その33 魔王爆誕
私は・・・歌田芽衣・・・。
本当なら、とっくに殺されているはずの改造人間エスパー。
そんな私を拾ってくれたのが、友美っちとVっちだった。
二人は私に優しくしてくれたし、本当に大事にしてくれたよ。
とくにVっちは、私に初めて甘えさせてくれる大人だった。
おねだりするとメガネも買ってくれたし、コーヒーを入れるとニコニコありがとうって言ってくれたんだ。
私のコーヒーが一番すきだって言ってたんだ。
甘えると、いつも私の頭をポンポン軽く叩いて笑ってた。
友美っちに責められて困ってるときに私が助けると、ほんとにホットした顔で私を見ていた。
私を、家族として迎え入れてくれていたんだ。
私の将来をどうしようかって、よく房代さんと相談して悩んでた。
いつか私が自分で自分の道を選べるようになれるまで大事にしなきゃって言ってくれていたんだ。
私は絶対・・・Vっちに愛されていたよ。
絶対Vっちが世界で一番私を愛してくれていた。
Vっちは一度「友美のために利用してごめん」って、私に申し訳なさそうに言ってたけど、そんなこと全然悪いことじゃないよ。
Vっちは私よりも友美っちを愛しているのは分かってるもん。
確かに私はVっちの中では友美っちより下だったかもしれない。
それでも、私を世界で一番愛してくれていたのは、絶対Vっちだった。
Vっちと友美っちがニコニコ幸せそうにしてくれているのが、私の一番の幸せだった。
なのに・・・・
今、友美っちは頭がおかしくなったんじゃないかってくらい泣き叫んでいる。
Vっちは、頭がねじ切られて倒れている。
友美っちが、一生懸命Vっちの頭を胴体につけようとしている。
でも私はこういう場面を何度も見たから知っている。
死んだ人間は、もう何をしても生き返らない。
目をつぶって耳をふさいでみた。
そしてもう一回目を開いてみる。
でも夢ではないから目の前の現実は変わらない。
血まみれの友美っちと胴体から離れたVっちの頭が見えた。
武義はズリズリ離れながらVっちの死体に向かって笑ってやがる。
Vっちと友美っちの幸せ・・・その世界のすべてよりも大事なものを、今こいつのせいで両方失ったんだ。
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イケメンスイッチ第3シーズン イケメンマスター争奪戦
「魔王爆誕」
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「ぐうわああああああああああああ!Vっちを殺しやがったなああ!!!!!!」
現実逃避で血圧が下った体が、怒りで急激に膨れるような感じがした。
ふざけるなあああああああ!
こいつ・・・・Vっちを殺しやがった。
私の目の前でVっちを殺して笑っていやがる。
許せない、許せない・・・・・
私の中で、なにか巨大な力が脈打つのを感じる。
はあ、はあ・・・・もう訳がわからないよ。
殺す!
私の体がバキバキ音を立て変形していく。
体が明らかに膨れ上がり、怒りで髪の毛が頭上に伸びていく。
背中に背負った8連如意棒も羽のように広がる。
よくわからない!
でもこの怒りは体中に走り抜ける。
今はこの怒りを抑えられないし、抑えたくも無い。
この体が砕けようとも、怒りに従う。
体が変形しているようだが気にせず、一歩武義に向かって歩き出した。
ズシリ。
武義は私を見て怯えている。
ふざけやがって、ぶっころしてやる。
私はもう一歩前に出る。
ズシリ
そしてESPで武義を手元に引き寄せた。
「ひいいいいいい!悪魔。」
武義は空中に浮かされて怯えているが、これからもっと大きな地獄を見せてやる。
離れたところから、沢山の恐怖の波動を感じる。
玄太のつぶやく声も聞こえた。
「魔王・・・。まさか魔王の正体が大黒憤怒態だったとは・・・・。」
ブタ太は何を言っているんだ?
私は自分の姿が学校の窓に写っていることに気づいて見た。
それが自分だと気づくのに数秒かかった。
まるで莉奈さんみたいな大人の体に、体から浮き出た黒いまだら模様。
頭からは髪の毛が伸びて逆立ち、まるで角のように見える。
背中に背負った連式如意棒と気念砲が大きく羽のように開き・・・・
まるで悪魔のような姿だった。
なるほど、あたしは何度もVっちが冬姉に通信機越しに教えていた「共鳴力」とかいうのを自己流で練習していたから、怒りに体が共鳴してESPが暴走したのかもしれない。
ESPが大きくなりすぎて、私の体は地面から浮き始めた。
もう一度武義を見る。
ESPで浮かされて怯えている。
私は武義の腕をESPでひねりあげた。
「いだああああああ!。」
絶叫する武義の右親指を捻りちぎった。
「うぎゃああ、俺の指が!!」
「うるさいよ武義。スイッチなんかなくっても人を捻り千切ることは出来るんだよ。お前も捻り千切られる感触をユックリ味わうんだな。」
さらに武義の指を一本ずつ捻り切る。
すぐに殺すほど私は優しくないよ。
じっくりVっちにしたことをその体に体験して死ね。
指をすべて捻り千切ると、腕、足、耳、鼻と引きちぎった。
「あの世で、Vっちと再会する事は考えなかったのか?いまからVっちの居るところに送ってやる。たっぷり復讐されるんだな。」
私が武義の首を捻り千切ろうとしたとき、急に友美っちが武義の首を掴んだ。
顔も頭も髪の毛も血まみれの友美っちが、鬼のような表情で武義の首を掴んでいる。
武義はめちゃくちゃ顔を引きつらせながら怯えた。
「や、やめろ。俺を殺してもなにもいいことは無いぞ。この手を放せ小娘。」
だが友美っちは眉間に凄いしわを寄せて、まるで妖怪のような表情になっている。
「ふう、ふう・・・殺す。お前は私が殺す・・・。」
そうだね・・・友美っちがトドメを刺すべきだ。
私は膝から下と肘から前が千切れた武義を友美っちの身長に合わせて移動させた。
友美っちは、武義の首から手を放すと武義の顎を下から掴む。
何が起きるか想像がついた武義は絶叫する。
「ぐあああああ!、やめろ、やめてくへえ。」
グシャり
武義の顎は友美っちに握りつぶされた。
「うごごごごご、うごごごご。」
苦しみで体をよじる武義。
しかし、今度は友美っちは両手で武義の頭を掴んだ。
「よくも・・・Vちゃまを・・・・」
友美っちの美しい顔は今は見る影も無い。
目を見開きながら、鼻の上には凄いしわが寄っていて、
口は大きく横に裂けたように半月型に開き、
強くかみ締める前歯が見える。
前歯にも血が沢山こびりついている。
「ひいいいいいいい。」
武義は、この恐ろしい形相の友美っちに悲鳴にもなら無い悲鳴を上げた。
顎が潰れて大きな声が出せずに「ひいい」という武義・・・こんなくだらない奴にVっちは殺されたのか。
友美っちの腕に力が入るのが分かる。
掴んだ武義の頭をギリギリと握る潰すべく握力がこめられる。
武義の目が赤から黄色に変化しだした。
「ひい」とか「やめ・・・」とか力なくつぶやく武義を無視して、友美っちは凄い形相のまま力を入れ続けろ。
武義の鼻と耳と目から血がたれた直後。
グシャ!
丸い形をしてた武義の頭は、割れた卵のように奇妙な変形をして、その直後に武義の全身が硬直した。
頭を潰された武義を私はポイと地面に捨てた。
武義の体は、ビクビク地面を跳ね回っている。
私はユックリ凄い形相の友美っちを抱きしめた。
友美っち小さい・・・・いや私が大きくなったんだ。
私は友美っちの顔の血を指でふき取りながら言った。
「友美っち、まるで妖怪みたいな怖い顔だったよ。あれはVっちに見せられないね。」
「芽衣こそ、まるで悪魔みたいな姿だよ。Vちゃまがエッチな気持ちになるといけないから、Vちゃまにその姿見せちゃ駄目だよ。」
そう言いながらそっと私達はVっちの死体の傍に歩いていこうとした。
そのとき、私と友美っちの頭の中に声が響いたんだ。
『我に108億人の命をささげよ。さすれば人の一人くらいは生き返らせてやってもいいぞ。』
ネタバレ:このシリーズ、ラストはキレイなかたちで終わります。




