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番外編 友美の夢はVとのデート

番外編です

14才の黒髪の美少女「天道友美」は、放課後の学校でESP部隊のリーダーの佐藤柏に相談を持ちかけた。

「柏、ちょっと聞きたいことあるの、いいかな・・・。」

その言葉に、すこし前を歩いていた佐藤柏は、目をクリクリさせながら振り返る。

「はい、なんでしょう友美様。不肖この柏で答えられることでしたらなんでも聞いて下さい。」


もう夕日が差し込み始めた校庭の中、友美を囲むようにESP部隊の少女たちは34人ほど輪になって歩いていたが、この友美の言葉で柏が足を止めると、まわりの33人も一糸乱れず足を止めた。


ちなみに、この友美を囲むようにESP部隊の少女達が傍に居るとき、まるで華のようなフォーメーションを取っている事が多いため、学校のほかの生徒からは「お姫さまとお花隊」などと呼ばれることも有る。


その花のような集団は、友美の動きに見事までに連動する。

どんな優秀な特殊部隊でも、これほど見事に連携が取れる部隊は世界中探してもいないだろう。


そのお花の中央に居る友美は、そんな見事な部隊を周りにおいている自覚が全くなく、仲の良い友人とつるんでいる程度の気持ちで居る。

なので、警護中のESP部隊に下らないことをよく話しかけるのだ。


今も、そんな些細な話題だった。

「あのね、柏って食事を小さく噛み付けるでしょ。あれを私も訓練したいの。手伝ってもらえるかな・・・。」

「あ、友美様も訓練しますか?不肖この柏、誠心誠意お手伝いいたします。おまかせください!。」


一見意味不明な会話だ。

しかし、これは本人達にとっては根が深い悩みでも有る。


友美もESP部隊も科学の力で強化された細胞を持つ特殊な存在なのだ。

そのためカロリー消費が激しく、大量の食事を必要とする。

その食事を支えるのが、一気食いの本能。

とにかく食べ物があると、物凄い大口でバクバク大量に食べてしまうのだが、これを意志の力で抑えることが難しい。

マクドのハンバーガー程度なら一口で食べるのは当然で、500ml程度のコーラなら数秒で一気飲みをする。


そしてその食事風景は本人達にもコンプレックスであるようで、関係者以外に食事風景を見せようとはしない程度に気を使っている。


年頃の少女として常識的な恥じらいを覚えてきた友美にとっては、今一番のコンプレックスだ。


「あのね柏、私もそろそろVちゃまとデートとか行きたいかなーとか思っているの。でもね、、、デートと言ったら、食事は欠かせないよね。そこで普通に食べることが出来ないとVちゃまが恥をかくんじゃないかって最近思うようになったの。だから、この一気食いを克服した柏にね、いろいろ手伝って欲しいなーって思うんだ。」


その言葉を聞き、周りのESP部隊の少女たちは、大げさなまでに全員が力んだ。

とくに友身の真後ろを歩いていた、ヤンキー風で大柄な鈴木悪璃夢はいきなり半泣きになる。

「くー、友美様、乙女っすね!自分もいま特訓中なんすが、自分なんかよりも友美様にこそ習得して頂きたいっす。自分も全力でお手伝いするっす。」


それにつられるように、ESP部隊の少女たちは全員「頑張って!」とか「応援します」と真面目な顔で口にするのだった。

知らない人がこの光景を見ると、友美の下らない一言一言に取り巻きの女の子達が大げさに反応しているようにしか見えない。

しかし友美とESP部隊は大体いつもこんな感じだ。

「ありがとう柏!ありがとう亜璃夢!ありがとうみんな!私頑張るよ!」


その友美の言葉に、全員が硬い決意の表情になった。いつもみたいに。



そして30分後。



友美は送迎の車の中でいきなり叫んだ。

「金子!車を止めなさい!あのお店に行きます!。」

驚いて運転をしていた金子が急いで車を止めると、車に乗っていた友美はまるでアクション映画のように車から飛び出す。


すると、友身の乗る車を囲むように走っていた車もスグに止まり、分乗していたESP部隊も特殊部隊のように飛び出してきて、あっという間に友美とミスドの間に二列に並び道を造った。

全員が瞬間的に、友美がミスドに行く為に車を飛び降りたことを理解したことは驚くべき判断力といえよう。


その少女達の造った道を友美は親友の歌田芽衣とともにすすむ。

「みんな、今日はココで私の本気を見せてあげるから!」

その言葉に33人の少女たちは、即座に全員で返事をするのだった。

「はい、我らも友美様と共に!」


エスパー部隊の返事を背中に受けながら、友美はさっそうとミスドに入っていくのだった。


ーーーーーーーー


「いらっしゃいませ」

そう挨拶した瞬間、わたしは入り口から入って来た美少女に心臓が止まりそうになったわ。

時々、大量の御付の少女を連れてきて、お店に有るドーナッツを全て買い尽させていく謎の美少女が入って来たのだから。

私の背後の店長が、あきらかに興奮で臨戦態勢に入ったのが分かったね。


そりゃそうですよ。これからこのお店のドーナッツは全部なくなるんですから。


この少女が来た日の合言葉は厨房に「団体一名様ご来店」だ。


この言葉が厨房に流れたとき、みな決死の覚悟を固めつつ、臨時ボーナスに期待が膨らむのです。

この少女の富豪的買いっぷりは正に、THE・お金持ち。

いつもはお傍にいるメガネの娘に「全部持ち帰りでお願いね」と言うのですよ。

すると、後ろから御付の少女達がテキパキと入ってきて、あっという間に買いつくしていくのです。


そのため、この美少女が来た日は店長の機嫌が良くて、2時間分余計に自給をつけてくれるんだ。

バイトの私たちにも福の神のような人です。


その少女がお店に入ってきた後、珍しく御傍のメガネ娘に何の指示も出さないで、並んでいるドーナッツを眺めている。

どうしたんだろう?


そのお嬢様を不安そうに6人ほどの御付の少女達が、拳を握り締めて見つめている。

外を見ると、沢山の少女達も不安そうに拳を握り締めてガラス越に中を見ているのです。


いつもと違う・・・・


するとお嬢様美少女は緊張した感じに口を開いたのですよ。

「芽衣、柏・・・今日は自分で買うところからやってみたいの。私が変なことしそうだったら教えてね・・・」

「頑張って、友美っち。友美っちならできるよ!。」

「頑張ってください、友美様。不肖この柏も見守らせていただきます。」


な、な、なにかイベント発生の予感!

私の予想だけど、もしかしたら世間知らずのお嬢様が庶民のようなお買い物に初チャレンジみたいなそういう場面?

ま、まじですか。

リアル乙女ゲーか!

なんか私も興奮しちゃう。

もしかして凄い良いものを見れるかも。が、がんばって美少女お嬢様。


でもお嬢様はドーナッツの前まで行くとキョロキョロ挙動不審になり困惑しているようだ。

がんば!お嬢様!まずはトレイとトグルを持つんですよ。


あああ、教えてあげたい。


でも、バイトとしてあまり口を出せないし。

も、もどかしい。

おもわず緊張でグーを握ってしまいます。

よくみると、御付の少女達も「言いたいけどいえない」みたいな顔でグーを握っている。


すると髪の長い色白のヤンキーっぽい少女が空気を読まずにお嬢様にアドバイス。

「友美様、まずはこの茶色いトレイを持つっす。で、ドーナッツはこのトグルで欲しいのを掴むっすよ。」

「あ、ありがとう亜璃夢。これってお金払う前にとって良いの?。」

「そうっす。まずトレイに欲しいのを取って、それをあそこのお姉さんに持っていってお金を払うっす。そしたら食べて良いんす。」


な、ないすヤンキーちゃん!

すごくホっとしたー。

みると御付の少女達もホッとした顔になっている。

さあ、好きなドーナッツをとって、レジの私のところに来てちょうだい、美少女よ。


でもすぐに私たちは緊張タイムに突入です。

なんとお嬢様が、プルプルしながらドーナッツにトグルを伸ばしたのですが、つかんだドーナッツを物凄くプルプルさせながらゆっくりトレイに運ぶのです。

うおおお、みているこっちが緊張する!


みると初めからいたお客さんたちも注目して、手をグーにして緊張している。


ぷるぷる


そこでお嬢様美少女は、いっかい諦めてショーケースにドーナッツを戻しちゃった。

あああ、がんばって。


(本当は、友美はトグルでドーナッツつまんだ瞬間、自分の口にポイと入れてしまいそうで、本能と戦いプルプルし、あきらめただけ。)


すると、お嬢様の隣のヤンキーちゃんがお嬢様の腕にそっと手を添える。

「友美様、大丈夫っす。なにか失敗しそうになったら自分がフォローするっす。ガンバっす。」

「うん、ありがとう亜璃夢。もういっかやってみる。」

くはあ、なんかお嬢様も可愛いけど、あのヤンキーちゃんも献身的で良いわー。

これは萌えていいよね。



お嬢様は再挑戦。

がんばれ、がんばれ、がんばれ・・・


なんか、お店の中の人が全員同じことを考えていそう。

心が一つになったかんじ。ワールドカップのジャパンチームの応援だってここまで手に汗握って観客が心を一つにすることはないですよ。


お嬢様美少女はプルプルしながら、まずはドーナッツをつまんだ!

がんば、そこからだよ!

ぷるぷるしながら、ポトリとトレイにドーナッツを落とす!


やった!


嬉しそうにメガネ娘がお嬢様に駆け寄った。

「やったよ友美っち!とうとうトレイにのせられたよ。次はお会計だよ、頑張ってお支払いもやってみなよ!。」

「ありがとう芽衣、なんかやれそうな気がする。」

うひゃあ、美少女が無邪気に笑っている。

癒されるー。


するとお嬢様の隣のヤンキーちゃんが財布からそっとお金を出してお嬢様に付き添ってレジに来た。

おお、お嬢様はやっぱり自分でお財布とか持っていないんだ。なんか良くわからないけど感動。


お嬢様美少女はわたしの前にくると、反則的な笑顔で私に微笑みかける。

「お姉さん、お支払いはココでいいでしょうか?。」

くううう、役得だ!

「はい、こちらで承ります。ポンデリングお一つで150円になります。店内でお召し上がりですか?。」

その私の言葉に、お嬢様はすこし不思議な表情になると、すこし考えてから。

「・・・・そうだよね、ファーストフードの練習なんだから、ココで食べないと練習にならないよね。・・・うん、店内で食べます。」


そういうと、自然な動作で隣のヤンキーちゃんからお金を受け取ると、こちらに1000円渡して席に向おうとした。


おおお、お嬢様。お約束過ぎてむしろ素晴らしい!

「お、お客様、おつりをお渡しいたしますので少々お待ちください。」


するとさすがお嬢様は、期待を裏切らないお返事をくださいました。

「おつり?1000円よりも小さいお金なんてあるの?。」

すげえええ、この人、紙のお金しか見たことないんだ!

すげえお嬢様だ!

私は急いでおつりを見せた。

「はい、850円のお返しです。」

お嬢様は、私の手の上のお金をマジマジみると・・・

「邪魔そうだからいらない。適当に処分しておいてください。」


そういうなりスタスタ歩いていってしまった。

ま、まじか・・・・。


奥では御付の少女達が席の椅子を引き、お嬢様に「こちらへどうぞ」と言うしぐさをしている。

お嬢様は自然なしぐさでそこに座ると、御付の少女がそっと椅子を押した。

うわああ。御付の少女は執事みたいなこともするんだ!


なんかまた感動。


しかしメインイベントはこれからだった。

お嬢様は、手にドーナッツを持つと、緊張した面持ちで口の近くまで持って行っては、なんかプルプルして上手く食べられず、口からドーナッツを遠ざける。

また口の近くまでもって行くけど、プルプルして口から遠ざける。


あああ、きっとあれだ。

フォークとナイフでいつも食事しているから、こんな手づかみで何かを食べることに抵抗があるんだ。

がんばって、バクッと食べて良いんですよ、お嬢さま。


(実際は、一口で口に放り込みそうな本能と戦っているだけ)


すると、傍にいる一番年上そうな縦ロール髪の御付き少女が励ましはじめた。

「友美様、頑張ってください!ファーストフードをマスターできればVさんとデートだって夢ではありません!。」

「そうだよね、これさえできればVちゃまとデートできるんだよね。マコ子、わたし頑張るよ」


おおお、なんかお嬢様の隠されたストーリーの一端を見た気がするぜ。

なになに、庶民の殿方を好きになって、庶民の食べ方を練習中とかいうやつ?

おおお、これは俄然応援しなくっちゃ。

なにこのラノベ級の萌えイベント!

がんばれ!がんばれお嬢様!


お嬢様は小さく口をあけて、プルプルしながらまたドーナッツを口に運ぶ。

がんばれ、今度こそ頑張れ。


もう、見ているみんな、緊張したポーズでみまもっている。

店長ですら、小声で「いけ!頑張れ」とかつぶやいてるし。


プルプルしながらお嬢様はすこしずつ、ドーナッツを口に近づけていく。


あと3センチ・・・

あと2センチ・・・

あと1センチ・・・

お嬢様は緊張した顔で目をつぶり、口がすこし開いた。


そのとき店の中の全ての人の心が叫んだ気がした。

『いまだ!そこだ!』


パクッ


小さく可愛らしい口で、ちょこりとドーナツをかじってお嬢様美少女は、そっと目を開くと、嬉しそうに満面の笑顔を見せてくれた。

「やったよ!芽衣、柏、亜璃夢、マミ子!わたし、ファーストフードを普通に食べる事が出来たよ!」


その瞬間、お店から拍手が巻き上がった。

「おめでとう!」

「よかったね!」

「がんばったね!」


くう、なんか涙が出てきちゃったよ。

店長も天井を見上げて「てやんでい」とか言ってるし。


おつきの少女達も跳ね上がって喜んでいる!

お店の外から不安そうに見ていた少女達も泣きながら喜んでいる。


うううう、なんだこの感動は。

今日は良いものを見せてもらいました。


すると美少女お嬢様は立ち上がると、嬉しそうにいつもの台詞を叫ぶのでした。


「じゃあ芽衣、後はあるだけ買っておうちに帰りましょう。」

「がってんでい友美っち。」


そしてお店の商品は、いつものとおり根こそぎ消えていったのです。


お嬢様美少女、感動と売り上げをありがとう!

第三部完結です。

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