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その23 餡の苦い思い出

~~~~~~

10年前、超金持ちの子供である4歳の美羅は窮屈な生活に自分を見失い掛けていた。


そのとき、イトコの餡に出会う。

同い年のイトコの餡は、美羅に普通の子供の素直さを教えてくれた。


ある日、母の矛美に呼ばれて、餡と一緒におとなの男性が来た。

その人もイトコだという。


その男性はVと名乗る。

美羅は忙しい父に甘えることは出来なかった。

それに周りの大人は美羅を腫れ物でも扱うように接していた。だから子供の美羅に正面から向かい合って、自然体で接してくれるVは、美羅にとって本当の兄のようにすら感じていた。


Vは他の大人に代わって、美羅に人の生き方を教える為に、経験談を通して沢山語ってくれた。

そのVの言葉は、急激に美羅の人格に影響を与えたのは当然の成り行きだったかもしれない。


そんなある日、餡がヒーローごっこがしたいと言い出した。

そこでVは二人に提案した。


「餡と美羅だからアンミラーで良いんじゃね。おれがリーダーのアンミラーヴァイオレットな。で餡がアンミラーオレンジで美羅はアンミラーピンクでどうよ?。」


幼い餡と美羅は、その設定がとても気に入って、その後よくアンミラーごっこで遊んだ。

~~~~~~



私はエスパーの歌田芽衣。

特技はVっちのコーヒーを上手に入れることだよ。

Vっちは私のコーヒーが一番すきだって言ってたもん。


そんな私は、いま保健室にいる。

ぐったりしちゃった餡ちゃんを連れてきたんだ。


真田学園のみんなも心配していたけど、友美っちが

『男子は寝てる女の子の傍に寄ってきてはいけません!』

て一喝したから、みんな残念そうに帰っていった。

あれはちょっと可哀想だったかも。


それにしても友美っちの応急手当は完璧だよ。

しかも手早い。


保健室の先生が何も出来ないうちに、骨まで接いじゃったし。

しばらくして餡ちゃんは気力がもどってきたみたいで話しかけてきたよ。


「僕は・・・・負けちゃったんだよね・・・」

「餡、みんなが沢山チャンスを作ってくれるんでしょ。これから頑張れば良いよ。」


「友美・・・・保健室につれてきてもらって、すまない。」

「気にしなくて良いよ。」


「なんか、保健室の天井を見ていたら子供の頃の事を思い出したんだ。。」

「想い出?」


「ああ、子供の頃にV兄さんや美羅とヒーローごっこをしたのを思い出したよ。

あのころは自分が敗北して泣く日が来るなんて思いもしなかったよなとか思ったんだ。

V兄さんてばヒーローごっこをするときに、餡と美羅だからアンミラーとかヒーロー名をつけたんだ。

なのにリーダーは自分でアンミラーVとか名乗るんだよ。

4歳の子供相手に自分がリーダーとか言い出すのって大人気ないよね・・・。

でも、V兄さんが居ない時に美羅とアンミラーごっこをしていたら、僕が机から落っこちて頭を打って気絶したんだ。

目が覚めたら病院のベッドの上でこんな天井を見たよ。

そのせいで美羅が病室の外で矛美叔母ちゃんに随分怒られてるのが聞こえたんだ。

また私は、私の失敗のせいで仲間に迷惑を掛けたんだよね・・・。」


言いながら、餡ちゃんがまたポロポロ泣き出した。

よほど悔しかったんだな。


友美っちは優しく餡ちゃんの手を握る。

「餡、まだ負けていないでしょ。団体戦はチームが勝って初めて勝利なの。

まだ真田学園は負けて無いんだから、落ち込んでいる暇は無いよ。」

餡ちゃんは涙を拭いた。


「そうだね、僕はまだ戦わなくちゃ。冬美さんの強さにばかり目が行っていて、雅人をなめていた自分が恥ずかしい。仲間のためにも次はかならず勝つよ。」


そこに廊下に響き渡る、大きな笑い声が聞こえてきた。

「おほほほほ。おほほほほほ。」


私は一応確認したよ。

「あの笑い声はさ、たぶん美羅ちゃんだよね。」


餡ちゃんは顔を引きつらせながら答えた。

「そうだね。僕はエスパーじゃないけど予言できるよ、もうすぐあのドアが開いて美羅が入ってくる気がする。」


ガラガラ


ドアが開くと、笑い声と共に美羅ちゃんが入ってきた。

「おほほほ、餡の戦いを見させていただきましたわ。

感想は冬美さんのお言葉と同意という感じでしょうか。

Vお兄様も昔、『チームで戦うとき、仲間を助けたいならば自分の役目を120%こなすことが最大の助けになる』と仰ってましたわ。

餡は仲間を信頼しないで自分の役目をこなせなかったのですから、いまの無様なお姿は当然ですわね。おほほほほ。」


餡ちゃんは辛そうに上半身を起した。

「もう言わないでくれ。それは僕も反省しているんだから。太一君たちが作ってくれたチャンスを棒に振った自覚はあるんだ。」


「おほほほ、分かっているのでしたらこれ以上は言わないことにしますわ。ですが太一さん達には感謝しなければいけませんわね。餡が大事なことを学習できたのですから。」


友美っちも嬉しそうに美羅ちゃんを指差した。

「ですよねー。Vちゃまもよく失敗から学んだ話をしてくれたんだ。きっとこういう失敗の経験が大事なんだよ。」


そんな会話をしながら楽しそうに笑う3人。


この3人は、実は結構良いトリオになんじゃないかと思ってしまったよ。


お読みくださりありがとうございます。


アンミラー豆知識:アンミラーPとアンミラーOという名は、たまたまその日に美羅がピンクの服を着ていて、餡がオレンジの服を着ていたから名づけられた。深い意味は無い。

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