その36 たねあかし
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20分前の出来事。
Vの遺体が保健室に移動された直後。
保健室のVの遺体の横に、房代は座っていた。
そして、Vの遺体に話しかける。
「Vさん、作戦は成功ですか?。私は知ってるんですよ、Vさんがまだスイッチの中に居ることは。」
そう言いながら、千切れたVの頭をコロコロ転がす。
するとVの目が開いた。
「房さん、なんで俺が死んでいないって分かったんだ?全然悲しんでくれないからちょっとショックだったけど、バレていたのか。」
房代はクスクスと笑った。
「ふふふ、もちろん分かっていましたよ。だって、お爺様に呼ばれて、この特製アーマーノイドが本当にVさんそっくりかを確かめたのは私ですもの。このあいだ、福神七傑のみなさんがスイッチに入った日、わざわざ学校まで及川さんにこのアーマーノイドを持ってきてもらったのでしょ。」
「く、国持所長・・・変なところで機密意識が薄いな。」
「ふふふ、きっとお爺様は目の前でVさんが死んで、私がショックを受けないように気を使ってくれたんだと思います。だってVさんが目の前で死んだら、私は気が狂ってしまいますもの。」
「そうか・・・。でも中国戦の時に鹵獲しておいたアーマーノイドを俺そっくりにして、スイッチの攻撃に対する影武者にするのはいい作戦だったろ。これなら万が一武義にスイッチで襲われても俺は殺されないで済むからね。」
「ええ、見事にVさんの計画通りに動きましたね。でも最後のところは、わざと殺される演技をする必要があったんですか?わざわざ首が捻りきれるギミックまでアーマーノイドに付けて・・・・。友美様も芽衣ちゃんも凄いショックを受けていましたよ。あんなに二人を悲しませたのが、適当な理由だったら許しませんよ。」
そこで、Vの胴体は首を抱いて上半身を起す。
「スイッチの中で俺は未来を見たんだ。
そこではあの二人は未来を絶望に導く魔王になっていた。
俺がどんなに未来を変える手を打っても俺はいつも死んでいてなにもできなくてね。
だから今回は歴史を欺くためにも死を演出してみた。思ったとおり友美も芽衣もエスパー部隊も暴走した。でもこれは意味があるんだ。 」
「意味・・・ですか?。」
「止められない未来なら、望む形で具現化してしまえばいい。
武道でも、真正面から受けられないほどの威力には、斜めにずらして身を守るけど、それと同じ原理だ。
俺が生きているうちに、芽衣が魔王にまでなってしまえば、万が一誰も止められなかったとしても俺が止められるからな。
それに人はいちど経験したことなら万が一の時でも暴走しにくくなる。
同じような事が起きても友美も芽衣も、もう暴走といえるほど無軌道では無いだろう。
そして、さらにさらに!万が一に二人が暴走しても、それを止める連中も一度魔王と戦っておけば、もっと上手に戦える。」
「困りましたね・・・久しぶりに、Vさんが言っている事が理解不能です。」
「まあ簡単に言うと、俺は歴史を早回しすることで一番恐ろしいKEY封じてみたんだ。KEYが壊せないなら、KEYをコントロールして最弱の状態で発動させればいい・・・そう考えたんだ。」
房代は少し困った顔をした。
「魔王とかKEYとか・・・私には分かりませんが、それは友美様や芽衣ちゃんが納得することだったんですよね。」
「ああそうだ。未来の魔王やKEYについては明日にでも話すよ。今日の戦いが終われば家に帰れる。」
房代はそっとVの頭を抱きしめた。
「待っています。ご飯を作って待っていますから、ちゃんと帰ってきてくださいね。」
「ははは、これは死亡フラグっぽい会話だな、だけど俺はフラグなんかに負けないフラグクラッシャーだから、ちゃんと帰ってみせる。歴史のKEYというフラグをへし折って帰るから、もう少しまっててな。」
「はい。」
「あともう一つ頼みがあるんだ。通信機を持っていない人に伝えて欲しいんだけど・・・」
そのVの頼みを聞き終えると、房代はVの頭をそっとベッドに戻し、Vの遺体の役をしているアーマーノイドにシーツをかけた。
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次回、Vが第三シーズンで最大の危機に直面。助かったと見せて死んでしまうのか?




