表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/131

その17 不細工の王

小鳥の声が聞こえてくるなか、朝の日差しのまぶしさで俺は目を覚ました。

まずは天井が見え、つぎに布団の感触を感じる。

すこしボーっとしてから、夜のバス停で意識を失った事を思い出す。

そしてうっすら した意識の中で呟いてみた。


「俺は・・・助かったのか。助けられたのか?」


なにか俺に覆いかぶさる重さを感じたので横を見ると、友美が寝ていた。

俺の掛け布団をぎゅっとつかんだまま、寄り添うようにして。


美少女と添い寝ってか?

うん、悪くないからのん気に二度寝しようかなどと思っていると、俺が寝ている部屋のフスマがすーとあいて人が入ってきた。


女性だった。

年は30才くらいだろうか。

肩にかからないくらいに切りそろえられた髪で、細く長い目と少し厚い唇。

口元のほくろが印象な色っぽい顔立ちだった。

ゆったっりとしたセーターとふわりとしたスカートを着ていて、落ち着い雰囲気を感じる。


「よかった、お目覚めですね」

女性は、両膝をそろえるように俺の横に座ると、俺の顔に手をかけて言った。


「怪我による熱は無いようですね。傷は痛みませんか。一応縫っておきましたが。」

おれは、頬に触れる女性の手の感触で完全に目が覚めた。

「ココは?俺はどうしてここに?あなたは?。」


その俺の問いかけに女性が答えるようと少し唇が動いたところで、急に友美がむくりと起きた。

「房代さん、このあとの説明はわたしからイケメンマスターにしますので、食事の用意をお願いします。」


房代と呼ばれた女性は、友美の唐突な動作に少し驚くが、すぐに微笑む。

「はい友美様。それでは食事が出来ましたらお呼びしますね。」

そういうと、俺と友美に軽く会釈して部屋を出て行った。


「友美ちゃん、ここは。今の人は?。」

友美は甲斐甲斐しく俺に布団を掛け直すと

「今の人がこのセーフハウスの管理人の田島房代さんです。それより!わたし心配でずっとVさんの横で看護したんですよ、感謝してくださいね。」

ちょこんと座った状態で、友美は俺を見下ろしている。

うん可愛い。

そして大体事態は把握した。


俺は、軽くうなずくと

「そうか・・・ありがとう。友美ちゃんも疲れていたのに、すまなかったね。」

すると友美は俺の横にころりと寝転がる

「何言ってるんですか、わたしとVさんの仲じゃないですか。Vさんに何かあったら私が面倒見ますから安心してくださいね。」

そう言いながら、まるで子供を寝かしつけるかのように、俺の布団をポンポンと叩きだしてニコニコした。


この娘は、ほんと何がしたいのだろう?こちらとしても対応に悩むような事を時々する。

今のこの行動もそうだ。

俺に二度寝しろという意味だろうか?

こういうところは、よく分からない娘である。


・・・・・・・・・・・・・・・


俺と友美は房代さんに呼ばれて居間に来ていた。

俺と友美は並んですわり、その前に房代さんが座っている。


味噌汁と魚で朝ごはんというのも久しぶりでなかなか良い。

そして美味い。

すこしニマニマしながら房代さんと会話しながら食事をしていた。


しかし会話しながらも、房代さんはチラチラ俺を見て、なにか観察しているのが分かる。

「あの、なんか俺警戒されてます?」

すると、房代さんは俺をマジマジと見ながら言った。

「あなたが・・・・イケメンマスター・・・ですよね。」


俺は少し照れながら。

「そうらしいです。」

房代さんは何か、困ったような笑顔をしながら。

「そうですよね。失礼いたしました。新しいイケメンマスターだと聞いていましたので、わたし、少し勝手にイロイロイメージしていたもので・・・」


俺は、すこしダメージを受けてうつ向き気味になった。

「で、ですよね・・・。イケメンマスターっていったら、イケメンが来ると思いますよね。」


そんな俺の言葉に、房代さんは困った笑顔で、手をパタパタさせて返事をしきた。

「す、すいません、そんなつもりで言ったのではないのですよ。Vさんがとても私がイメージするイケメンマスターにぴったりの素敵な方でしたので、少し驚いていたんですよ。」

房代さんは慌てて恐縮しているようだたが、俺も恐縮してしまう。

必死のお世辞、申し訳ないです。

すいません気を使わせてしまって。

そりゃイケメンマスターが俺だったら、そりゃガッカリするよな・・・。


そう思っていると、友美が箸をバンとテーブルの叩きつけながら怒った声で割って入ってきた。

「房代さん、Vさんがイケメンマスターでは気に入らないんですか?私はVさんが最高のイケメンマスターだと思っているのですが!!。」


房代さんはビックリした顔をして、次に慌てて頭を下げて謝りだした。

「も、申し訳ありません。けっしてそのようなつもりでは。本当に申し訳ございません。」

俺はあわてて、友美を制した。

「おいおい、怒るなよ。普通イケメンマスターがイケメンじゃなかったら『おや?』って思うだろう。」


すると友美は

「Vさんは、Vさんをかばう私よりも、房代さんをかばうんですか!さっきから房代さんとばっかりお話をして、私のことなんか見ようともしないじゃないですか。どういうことですか!私なんて眼中に無いってことですか!?」

俺は慌てた。友美の怒りの矛先が急激に俺に向いたので、当然あせる。


俺は、必死に友美をなだめた。

「と、友美さん。落ち着いて。友美さんは俺の隣にいるんだもの。見る回数だって当然減るでしょ。べ、べつに友美さんを無視していたんじゃないよ。それに俺もイケメンマスターて呼ばれ事に抵抗があったから、そうれを言っただけで、房代さんに味方して、友美さんに敵対したわけじゃないから・・・。」


友美は俺の言葉で黙ったが、口を尖らせてこっちをにらんでる。

まいったな。

モテない不細工な俺では、年頃の女の子の気持ちなんてわからないよ。


すこし沈黙が続いた後、友美は不機嫌そうに口を開いた。

「Vさんはイケメンマスターを理解するべきです。

いいですか、イケメンマスターという言葉には二つの理由があるんです。

一つはイケメンマスターは自分以上のイケメンを皆殺しに出来ます。いつでも世界一のイケメンになる権利を持っている・・・というのが理由の一つ。

もう一つの理由は、イケメンマスターは自分以上のイケメンの生殺与奪の権を持っていますので、全てのイケメンはイケメンマスターに従うしかないのです。つまりイケメンマスターは『イケメンたちのあるじ』という意味でもあります。

これはですね、イケメンマスターは不細工ならば不細工なほど多くの男を従える事が出来る、強大な王になれるという意味でもあるんです。適度に不細工で無いとイケメンマスターの意味がなくなります。」


なるへそ!

俺は、この説明でイケメンマスターという言葉に納得が行った。

それなら確かに、イケメンスイッチの持ち主は、イケメンマスターである。

そして俺は思わずつぶやいた

「なるほど納得した。つまりイケメンマスターは不細工の王ということだね。」


友美は俺の言葉に返事をせずに、また凄いスピードで食事をはじめ、あっという間に食べ終わって部屋から出て行ってしまった。

もう、、、、友美さん、何が気に入らないの?。

おっちゃん、困って泣いちゃうぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングアップのために、↓↓クリックしてくれると嬉しいです
小説家になろう 勝手にランキング

第四部はこちら
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ