その24 お馬鹿な雅人には難しすぎる説明
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そのころ、体育館裏では竹内館のメンバーが作戦会議をしていた。
メンバーの中心で辛そうに横になっているのは大黒雅人。
その雅人に対して、雅人の兄の大黒玄太が通信で話しかけてきた。
『憤怒態は慣れるまで、使うたびに全身が筋肉痛になるけど、何度も使うことで体が慣れてくるから、辛くてもガンガン使うんだよ。』
情けなくプルプル震えながら雅人は通信に答える。
「わかったよ兄ちゃん。でも、なんで先週急に俺に憤怒態ができるはずだって通信してきたの?。なんでわかったんだ?」
『ああ、実は僕もみんなに虐げられて苦しんだとき、V君に指摘されて憤怒態ができるようになったから、同じような落ち込み方をしている雅人にも出来るんじゃないかと思ったんだ。』
「え?憤怒態は落ち込むことと関係あるの?。」
『V君の研究では、ホルモンの急激な変化が憤怒態のカギでは無いかっていう話だったんだ。
だからV君は仮説として落ち込んでる状態から、一気にテンションをあげるような感情の大きな落差がホルモンを急激に動かして憤怒態へ導くという風に考えたんだ。
これは大黒流の昔の憤怒態を習得するエピソードが必ず、挫折後に人を助ける為に力を振り絞る事ことから、V君が予想したことなんだけどね。
だから落ち込んだ状態を覚えている今のうちに、無理にでも何度も憤怒態を行って体に覚えこませるんだ。』
「Vさんが・・・・憤怒態という伝説の技を兄ちゃんに身につけさせたのか。でもVさんは自分よりも兄ちゃんが強くなるとか考えなかったのかな?。」
『V君はそんな事気にし無かったよ。むしろV君のアドバイスで僕がV君を超えてしまったことに満足そうだった。
他の連中は僕が追い越して行くことに意地悪で妨害しようとしたけど、V君は『強くするためにアドバイスしたんだ。玄太君を強くした俺ってすごいぜ』って喜んでたよ。
そんで言ってくれたんだ『俺は必ずまた玄太君に追いつくから、遠慮しないで限界を目指せよ。
そうでないと追いかける楽しみがなくなっちまうからね』って。
その言葉のおかげで、僕は前に進めた。
そして今度は雅人を落ち込ませて強くするお膳立てもしてくれた。ほんとうにV君は凄い人だよ』
「え?お膳立て?ちょっと兄ちゃん、それはどういう事だい?。」
『いや・・・ゴフッゴフッ。それはあれだよ、雅人の状態をすぐに僕に伝えてアドバイスさせたって意味だよ。あははは。』
「ああ、そう言う意味か。たしかにVさんはすごいよ。これで俺がVさんを超えるかもしれないのに、気にしないで俺を伸ばしてくれるんだもの。」
そこでVが通信に割り込んできた。
『おいおい雅人、その程度で俺を超えられると思うなよ。まだ冬美も倒していないんだから慢心は禁物だ。憤怒態は入り口だ。男ならもっと上を目指さないと駄目だぞ。
武器は手に入れれば強くなるんじゃない、使いこなしてこその武器だ。
憤怒態も手に入れたらゴールじゃない、習熟してさらにパワーアップさせないといけないんだ。』
「あはは、Vさんは手厳しいな。だが、確かに上を目指さないとな。すぐ回復してすぐに次の戦いをしてやるぜ。」
『ふっ、さすが雅人だな。だがこれはチーム戦だ。リーダーなら仲間を信じるんだ。そうでないと餡のような敗北を味わうぞ。』
「そ、そうですね、チーム戦ですよね。」
『ああ、まずは竹内館のメンバーがチーム戦の経験を積むためにセント兼松学園の連中と戦うのがいいと思う。
連中はプロを連れてきているからペルシア学園の連中と戦う練習台としてはうってつけだ。
だが喧嘩で連携をある程度経験しているお前達なら、苦戦をしても負けることはあるまい。
おそらく真田学園はすぐペルシア学園と小競り合いをしだしてジリジリ消耗し、内部の結束が弱まるから手を出す必要はない。
セント兼松学園だけを狙って経験を積むんだ。ペルシア学園はチーム数が少ないから木曜日から一気に戦えばいい。』
そこでものすごく不思議そうな顔で雅人は尋ねた。
「あのVさん、なんで真田学園はペルシア学園と小競り合いをして、その後に結束が弱まるんですか?。」
『真田学園が五人に満たないチームで登録してきていたから、今回の作戦は予想の範囲内だった。
餡は今回の敗北で気合が入るだろうが、小ズルイ義武兄ちゃんや如水が自分たちもこの作戦の恩恵にあずかって、何度も戦おうとするのは間違いあるまい。
おそらく友美はすでにズケズケ二人にキツイ事を言っているだろうから、あの二人は必ず友美の鼻をへし折ろうとする。
で、真田学園は武義兄ちゃんと如水のせいでペルシア学園と小競り合いをすることになるが、二人の横暴に真田学園の生徒や餡がいつまでも従うことは無い。
かならずそうやって結束が弱まるときが来る。
餡たちが反旗を翻す頃は、真田学園の戦力はペルシア学園の力で半分以下になっているはずだがな。
結束が弱まったチームは弱気なるから共闘の誘いには案外簡単に乗る可能性が高くなる。
そのころに戦力を弱めたセント兼松学園と真田学園は、ほぼ無傷で残っているペルシア学園に脅威を感じるはず。
だから、そこで雅人たちは彼らと手を組んでペルシア学園と戦うことで有利に運べるはずだ。』
「・・・・・えっと、難しいことは俺にはわからないがVさんの、不思議な作戦を信じますよ。それで戦いましょう。」
『よし、じゃあまずはセント兼松学園チームとの対戦のためのランク表をお前の端末に転送した。
お前達とセント兼松学園のチームに10段階のランクがついているだろ。
かならず自分達のチームよりも低いランクの相手を選んで戦うんだ。
できたら一つだけランクが下の相手と戦うのが望ましい。
それで3日で敵の戦力を三分の一にしてしまえ。』
「おおお、こんな一覧まで用意していたんですか。これはすごいな。わかりました。これでまずは経験値獲得に挑みます。」
そうして、まずは竹内学園はセント兼松学園に襲い掛かることとなった。
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大黒雅人マメ知識:30秒以上の説明は理解できない。




