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その18 まさか俺に惚れたのか?

俺は服を脱いで、房代さんに傷の様子を見てもらっていた。

房代さんの後ろから、友美が凄い形相でこっちを見ている。


しかし、この房代さんは思ったよりも大物かもしれないな。

睨む友美をまるで空気のように意にも介していない。

大人の余裕なのだろうか?


房代さんは俺の包帯を取ると、傷を見て驚いたという表情で言った

「これは凄いですよ。もう傷がふさがっています、驚きました。」

そう言いながら、俺の傷が有った場所をなでる。


グハ!く、くすぐったい。

すると友美が後ろから怒鳴る

「イケメンマスターはスイッチの加護により、傷の治りが早いんです。病気もしないし食事が無くても大丈夫という体になるんですよ!。」

そういうと、友美は立ち上がり、バンとふすまをあけてずんずん出て行った。


俺は房代さんに謝った。

「す、すいません。なんか今日は機嫌が悪いみたいで。」


すると房代さんは俺の服を直しながら

「いいえ、友美様があんなに感情むき出しなところをはじめて見ました。わたしは友美様が小さいときから知っていますから、今の友美様の気持ちもわかるんですよ。友美様はイケメンマスターのことが大好きなようですね。」

俺は困った顔で

「そうなんですかね、無理やりイケメンマスターにされましたからね。戦闘力が気に入られたのかもしれません。」


房代はクスリと笑うと

「あなたを見ていると、友美様の気持ちもわかります。私から見てもイケメンマスターは素敵ですもの。なんと言いますか・・・初めて会った気がしないと言いますか・・・。」

そういって俺の目を見る房代さんに、俺はドキリとした。


「な、なに言ってるんですか、からかわないでください。」

ドギマギする俺にむかって、房代さんはニコニコしながら手を握ってきた。

「そんな事ありませんよ。本当に・・・・」

何かを言いかけて、それを誤魔化すように微笑むと房代さんは一礼して部屋から出て行った。

俺はドキドキしながら考えた。


『ヤベ・・・・惚れたかも。』


・・・・・・・・・・・


友美は自己嫌悪していた。

なんで、あんな嫌な言い方しか出来なかったのだろうかと。

縁側で膝を抱えて座っている友美に、房代が後ろから声をかけた。

「友美様・・・」

友美は振り返らずに言う

「房代さん、さっきはごめんなさい。」


返事の代わりに房代は、優しい笑顔でゆっくり友美のとなりに座る

「イケメンマスターは凄い人ですね、たった一日で友美様をここまでべた惚れさせるなんて。」


その言葉に、友美は一瞬はっとしたが、、すぐに頷くと

「あのね、私はイケメンスイッチのために生きるんだといわれ続けていたし、この運命からは絶対逃げられないんだって言われてた。

私も私の価値はイケメンスイッチとセットだから有るんで、それが逃げられない運命だと思ってたの。

・・・でもVさんはイケメンスイッチのことなんて知らないのに私を命がけで助けてくれたの。ただの女の子の私を・・・しかも逃げろって言ってくれたの。逃げてはいけないって教えられて生きてきた私に逃げろって。

嬉しかった。

そのあともイケメンスイッチや自分の命よりも私を優先して守ろうとしてくれた・・・。わたしは初めて、イケメンスイッチの巫女としてでなく、普通の女子として大事にされて生きれたの。だから私は・・・・。」


房代は優しく友美の肩を抱いた。

「応援していますよ。イケメンマスターもいつかきっと理解してくれますよ・・・。」

「ふ、房代さん・・・」


そんな会話をVはうっかりトイレの中から聞いてしまった。


「き、気まずい、気まずいな。早く二人ともどっかいかないかな、トイレから出られないよ・・。」

そう思いながら、ふとトイレの窓から外を見るとマイクロバスが走ってるのが見えた。

見覚えのある車だ。


友美たちは気づいていない。

Vはこのチャンスを逃すまいと、そっとトイレの窓から、もぞもぞと外に出た。

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