その26 愛と勇気と真実の戦士・アンミラー5!
「おほほほ、セント兼松学園のピンチには必ずワタクシが現れますのよ。ワタクシの名はアンミラーP!愛と正義の美少女仮面ですわ。おほほほほ。」
おもわず友美っちはつぶやく。
「いやこれは真田学園のピンチでしょ・・・て、あれ、美羅は何のコスプレしてるの?。」
すると、後ろから見ていた音羽さんが慌てて友美っちに言ってきた。
「なにを言っていますの、あのお方は正体不明の仮面の美少女アンミラーP様でしてよ。」
友美っちは不思議そうな顔をしてアンミラーPを指差す。
「え?でもあれは美羅・・」
「いいえ、あのお方は正体不明の謎の仮面帯少女アンミラーPさまでしてよ!。ちなみにPはピンクのPですの。」
「いや、美羅・・・」
その言葉に音羽さんは強引に汗をかきながら必死に言葉を重ねてきた。
「謎の美少女仮面アンミラーP様です。!」
さらに不思議そうに何かを言おうとした友美っちに私は肩に手を置きながら言ったよ。
「空気読むところみたいだよ。あの人はアンミラーP。それで納得しないと駄目みたい。」
そういうと、やっと友美っちは理解して、「ああ、そういうことか。正義のヒーローは正体がバレちゃいけない系だ。」といったので、音羽さんは安心した顔で汗をぬぐっている。
そして私達は再び校庭に目を向けた。
すると美羅・・・じゃなくてアンミラーPは餡ちゃんになにか紙袋を渡していた。
何しているんだろう?
ESPイヤーで耳を澄ますと、アンミラーPの声が聞こえた。
「さあ餡さん、もしかしたらお腹が痛んじゃなくて?この袋を持ってお手洗いに行ってみてはいかがでしょう。」
そう言いながら、ぐいぐい紙袋を餡ちゃんに押し付ける。
この異様な光景に、武義も如水も手を止めて二人のやり取りを見始めた。
餡ちゃんは困った顔で紙袋を押し返す。
「やめてくれよ、またこの服を着せようとして。もうアンミラーはやらないって。」
そこに、いきなり冬姉が駆け寄っていくのが見えた。
冬姉・・・また事態をややこしくする気か?
すると、アンミラーPは冬姉を見つけると、嬉しそうに紙袋を持って駆け寄った。
「いいところで来てくださいましたわ。もしかすると冬美さんもお腹が痛いのではありませんこと?
この紙袋を持ってお手洗いにいかれてはいかがでしょうか?。
もしかすると、不思議な真の力に目覚めるかもしれませんことよ。」
そう言っていきなり紙袋を冬姉に押し付ける。
さすがに戦いに乱入しようとした冬姉はビビった顔をしていた。
レアだな。あの困った顔の冬姉はレアだよ。
冬姉はとりあえず紙袋受け取ると中を見る。
そして冬姉は目を輝かせると、アンミラPの耳元で小声で何かを言った。
アンミラーPも小声で冬姉に何かを言う。
すると冬姉は目を輝かせながら信じられないことを言ったんだ。
「ああ、なんかお腹が痛いな。餡もおなかが痛そうだな。トイレ行きたいから餡も一緒に行こうよ。」
私と友美っちは「?」状態で二人で目を合わせて、もう一度校庭の冬姉を見た。
すると冬姉はいきなり餡のお腹にパンチを入れた。
「ぐふ!冬美さん、急に何を・・・」
冬姉は涼しい顔で
「餡、お腹痛そうだな、トイレに行くから一緒に行こう!。」
そう言うなり、餡ちゃんを肩に担ぐと紙袋を二つ持って校舎に駆け込んでしまった。
のこされた武義と如水に対してアンミラーPは高笑いをする。
「おほほほ、お二人とも少々お待ちあそばせ。おほほほほほ。」
10分後
「おーほほほほほ。おーほほほほほ」
アンミラーPは10分間笑い続けた。
笑いだけで10分も場をつなぐなんてアンミラーP凄すぎる。
そこにアンミラーPとよく似た服の、オレンジ色の人と、赤色の人が来た。
まあ、どうみてもオレンジが餡ちゃんで、赤が冬姉なんだけどね。
でも音羽さんは、みんなに念を押すかのようにまた大声で小芝居をする。
「まあ、アンミラーP様とよく似た謎の美少女仮面が二人も現れましたわ!いったいあのお二人は何者なんでしょう?完全に正体不明でしてよ。」
OK音羽さん、さすがに友美っちも空気を読めてるから大丈夫だよ。
友美っちは小さくつぶやいた。
「オレンジと赤という事は、アンミラーOとアンミラーRかな?。」
音羽さんは嬉しそうに友美っちの手をとった。
「さすが友美さんです。きっとその通りでしてよ。きっとアンミラーOとアンミラーRですわ。」
うしろでセレブ女子達が「そうですわ」「そうに違いありませんわ」と慌てて言い合っている。
よく分からないけど、セント兼松学園には触れてはいけない闇があったみたいだね。
私達は、再度校庭に目を向ける。
すると、もう三人は武義と如水に対して、戦闘前のキメポーズをしていた。
そして高らかに叫んだ。
「愛と正義の使者、美しきピンクの戦士アンミラーP!」
「勝利と正義の使者、燃え盛るレッドの戦士、アンミラーR!」
「え、言わなきゃ駄目かな・・・。し、真実と正義の使者、鮮烈なオレンジの戦士、アンミラーO・・・恥ずかしい。」
「3人揃って、アンミラー5!」
う、餡ちゃん・・・じゃなくてアンミラーOがはずかしそうで可哀想・・・・
そして3人なのになんでアンミラー5?
でもきっとここは突っ込んじゃいけない場所なんだ。
私は、ぐっと突っ込みを我慢したよ。
するとアンミラーPは嬉しそうに叫ぶ。
「おほほほ、悪の教師、荒川武義と荒川如水。アンミラー5が現れた以上、お覚悟あそばせ。」
空気を読まない武義はアンミラーPに突っ込む。
「餡、美羅、人を馬鹿にすると許さんぞ。それに3人しかいないのに5は無いだろう。お前達は馬鹿か?。」
するとアンミラーPは私達を指差して答えた。
「貴方達のような雑魚には黄色の戦士アンミラーYと青色の戦士アンミラーBを呼ぶまでもありませんわ。」
あ・・・あれは暗に友美っちもいつか仲間いれる宣言だ。友美っち、かわいそうに。
すると校舎から誰かが「天道・・・」と叫びかけた。
その瞬間、学校中から「謎の美少女仮面」とか「アンミラーR様」とかそこらじゅうから叫び声がしてその声を打ち消した。
こいつら、慣れてるな・・・。
アンミラーR(冬姉)は、そんな周りの状況を無視して如水に襲い掛かる。
「トゥゥ!」
普通のチョップだった。
当然如水はそのチョップを受けた。
でも・・・・
「ぐはあああ!」
アンミラーR(冬姉)のチョップはガードした如水の腕をへし折って、そのまま如水の肩にめり込む。
如水は吹き飛ぶように地面に倒れてしまった。
アンミラーR(冬姉)は、その如水から武道会用の特製端末を奪うとまるで豆腐を握りつぶすように端末をグチャりと握りつぶした。
なんか、もうアンミラーR(冬姉)は化け物だな・・・。
そして言った。
「さあ、残る武義はアンミラーOに譲るよ。馬鹿な動物には力で教えるしか手は無い。どっちが上の存在かを体に教えてやれ。」
それを聞き、恥ずかしがっていたアンミラーOは急に背筋を伸ばしてうなずいた。
「そうだね、この人は僕の事を自分よりも下だと思って不満を持っているみたいだから・・・・良い機会だからハッキリさせるよ。」
そういうと、武義に向き直った。
武義はまた激怒。
「ふざけるな、爺ちゃんの贔屓で宗家になった奴がいい気になるな!。」
そう言うなり、武義はアンミラーOに下方からの掌底を打ち上げる。
アンミラーOはその掌底を避けもせずに無造作に掴むと。小手投げの要領で横にあっけなく投げ捨てた。
「武義さん、あなたは僕に絶対に勝てないよ。あなたはV兄さんを恐れて追い出したけど、僕はV兄さんの背中を追いかけた。その差を今思い知らせてあげるよ。」
武義は起き上がるが、構える前にアンミラーOに腕をつかまれた。
すると武義は爪先立ちにされてしまい、動けなくなってしまった。
ああやって重心を崩されると人は動けなくなる。
でも重心を崩しつつ相手を転ばさない状態をキープするのは難しいんだ。
アンミラーO(餡ちゃん)が圧倒的な技量差を持っているからできる事だよ。
その動けない武義の服から、アンミラーPが武道会用の端末を抜き取って宙に投げた。
その宙に舞った端末に向けて、アンミラーR(冬姉)はコブシを突き出す。
すると数メートル離れた宙に浮いていた端末は、はじけて壊れた。
それを見届けて、アンミラーOは武義の手を離した。
「これで終わりだね、武義。もう兄さんとは呼ばない。あんたは私の格下の人間だからね。」
「ふざけるな小娘!。」
武義はさらに襲い掛かろうとする。
でもアンミラーOは両手の掌底をつけて武義に打ち込んだ。
「獅子蒼気砲!」
餡ちゃん(アンミラーO)の掌が青く光りながら鋭く武義に炸裂した。
そこで武義はゲロを飛ばしながら後ろに数メートル吹っ飛び、白目を向いて気絶してしまう。
アンミラーの3人は、そこで力強く勝利のポーズのフォーメーションを決めるのだった。
―――
お昼時間。
また私達は、芝生でお昼の後のくつろぎタイムを楽しんでいたんだ。
セレブもエスパー部隊も真田学園のオタクも、カリスマ女子を囲むようにお弁当を食べている。
そこで美羅ちゃんは上機嫌だった。
「おほほほほ、まさかアンミラー5が今日再結成されるとは思いませんでしたわ。きっと我らの総帥、アンミラーVもお喜びですわ。おほほほほほ。」
わたしは思わず突っ込んじゃった
「美羅ちゃん、アンミラーじゃない時に『我らの総帥』はまずいんじゃないの?。」
「あら、ワタクシったら嬉しくってうっかりしてしまいましたわ。さすがアンミラーの一員は鋭いですわね。」
私はぎょっとして小声で美羅ちゃんの耳元で言ったよ。
「ちょっと、アンミラーはイトコで結成しているんじゃないの?。私は他人だよ。」
すると、美羅ちゃんは羽の扇子をガバっと開くと、それに隠れるように私に耳打ちをした。
「いいえ、アンミラーはVお兄様に鍛えられた勇者がなりますのよ。あなたはVお兄様の二番弟子というではないですか。でしたら資格は充分すぎますわ。アンミラーB。」
おもわず私はのけぞっちゃったよ。
勝手に仲間にされてた。
餡ちゃんはこっちを生暖かい目でみてる。
なんてこった、がおー!
そこで友美っちがニマニマしながら私の肩をガツっと掴んだ。
「ふふふ、芽衣。あんた一人だけ逃げるのは許されないってことだよ。」
ガッデム。
この日の午後も戦いは激化し、残った戦力は
セント兼松学園 5チーム
真田学園 6チーム
ペルシア学園 15チーム
竹内館チーム 98チーム
となった。
実質、明日からはペルシア学園と竹内館の勝負となりそう。
~~~~~~
職員室で武義は爪をかんでいた。
『なぜ俺がこんな目にあわないといけないんだ・・・。』
体を揺らして爪をかむ。
『くそ、くそ・・・・あの小娘、どんな卑怯なことをしやがったんだ。なにかトリックがあるに違いない。』
ベリリとかんでいた爪が割れた。
血が出てきたが、それでも武義は爪をかみながら体を揺らす。
そしてそっと引き出しを開く。
そこにはくすんだ色のルービックキューブのようなもんが入っていた。
それを掴みながら体を揺らす。
『くそあいつら、みんな殺してやる。爺ちゃんみたいにクビをねじ切って殺してやる。このツワモノスイッチで・・』
するとスイッチから武義に声が流れてきた。
『敵は殺せ。お前の敵はイケメンマスターだ。イケメンマスターの首を我にささげよ。さすればお前をさらに強い男にしてやろう』
武義はつぶやいた。
「イケメンマスター・・・武威は殺す。爺ちゃんと同じように殺す・・・。」
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お読みくださりありがとうございます。
次回以降予告
ついに本性を現した武義。
ツワモノスイッチを片手に、血の狂乱を始める。
おそらくVにしか止められない。
しかしツワモノスイッッチの力は危険すぎるためにVは武義の前に姿をあらわせずに居た。
Vの代わりに戦う若き戦士たち。
冬美、餡、美羅、雅人、・・・
だが彼らもツワモノスイッチの力の前に散っていくのだった。
若者を倒しながら、武義は虚空に絶叫する。
「武威、出て来い!お前も殺してやる。爺ちゃんのように首がねじ切れて死ね。」




