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その40 世界崩壊と構築

スイッチに送り込まれた生徒の殆どが外に送り出された。

で、今は荒川にゆかりの有る人たちとエスパー部隊だけ、イケメンスイッチに移動してきたんだ。


矛美さんと房代さんは、随分長く武玄さんと話している。

餡ちゃんや美羅ちゃんも、武玄さんの周りで嬉しそう。

冬姉や友美っちも・・・・。


私達エスパー部隊はその光景を遠目から見ていたんだ。


すると、武玄さんの左腕が煙のように消えるのが見えたんだ。


え?


それを見て武玄さんはカラカラ笑いながら言ったんだ。

「おっと、もう寿命が来ちまったようだな。どうにかもったみてえで良かったぜ。Vがクソスイッチを倒す算段をつけてくれてくれやっがお陰だな。ついでににおめえら娘や孫娘を俺の前に連れてきてくれやがった。まったくVはどこまでも小ざかしい奴だぜ。」


餡ちゃんや美羅ちゃんは慌ててるけど、矛美さんと房代さんは落ち着いている感じだった。


矛美さんはうなずいた。

「さすがの父さんも限界か。いいさ、私が見取ってあげるよ。」

「け、一番甘えん坊だった矛美に見取られるとはな。しかしまあ馬鹿な生き方をしてきた俺にしちゃあ上等な最期だぜ。俺を殺した武義を殺し、クソスイッチも俺の手で葬れた。真荒神流もVに伝えられたし、もう会えねえと思った娘達にもあえたしな。ほんとありがてえや。思い残すことはもうねえよ。」


冬姉は残っている武玄さんの片手を掴んで泣いた。

「お爺様、私はVさんからお爺様の真荒神流を受け継ぎます。お爺様の勇姿を決して忘れません。」


武玄さんは冬姉の頭をなでる。

「俺は真荒神流という遺産しか残せねえがこいつは金よりも良いもんなんだぜ。火事が起きようが泥棒が来ようが、おめえらが身につけた技は無くならねえ。しかもおめえらが誰かに教えれば教えるほど増えるが、おめえらから技が消えるわけじゃねえ。絶対不滅の遺産って訳だ。Vから後で受けとって置いてくれ。」


冬姉はポロポロ泣きながらうなずいた。

そうか、そういえば冬姉にとって、Vっちの前の師匠は武玄さんだったんだよね。

悲しいよね・・・・。


武玄さんは房代さんを見た。

「房代、おめえは人に心開かない奴だったから心配したけどよ、Vには結構懐いているようじゃねえか。俺に言えなかった我侭はVにぶつけろよ。」


「はい・・・お父様の遺産だと思ってVさんにわがまま言います。」

「へ、それでいいぜ。そうかVも遺産のうちか。そりゃいいや。そりゃちげえねえや。」


房代さんもポロポロないているけど、まったく取り乱しては居ない。

武玄さんは餡ちゃんと美羅ちゃんの頭をぽんぽんと撫でた。

「おめえら、良い感じに仕上がってやがるじゃねえか。俺も鼻が高いぜ。おめえらは真荒神流を受け取る資格があるぜ。もっと高みを目指せよ。」


餡ちゃんと美羅ちゃんは言葉が出ないのか、涙を流しながらコクコクうなずいた。


武玄さんは友美っちを見た。

「友美、イケメンスイッチとVはてめえのもんだ。Vが迷ってガタガタいったらスイッチで殴ってやりな。俺の遺言として、Vは友美に一生付き添うように命令してやるよ。」

「御爺ちゃま・・・・もうお会いできないのですか?。」


「たりめえよ。ジジイはもうすうぐ寿命だからな。だがこんな幸せに死ねるとは思っていなかったからよ、俺は嬉しいぜ。」

そういいながら、泣く友美っちの頭を撫でた。


最期に、武玄さんはVっちを見た。

「おうV、世界もこいつらもイケメンスイッチも、あとは全部まかせたぜ。おめえは俺を倒して人類最強になったんだ。ヘマすんじゃねえぞ・・・・まあ、おめえは俺と違って小ざかしいから心配はしてねえけどな。」


そういって、Vっちの胸をゴツりと殴る。

「爺ちゃん・・・・まかせろ。このあとvasiと戦う事になっても、爺ちゃんがスイッチとの戦い方を研究しておいてくれたおかげで勝てると思うよ。vasiを倒したら、その功績の半分は爺ちゃんのもんだぜ。」

「け、ジジイ孝行な事言うんじゃねえよ。馬鹿やろうが・・・。」


そう言っているうちに、武玄さんお体は、足からみるみる消えていった。

みんなが思わず武玄さんに呼びかける。


でも武玄さんはニコニコしながら最期に言った。

「V、あとで武仁に謝っておいてくれ。武義を殺しちまってすまねえってな。」


そう言うと、武玄さんは頭も煙のように消えてしまった・・・・。

それを見届けると矛美さんは急にハンカチを出して、膝を突いて泣き出した。


「父さんは馬鹿だよ、最期に息子に謝って消えるなんて、本当に馬鹿だよ。なにが人類最強だ、ただの人の親じゃないの。」

我慢していたんだ、矛美さんは。


房代さんが矛美さんの背中を抱きしめるよう一緒に泣いた。

「お姉さま、お姉さま・・・・。」


それを気だるそうに眺めていたシャンバラ様が目をつぶり言った。

「武玄、あやつは3次元人にはもったいない男であった。強すぎたために敗北を求めておったようであるが、最後に自分が鍛えたVに破れて喜んでおったのう。もったいない男であった。」


5次元人すら恐怖させるシャンバラ様がベタ褒めする人など、おそらくそんなに居ないと思うんだ。

荒川武玄さん、偉大だったんだね。


私達エスパー部隊も、何故か全員泣いちゃったよ。

よく分からないけど、とても大きな存在を失った気がしたんだ。


理屈じゃない。そう言うものを感じさせる不思議な人だった。


―――


次の日

Vっちは昨日は帰ってきたけど、なにも話をしないで寝てしまったんだ。


私達は疲れているからだと思っていたけど、今日になっても私達に返事もしてくれないんだ。


でも連絡が来て、武義の遺体が実家に送られたと聞き、私達は遺体が有る荒川家に来たんだ。


兼松と天道から圧力がかかったため、警察の検死がないからすぐに死体は荒川家に送られたらしいよ。

通夜は明日らしい。


今は荒川家に居るのは親戚だけみたいだけど、私と友美っちはVっちと一緒に来たんだ。


友美っちはイトコだから親戚だけど、私は他人だからでしゃばらない様にしないと。


着いてから一時間くらいはVっちは父親の武仁さんには目も合わせようともしなかったから心配したけど、やっとVっちは武仁さんのところに行った。

「父ちゃん、恨んでくれて良い。」


すると武仁さんは力なくVっちを見た。

「武威か・・・。いや、武義はいつかこうなるんじゃないかと思っておたよ。うっすら父さん(武玄)を殺したのもあいつのような気がしていた。お前も危なかったんだろ。すまなかったな。」


友美っちは小さい声でVっちに言う。

「そうだよVちゃま。悪いのは武義じゃん。武義はVちゃまにスイッチを使ったのは事実だよ。」


Vっちは友美っちのほうを向かずに、珍しく怖い声を出した。

「黙れ!・・・・いや、言わないでくれ。あんな奴でも俺の兄だったし、この人の子だ。ココでは言うな。」


「あ、あの・・・・ごめんなさい。」


萎縮して下を向いた友美っちに、Vっちは全くフォローとしようとしない。

珍しい・・・


すると武仁さんが友美っちに言った。

「君が天道友美ちゃんか。君が武義にトドメを刺したことも矛美から聞いているし、どういう状況で君達が武義を殺す必要があったかも聞いている。だから私は君達に申し訳ないと思っているんだ。うちの馬鹿息子が本当にすまなかった。」


「いえ、その・・・・スイマセンでした。」


後ろから房代さんが来た。

「あの・・・Vさん・・・。」


でもVっちは房代さんとすら目をあわそうとせずに後ろを向いて歩き出した。


そのVっちの背中に武仁さんが声をかける。

「武威、またいつでも帰って来い、ここはお前の家だ。」


Vっちは振り返らずに言った。

「いや、もう来ないよ。おれはアンタから見れば兄ちゃんの仇だ。」

「お前を放り出してすまなかったと思っている。また来い。」

「謝るのは俺だ。兄ちゃんを死なせてしまってすまない。・・・じゃあな。」


そう言うと、Vっちは歩き出し、外に出て行ってしまった。

友美っちも追うべきか、もうすこし武仁さんと話をするべきか挙動不審に悩んでいるのが分かる。

こんな友美っちを無視していってしまうVっちに驚いたよ。


私は他人だからと思って口を出さないで居ようと思ったけど、もう黙っていられなくなった。

「武仁さん、武玄さんが最後に武仁さんに謝ってくれて言ったからVっちは来たんだと思うけど、でも本当はココはVっちには辛い場所だから余裕が無いだけなんだよ。きっと冷静になったら話が通じるよ。」


肩を落として小さくみえる武仁さんは

「ありがとう、また武威をつれてきてくれな。」

と言って、力なく私に微笑んだ。


房代さんは、そんな武仁さんに一礼すると、私達の肩を抱いて外にでた。

私達が外に出ると、Vっちは駐車場で、空を眺めていたんだ。


友美っちはそっとVっちの手を握る。

「Vちゃま、無神経な事を言ってしまってごめんなさい。」


そういって、Vっちを見上げた。

でもVっちは友美っちを見ようともしないし、返事もしない。


そんなVに房代さんがグーで肩を殴った。

「Vさん、友美さまだって悪気は無かったんですから返事位したらどうんなんですか!。」


だけどVっちはやっぱり房代さんを見ようともしない。

房代さんは凄く凄く寂しそうな顔をしたよ。


別に無視されたから寂しいんじゃないんだと思う。

Vっちが余裕が無いほど苦しんでるのに、何も出来ないことが寂しいんだ。


お兄ちゃんを殺したことは、思った以上にVっちのココロの傷だったんだね。

殺した後は、一気にさらに大きな敵と戦う興奮で麻痺していたかもしれないけど、時間がたって自分が殺したことを実感したら、辛くなったんだとおもう。


そこにいきなり冬姉が走りこんできて、いきなりVっちを殴り倒した。

「おっとこらしくねえぞおおお!。」


衝撃でVっちは数メートル吹っ飛ぶ。

冬姉はそんなVっちのまえに仁王立ちになっていったんだ。


「今のはお爺様の気持ちになってなぐったよ。Vさん、演技でいいから普通のフリをしてよ。Vさんは必要な事をやったんだ、悩むほうがおかしいんだ。Vさん、男ならココは無理するところでしょ。それとも私達と不幸勝負をするの?。不幸だからグダグダさせて欲しいの?でもそれは駄目だ。Vさんは無理をしてでも私達を支えて守って大事にしなくちゃいけないんだ。反論があるなら何かいってみてよ。」


冬姉・・・むちゃくちゃすぎる。


Vっちは口から出た血をぬぐいながら立ち上がった。

「すまない、そのとおりだな。友美、房さん、冬美、芽衣・・・すまなかった。だけど、もうすこし時間をくれ・・・・頼むよ。」


そう言うと、Vっちは一人で歩いていってしまったんだ。

私達は、誰も追いかけることが出来なかった。

次回、第三部エピローグ

「よりみち」

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