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その11 男泣き、俺にそんな価値は無いよ

偶然だったが、チャンは「ペルシアの華」の一員だという事が分かった。

そう考えれば、渋谷爆破テロへの奇妙なこだわりや、俺の言葉を「嘘ではない」と判断した事も納得がいく。


こんな偶然って簡単にあるものなのか?

それとも俺たちが今まで気づいていなかっただけで、実は『ペルシアの華』という組織はコンビニ並に地域に密着しているのだろうか。


チャンによれば「ペルシアの華」は、危険な世界の中ではかなりの人数がいるらしい。

つまり危険なところに近寄らなければ縁は無いけど、一線を越えると、うじゃうじゃ居るのかな?

まあいいか。


俺が益体も無いことを考えている間に、チャンはイロイロな場所に電話をかけて、再び俺に話しかけてきた。


「流石わたしが気に入った人だ。あなたがイケメンマスターだと聞きました。驚きビックリです。我らにとってイケメンマスターは世界の英雄。我らの命はイケメンマスターのために!」


俺はチャンたちの急な態度の変化に戸惑った。

チャンの顔が、大好きなスポーツ選手に握手してもらう少年のようになってる。

なんか黒い全身タイツ来て「キー!」とか叫びそうなくらい忠誠心のある目になっててドン引きなんだけど・・・。


「いや、そんなかしこまらなくていいよ、今は友美を助ける事だけを考えよう」

なんとなく目をそらしながら話題を変えてみた。

チャンは神妙な顔で頭を下げた 。

ノォー

いやいや、そんな神妙な顔しなくていいから。


俺は、やりにくさを感じながらも武器の調子整えて三階に上がろうとした。

しかしそのとき、チャンは俺をいきなり羽交い絞めにした。

「チャン、なんのつもりだ、俺を騙したのか?!」


その瞬間、若い中国人の一人が走って三階に上がっていった。

次の瞬間

バン!ズガガ!ババン!


いくつも銃声がして、先ほど走っていった若い中国人が、棒のように階段から落ちてきた。もちろん全身に銃弾を受けて血まみれで。

当然すでに死んでいる。

俺はチャンを振りほどくと、死んだ若い中国人に走り寄った。

「な、なんで!なんでこんな命を粗末にするような事をしたんだ!」


チャンは膝を突いてうやうやしく答える。

「イケメンマスタ。下の階で銃声がした、でも敵が降りてこない理由わかるか?待ち構えているからです。だからコレを偵察出した。コレの死体と銃声で敵の位置と人数分かる。敵は三人。銃は拳銃二つとマシンガン一つ。」


おれは震える手で死んだ若い中国人を抱きあげた。

顔を見ると、二階で俺を助けてくれた若者だった。

なんで


「だからって、味方をこんな死なせ方しなくても良いじゃないか・・・。」

チャンは静かに言う

「イケメンマスタを守るも大事。コレはそのために死ねて幸せ。」


「な・・・なんてことを・・・」


おれが、死んだ若者を抱き上げて震えていると、チャンは残りの若い中国人に叫んだ。

「シャー!(殺せ!)」


三人の若い中国人は一斉に三階への階段をかけあっがった。

俺は慌てた。

「やめろ、おれも行くから!」


慌てて走ろうとしたが数秒遅れてしまう。

抱き上げていた死体を粗末に放ることができずに、丁寧に床に寝かせたため思ったよりも時間を食った。


すぐに銃声が聞こえた。

激しい銃撃戦の音だ。

おれは急いで、もって来た槍を掴んで立ち上がり、上の階へ走りあがった。

見ると、味方の若者のうち二人 は血だらけで倒れていた。

一人は生きているが、家具の陰に隠れて銃弾の装填をしている。


敵も、二人は死んでいるようだっったが、拳銃を持った敵が一人だけ肩から血をだしながら生きていた。

敵は俺を見つけると、あわてて銃口を向け。

だが俺はすばやく身を低くして踏み込み、槍をつきだした。


槍は敵の目に深く刺さる。

槍が刺さると同時に敵は引き金を引いた。

ズキュン!という銃声が響く。

だが銃弾は俺の頭上・・・天井にあたる。

そして敵は息絶えた。

人は致命傷を負うと同時に引き金を引くと、銃口が上を向く。

ギリギリの間合いでの勝負なら、身を低くするほど安全だ。


この階の敵は全員死んだな。

三人とも死んでいるのを触って確認し振り返り、死んだ若い仲間たちを見て膝を突く。


「なんてことを・・・だからって、若い命を俺なんかのために散らせなくたって良いじゃないか。俺にそんな価値なんてないのに。若者の命を無駄にして良いほどの価値なんて俺には無い・・・。俺がオトリになるほうが、よほど良かっただろうに・・・」


俺を追って走って上がってきたチャンは、俺の前に立つとゆっくり座る。

「イケメンマスタ。人の価値は今だけで決まるの違う。未来も含めて死ぬときに決まるですよ。コレ達が死ぬ価値があった男になるのが、あなたの使命です。コレ達が天で自慢できる男になるのですよ。」


俺は両手で頭を抱えて、こぼれる涙を若者達に捧げた。


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