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その15 奥多摩逃避行

俺たちは、タクシーで、奥多摩に移動中。

そこに、天道友美のセーフハウス(隠れ家)の一つがあるらしい。


数時間前の池袋での戦いで、辛くも命拾いした俺たち。

すぐにセーフハウスに移動することを友美が提案してきた。

チャンは何度も自分が俺たちを送ると言ったのだが、冷たい表情で友美が頑なに断ったためタクシーでの移動となった。


もう周りは夜だ。

そんなに遅い時間ではないのに、このあたりは真っ暗。

東京に居ると忘れるけど、夜って真っ暗なんだな・・・。

そんなことを思いながらタクシーのメーターを見ると、代金が3万円を超えてるが、一億円近い金を持ている俺にはたいした金額ではない。


タクシーに乗ってから、疲れもあって、俺と友美とは一言も話をしなかった。

タクシーの運転手に聞かれていい話が無かったのもあるが、友美がずっと背筋を伸ばして、厳しい表情をしていたので、話しかけにくかったのもある。


途中から友美が道を指示し始め、古びた屋根つきのバス停でタクシーを下りた。


正直、俺にはココがどこだか見当も付かない。


ただ、凄く山の中でコンビニはおろか、街の明かりも無い田舎だというくらいは分かる。

バス停の天井に着いた電球が少し光っているだけ、周りは真っ暗だし、風の音以外は何も聞こえない。


「まあ、人っ気がないって言うのは安心できるな。」

おれは、武器と金の入ったカバンをバス停のベンチに置くと、よっこらしょと座る。

すると体はいきなりい重くなった。

自分で想像していたより疲れているようだ。


俺がグッタリしているのに、友美はタクシーの中とはうってかわり、無邪気に俺の膝の上に倒れこんできた。

「ぷはあ、疲れましたね。もうすぐセーフハウスの管理人が迎えに来てくれますから、ここで休憩ですよ。」

チャンやタクシーの運転手が居た時の冷たい表情がとけ、俺の知ってる友美の表情になっていた。おい美少女、ちょっと俺に懐きすぎだろ。


それよりも腹減ったな・・・

アレだけ血をの匂いで気持ち悪くなっていたのに、この奥多摩の空気を吸っていたら食欲が出てきたっぽい。

自然の匂いは人の心のバランスを取ってくれるのかな。


俺はカバンから、池袋で買っておいたパンを出して友美に差し出す。

「腹減ったよね。友美ちゃんもパン食うかい?。」


友美はニコニコしながら背筋を伸ばす。

「おなか減りました!わたしそっちのジャムのパンが食べたいです!。」

そういうなり俺が差し出した小倉&バターのパンを無視して、俺が食べようと思っていたジャム&バターのパンを奪い取っった。

うぐぐ、まあ美少女にここはゆずるか。


俺はしょうがないという表情をすると、小倉&バターのパンを袋から出して食いついた。

なんかイメージよりも美味い。

何でも無い物が美味く感じるってことは、相当お腹空いてたんだな。

味わうようにもぐもぐ食べる。


パンを三口ほど食べたあたりで、友美がいきなり俺のパンに食いついてきた。

「こら、自分のパンを食べろよ。これは俺のだろ。」

「えー、だってもう私の分は食べおわっちゃたんだもん、少し、くーだーさーいーよー。」

見ると確かに、もう友美はパンを持っていない。


食うの早!


俺は諦めて残りのパンを友美に渡した。

「じゃあ食べな。しょうがないな・・・・。」

「流石Vさん、残りのパンは遠慮なく私が食べますね。」

そういうなり俺からパンを奪うと、またあっという間に食べきってしまった。


驚いた、この娘食べるの早っ!


「友美ちゃん食べるの早いなあ。俺の三倍くらい早いんじゃないの?」

友美はモグモグと口を動すと、すぐにごくりと飲み込む。

「早く食べないと、いつ何があるか分かりませんからね。食べ残して後悔したくなかったら、ご馳走であるほどすぐに食べるのが基本ですよ。」

そう言うと、俺のかばんに手を突っ込んで、中にあったジュースのペットボトルを出して飲み始めた。


ぐびぐび・・・

500mlの飲み物もあっという間に飲み干してしまった。

え、いま3~4秒だったぞ。

すげー、この娘、なんかすげー。

「ぷはあ、生き返ったって感じですよ!。」


そう言いながら空になったペットボトルを俺にズイっと突き出してきた。

空のペットボトルを俺に渡してどうするつもりなんだろう?

よく分からなかったので、俺はペットボトルをカバンに入れると、自分の分の飲み物を出して飲む。

ふう、やっと人心地付いた気分だ。


友美はすくリと立ち上がると俺に向かっていった

「Vさん、私ね、なんかVさんと何年もこうやって二人で戦ってきた錯覚を起こしていたんですよ。ずーと二人でいたような気分です。」


言われてみて、俺も気づいた。

俺もたしかに、もう友美と二人で何年も戦ってきたような気になっていた。


だが二人が血みどろの渋谷で出会ったのは、今朝のことだ。

まだ12時間もたっていない。

不思議な感覚だった。


この友美の持つイケメンスイッチ。

俺はこのスイッチをめぐり、もうかなりの命が散ったのを見た。

それでもまだ12時間もたっていないのだ。


だが、

今日という一日は、確かに俺の人生の数年分くらいの濃さだった。

一瞬の幸運で、俺はイケメンスイッチの爆発範囲のギリギリ外に居た為、最初の人間の爆発を電車の中で見た。

・・・まあ、もしかすると爆範囲に居ても、ブ、ブ、不細工さで生き残ったかもしれないが・・・。


でも爆発に巻き込まれなかったのは大きい。

数メートル差で、俺の車両はまだ目黒だったため助かったのは事実だ。

俺が爆発してなくても、車内の爆発に巻き込まれれば死んでいたかもしれない。

その0.1秒程度の違いで生き残った事自体、今考えれば奇跡だったと思う。


そのあと、俺は血みどろの渋谷で友美と出会い、イケメンスイッチをめぐって命をかけて戦った。

礼として国会議事堂で元首相の麻草議員と出会い、一億円もらう。

ついでにイケメンスイッチのスイッチマスター「イケメンマスター」となった。

さらにその後、チャイナマフィアと共に死亡遊戯のような戦いをして多くの命の犠牲の上に、俺たちは生き残る。


そしてそして今、友美とイケメンスイッチを守るため、奥多摩まで来た。

普通の人生でこんな濃い一日はそんな無いだろうと思うよ。

今日はこれ以上濃い一日にならなくていいからぐっすり眠りたい気分だ。


そんな俺の気持ちを知ってかしらずか、目の前の美少女は再び俺の膝の上に飛び乗ってくる。

痛い!女の子のお尻って角度によっては意外と尖ってるんだな。


「ねえVさん、これからも私たちはコンビでずっと一緒に戦いましょうね。私とVさんだけでずっと。」

友美はそう言いながら俺に寄りかかってきた。


邪魔クセ

そして、とんでもない事を言いやがるな。

嫌だよ、こんな死にそうな事を続けるなんて。


でも、もう反論するのは勿論、このバカっぽい娘を追い払う元気も沸いてこなかった。

普段なら美少女が膝の上に乗ってきたらドギマギするのかもしれないが、疲れた人間には美少女すらも邪魔臭くなるのだという事をはじめて知った。


諦めて膝の上で俺に話しかける友美を無視するようにぐったりする。

しばらくすると真っ暗な道の向こうから一台の車が近づいてくるのが見えた。

「おい友美ちゃん、車が向ってくるぞ。管理人さんかな?」


何も無い真っ暗な場所だから、かなり遠くでもわかる。

セーフハウスの管理人だったらいいな。

セーフハウスに着いたら風呂に入ってすぐ寝たい。


俺と友美はその近づいてくる車の明りを見つめていた。

これでやっと休める。


車は俺たちの前まで来ると止った。

マイクロバスのような車だった。

ドアが開いた次の瞬間、俺は友美を突き飛ばすように立ち上がらなければいけなかった。

車から出てきたのは、明らかにおかしな格好をした、不細工な男達だったからだ。

全員がポンチョのような奇妙な服を頭からかぶっている。


もう本能的に敵が分かる。

敵は大抵ブサメンだから。


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