイズがぴちぴちなので、服はボタンがしまらず、パンチラしまくりよ。

我ながら、気色悪い。

そのうえ、友美にブサメンメイクでメイクダウンしてもらった。

友美は滅茶苦茶楽しそうだった。

子供らしい笑い声を上げながらメイクしてくれた。


鏡を見て、俺は仰け反る。

「うげげげげ、ヤバイ、自分の姿に吐きそう。」

しかし友美はさらに、ゲラゲラ笑いながら黒子の毛や、鼻血とか、髭の剃り残しとかも描いてくれる。

凄いレベルのブサメンが爆誕した予感だ!。


その状態で、

まずは友美に緑面のイケメンスイッチを出してもらう。

緑の「イメージで敵を倒せるスイッチ」を試してみるべきだと思ったから。

これで失敗したら、素直に青色の見える相手を爆発させられるスイッチで行こうと思う。

そして準備ができたところで、やつらを外におびき出すことにした。

「よし、友美ちゃんはあのファミレスの前を素知らぬふりで歩いて、そのまま向こうの公園までいってくれ。」

「飛び込んで引っ張り出すんでは無いんですか?」

「ああ、ただ前を通ればいい。やつらは友美ちゃんを見つけたら慌てて出てきて人目につかないように尾行をはじめるはずだ。尾行をするってことは極力まわりに人がいない場所に身を置くって事だろ。これでやつらは勝手に爆発に他人を巻き込まない場所に移動してくれる。そこを爆破するよ。」


それを聞いて友美は急に俺をジト目で見てきた。

「・・・Vさん、ちょっと判断力が高すぎませんか?お仕事って何していたんですか?」

なんか友美の目が怖い。

「え、え、前は公務員をしていて、その後にIT関連の会社に転職したんだよ。そ、それがなんか今問題なの?(汗たらたら)。」

「ふーん・・・・ま、今はいいですけど。じゃあ私はファミレスの前を優雅に歩いてきますね。」

何ともいえない迫力で友美は俺に背を向けた。

な、なんだよ。怒るところじゃないと思うんだけどな。

可愛い顔だから余計怖かったよ。


友美は、とても自然にファミレスの前を通り過ぎる。

すると、不細工なマギカ達は慌ててファミレスから飛び出してきた。

驚くほどこちらの思惑に乗ってくるな・・・。

せめて半分で追えよ。


まあ、都合がいいからいいけど。

四人が身を隠すように人気の居ないところに移動した瞬間、俺はスイッチの性能を試すために、あえて目をつぶり、連中に背を向けてスイッチを入れた。



「実は俺、自分でスイッチ入れるの初めて。死ね不細工☆マギカ共!!」


俺はカチンとスイッチを入れた。

その瞬間、いつもの爆音が鳴り響く。

まるでダイナマイトが爆発したような爆発力だった。


重低音の空気の振動が100メートルほど離れたココまで響いてきた。

イケメンスイッチ、凄まじいな。


そして今の俺はアイツラよりも不細工なのか。

なんか複雑な気持ち。


しかしオタク☆マギカ達よ。

お前たちを葬ったのは、魔法少女<おっさんだけど>だ。

その事を胸に成仏してくれ。

自分のブサメン力を上げて敵を倒す「新技・男の娘」は大成功だった。


皮肉な話だ。

この技のヒントをくれた女装のキモイ集団オタク☆マギカが、この技の最初の犠牲者になるとは。


女装した格好のまま金子に電話をし、事が終わったことを報告した。

ついでに、神埼の捕獲も行って情報を聞き出して欲しかったのだが

すぐに返ってきた返事は、金子たちの後方で神崎っぽい奴が爆発したという事だった。

しまった!神埼もオタク☆マギカのマミさんだったから、一緒に爆発してしまったのか。

この「イメージの範囲」で爆発させられるスイッチは危険だな。

今後この緑色のスイッチの使い方は気をつけることにしよう。


俺は、服を着替えると、正座して友美にメイクを落としてもらい、金子達と合流をした。


---

次の日。

ファミレスの四人がけの席で、俺と友美が向かい合って食事をしていると、金子がニコニコ寄ってきた。


友美はまだ金子を嫌ってるらしく、すっと金子に背を向ける。

金子と俺は「やれやれ」とう表情をした。

そして金子は図々しく友美の横に座ると、

「イケメンマスター、昨日のオタク☆マギカの爆発は隠蔽しといたんで安心しといてください。」

「おう、ありがとう」


あのあと、俺は金子とめちゃくちゃ打ち解けた。

いつか、チャンも呼んで、三人で飯でも食おう言う話にさえなっている。

友美は、そんな男同志の友情すら気に入らないらしく、余計金子を毛嫌うようになった。


今も、『こいつ早くどっか行け』という目で金子をにらんでいる。

金子は友美に一礼すると

「ではイケメンマスター、友美様が嫌がってるようやから自分はこれで。Vさんの頼みならどこでも行きますから、いつでも呼んでくださいな。」

そういって金子は去っていった。


友美は俺を急に指差して不機嫌に言う

「Vさん、金子と食事の約束するとかズリですす!私とも遊んでもらいますよ!。

明日は遊園地行きますよ!私はVさんしか遊び相手が居ないんですから、私の遊びには強制参加です!いいですね!。」

そういうと、目の前のプリンを1秒ほどでツルリと一気飲みした。


内心面倒だなと思いもするが、遊園地程度でもいけば笑顔を見せてくれるだろう。

まあ、なんというか可愛い奴だと思う俺であった。


あ、そういえば俺、会社を無断欠勤しっぱなしだ。

折角コネ入社した会社だったのにヤバイな。

ファミレスを出ると、おれは慌てて渋谷の大爆発に巻き込まれて大怪我しているからしばらく出社できないと嘘の電話をかけた。

でもきっと、この電話の内容が嘘だって俺の上司は気づいているんだろうな。

サラリーマンは恐ろしいよ。

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