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その20 秋葉原で7人のイケメン

結局奥多摩からバスや鈍行で移動して、東京の秋葉原に着いたのは次の日の早朝だった。

わざわざ秋葉原に来たが、秋葉原を目指したことに特に深い理由はない。

慣れ親しんだ場所のほうが、異常を感知しやすいのではないかという程度の話だ。


まあついでに、なにか便利な道具でもあったら買おうとは思っている。

前回の刺客『12人の妹好き』との戦いで、連中のポンチョが武器を隠す事ができると同時に、首や頭まで守る見事な防具だった事に感心したが、アレは彼らとの相性がよかったからいい装備となりえたのだと思う。


同じように俺にあった武器や道具が市販品にあるとは限らない。

だから俺の戦いを想定した武器や道具を考えながら揃えられたら良いな・・・。

そんな微妙な道具類が秋葉原にならあるのではないかなと、今街を散策している。

その後ろを、さりげなく7人のイケメン達が俺たちを見張っていた。


彼らは、俺たちが電車で秋葉原に着くと待っていた秘密教団「ペルシアの華」からの護衛。

友美も顔を知ってる奴が何人かいたので,人違いと言うわけではないようだ。

どうやら房代さんが連絡して用意してくれていたらしい。

うん、房代さん素晴らしいです。


7人全員がイケメンなのは俺への嫌がらせかと思ったが、特に他意はないらしい。

彼らからは「金子」「山田」「村中」「神崎」「朴」「田中」「木下」と自己紹介を受けている。

よし、これで俺は解放されるぞ!お役御免だよね。

なんて思っていた時期が私にもありました。


肝心の友美は彼らを見ようともしないで、俺のうしろを着いてきている。

彼らが気に入らないらしい。

いいじゃん、俺よりイケメンに守ってもらいなよー。

そう思ったのだが、友美は頑なに俺のそばから離れようとしない。

しょうがないから、今も一緒に行動している。


そもそも、7人の警護イケメンは第一印象が悪かった。

秋葉原で最初に彼らと合流したとき、護衛チームのリーダーである金子孝良が、俺を見るなり細い目でニコニコしながら

「いやあ友美様は流石ですなあ。見事なイケメンマスターを選ばれはった。これなら沢山敵を殺せますわな。」

と握手を求めてきたからだ。


そこで友美が激怒して、彼らに近づくなと命令し、今に至る。

怒る事無いのに・・・

そもそも昨日、イケメンマスターは適度に不細工でないとダメだって俺に説明したのは友美だろ。

なに?自分が俺の事を不細工って言うのはよくても、他人が言うのは許せない系?

こまった美少女さんだよ。


まあ、そんなこんなで今に至る。


諦めて開き直り、俺は小さいお店をいくつも回り、秋葉原の店めぐりを結構楽しんでいた。

微妙なモノが沢山売っていて楽しいっす。

俺は上機嫌で楽しんだ。


しかし、俺の後ろから付いてくる、美少女の天道友美はずっと不機嫌な顔。

ま、静かにしてくれてるのは楽なので、とくにご機嫌のフォローをしないでいる。


秋葉原はいいねえ、心が和むよ。

俺も不細工の一人として、それなりにPCや二次元に興味があるほうなので、秋葉原は庭みたいなものだ。

細かいものを買いながら、3時間ほど歩き回ったところで、とうとう友美が俺の腕を掴んで駄々をこねだした。


「もう、機械とかパーツとかばっかり見て疲れましたー。お腹すきましたー。おーなーかーすーいーたー」


言われてすでにお昼を過ぎている事に気が付いた。

ふう、秋葉原は魔物だよ、時間があっという間に過ぎてしまう。


しかし昼なのにお腹がすかなかったのは驚いた。

イケメンスイッチの副作用のせいで、俺はお腹がすかないらしい。

昨日の傷の治りの速さといい、今回の空腹を感じない事といい、ホント不思議なルービックキューブだ。


とはいえ、美味いものを食いたくないわけでもない。

ふと見ると、すぐそこにケバブ屋が見えた、

俺はそこを指差しながら友美の頭を鷲づかみにして、無理やりグリっとそっちに顔を向けさせる。

「では友美に、俺の大好物のアレを食べさせてあげようかな。ケバブをな。」

友美は急に活き活きした表情になった。


「アレはなんですか??美味しいものなんですか??。ああ、なんか良い匂いがしますよ。」

「おいおい、秋葉原といったらケバブでしょ。むしろ俺はココではケバブ以外の食い物は認めないくらいの勢いさ。好きなだけ食っていいぞ。ちなみに俺は三つは食べるね。」

「Vさんが無駄に三つも食べるんですか!!それは期待大です!。」


俺はケバブ屋で、華麗に8個ほどイロイロな種類のケバブを買うと、自販機でジュースを買いつつ公園に移動した。


そこのベンチに座って、友美とともにケバブを食べだす。


「Vさん、これ美味しいですよ!この肉のスパイシーさは見事ですよ!」

友美は得意のスーパー早食いで、一瞬のうちに二つのケバブを平らげた。

やっぱこの娘、食べるの早すぎ。

危険の中で生きてきた友美は、早食いも生き残るための習慣なのかな。


そんな友美の見事な食べっぷりを見ながら、俺もケバブを味わう。

普通にうまい。腹が減らなくても普通にうまいのか・・・。イケメンスイッチにはまだまだ謎が多い。


ケバブ8個は5~6人分くらいの食事量だが、俺と友美で食べきってしまった。

友美が6個食べて俺は2個。

友美の胃袋もイケメンスイッチなみに謎の一部に入れたくなる光景だった。


さらに友美は自販機で買った500mlの缶コーラをあっという間に飲み干す。

「ぷはー美味しかったです。やっと生き返ったって感じです。」

そういいながら、もう一本缶コーラを手にとり栓を空けようとした。


さすがに俺はソレを制したね。

「コーラの一気飲みとは、また地味に凄いな。でも、そんな一気食いや一気飲みしないで少し落ち着きなさいな。」

「やーだ、もう一本飲みたいです。コーラーかーえーしーてー。のーみーたーいー。」


その、伸ばすような我侭の言い方は、今日の友美のマイブームか?

うるさいから、俺は友美に缶を渡した。

すると、500mlのコーラを5秒ほどで、また一気飲みしてしまった。

友美さん、半端ねーっす。

しかし、キャッキャとご機嫌な友美を見て、俺も少し落ち着いた。


腹も膨れて少し気が抜けた。


そのタイミングを見事について、後ろか急に護衛チームのリーダーの金子が俺たちの会話に割って入ってきた。

「いやあ、友美様はイケメンマスターと無邪気に会話しはりますなあ。俺らとも楽しく接してくれませんかね。」


その瞬間、また友美の表情が硬くなる。

冷たく金子をにらむと

「邪魔です。消えなさい。」

そう言い放って、金子に背を向けた。

金子は図々しい笑顔を見せる。

「そりゃないですわ。イケメンスイッチが敵の手にあるときは、俺らはイケメンって理由だけで隠れてないけんかったんですよ。折角イケメンスイッチが戻ったんや、活躍させてくださいな。なあイケメンマスターもそう思いますやろ」


俺は昨日の、房代さんとのやり取りで学習しているので、金子に同調しない。

こんな所で友美にキレられたら面倒だ。

肩をすくめて「どうだろうね」という仕草を見せた。ここでもしも金子に「それもそうですね」とか言ったら、絶対に友美がキレて一人で走り出すんだろうな。

予測できたので、俺見事な対応だと思う。


すると金子は

「まったくお二人は、俺らの何が気に入らないんですか?困った人らやわ。」

そう言いながら、俺の肩に手をおいた。


バシ!

瞬間、友美は素早く俺の肩にのった金子の手を叩き払った。

「あなたの関西弁みたいな話し方が気に入りません。それと嫌味も、下品な口調も、その人を馬鹿にした態度も、みんな嫌いです。」


金子は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑み金子は全く動じてない。

「お、でもイケメンな部分は気に入らない理由に入っていませんな。イケメンマスターには無い俺らの美徳ですからな。そこは好きいうことですか?。」

そう言いながら、意地悪な微笑をした。


友美はさらに怒った口調になる。

「あなたたちの下品な面構えも嫌いです。消えなさい!」

そういうなり、スクリと立ち上がり歩き出してしまった。


あの娘、一人でどこ行くつもりなんだろう?

ま、考えて無いんだろうな。

そう思いながら俺は自分のコーラを飲みながら友美お背中を眺める。

友美は20メートル程歩くと、俺が後ろから着いて来てない事に気づき、急いで走って戻ってきたぞ。

すごく怖い顔してた。


「Vさん、なにのん気に座ってるんですか!行きますよ!早くそいつらの居ないところに行きましょう!早く!」

そういって、イラついた表情で俺の手をつかむとグイグイ俺を引っ張って歩き出した。

キャッ、強引な人。


すると金子は俺の背中に向けて独り言のようにつぶやく。

「新イケメンマスターさんはホントに友美様のお気に入りやね。羨ましいわ。友美様はブサ専なんかねえ。」


カチン!

と来ても不思議ではない一言だが、俺は何故か哀愁を感じてしまった。

俺を引っ張る友美の腕を一瞬で解き、背中から捕まえて持ち上げた。

これで少しは大人しくしてるだろう。

「あのさ、君らの気持ちもわかるつもりだよ。だから俺に探りを入れるのはいいけど、友美ちゃんを怒らせるのはやめてくれ。友美ちゃんがが不機嫌になるとなんか怖いからさ。」

そういって友美を見たら、俺に抱いて持ち上げられた友美が妙に大人しくしている

これもこれで怖い。


驚いたように俺と友美をなんども見てから金子は素直な笑顔を見せた。

「なんや、試してたのバレバレですか。こりゃマジでイケメンマスターの素質十分かもしれませんな。それに本当に友美様が懐いているようやし、意外とあんたは大当たりやしれませんな。」


金子、そんな寂しい笑顔をするなよ・・・

「しおらしい顔するなよ。まだ俺を品定めしてていいぞ。ところで、イケメンマスターの素質って、君はどう考えているんだ?」


すると金子は一瞬真面目な目をする。

「心がイケメンであることですわ。イケメンスイッチという絶対の力を手にしても人間らしい心でいられないと英雄とは呼ばれへんでしょ。力におぼれず、自然体で冷静で、あったかさを感じる事ができるような人。そういう人やないとイケメンマスターとして耐えられないと思いますわ。」

俺は、意外にまともな答えが返ってきたので、ニッコリ笑って頷くと、友美を地面に下ろして後ろ手に軽く金子に手を振って進んだ。


金子、やっぱりチャラいだけのイケメンではないな。

彼なりに真面目にものを考えて、しっかり自分の意見を持っているやつだ。

俺はお前の事は嫌いじゃないぜ。


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