表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/131

その17 福神七傑

~~~~~~

崖の下に、イケメン好き敷き修道院の本部が見える位置に、福神七傑の16人は来ている。


Vは福神七傑を馬小屋で見送って去っていってしまっているが、玄田の士気は変わらない。

メンバーの一人である布袋辰夫は玄太に聞いた。


「なあ大黒さん、世界のために正義の戦いをすることに俺はもう疑問を持ってはいない。

だったらここからスマートスイッチを使って連中を倒すのでは駄目なのか?。」


「布袋君、あの中に関係ない人が居る可能性もあるし、あの中に艶女スイッチ(アデージョスイッチ)が無い可能性も考えないといけない。

もしもあそこに艶女スイッチが無ければ、情報を引き出さないといけない。それに・・・もしも全員殺すまえにスイッチを見つけることが出来たら、残りの人は殺したくない。だからギリギリまでスイッチは使えないんだ。」


「ああ、そうか。今回の目的はスイッチを奪うことだからか。わかった、納得したよ。」

玄太は背後の全員に通信機のスイッチを入れるように手で合図を送る。


そしてVに教わったとおり、機材の点検のために通信機に呼びかける。

「では通信機のテストを行う。全員順番に通信機に自分の名前を言って。」

「おう、布袋辰夫」

「うむ、福禄勘兵」

「多聞邪鬼だ!」

「恵比寿鯛っす。」

「厳島弁次、聞こえますよ。」

「そして私ね。吉祥寺沙織、OKよ。」


玄太はうなずき通信機に叫ぶ。

「確かにV君の言うとおり、これは七福神ですな。

・・・みんなさん聞いてください。V君は一人で戦った時は数人の雑魚に負けたこともあるという。

だが仲間が3人居れば負ける気がしないとも言っていた。

僕達は7人だけど、きっと10万人の敵でも倒せる!

さあ、我らが名を叫びながら敵に飛び込もう!我らの名は、」


その言葉に全員が言った。

「福神七傑!。」


「よし、突撃!」


7人は一気に崖を駆け下りた。


Vの作戦通り、玄太と多聞は最初に建物の屋根に飛び降りる。

そこは、事前調査で分かっていた長老シスターの部屋のあたりだ。

玄太の体重で、石造りの教会の屋根はあっけなく崩れて突入できた。


布袋と福禄はチャペルのあたりの屋根に、如意棒を上手く使って飛び降り、屋根を破って突入。


残りの3人は地上の入り口から突入し地下を目指す。


まず突入隊に玄太の通信が飛んだ。

『こちら大黒・多聞班、長老は不在。今から10分捜索してから手のかかりそうなところに合流する』


大黒玄太が部屋を破壊するように捜索してみると、大量の男性ヌードの雑誌が出てきた。


多聞邪鬼は雑誌をけりながら怒る。

「ち、色ボケばばあが。こいつはイケメンスイッチを封印して平和を呼ぶなんて言ってたらしいが絶対嘘だね。イケメンスイッチでイケメンを脅して楽しむ気だったんじゃないか?。」


すると次は、布袋から通信が飛ぶ。

『こちら布袋・福禄班、こちらも人が居ない。一応10分捜索して地下に向かう。』


その通信を聞いて、多聞邪鬼はヘヘっと笑った。

「なあ大黒さん、もしかすると思ったよりも楽なデビュー戦になるんじゃないか?人が出払ってるみたいだぜ。」


しかし、玄太はココで美メン教団との戦いの記憶が頭をよぎる。

こういう油断しそうなときこそ、友美は不安がってVに通信をしていたのを思い出したからだ。

あの若さで、並みの傭兵以上に修羅場を経験していた友美の勘はいつも的中していた。

それを思い出すと、この「誰も居ない」という異常事態に不安が走る。


玄太は全員に通信を飛ばす。


「チャペルに居る布袋・福禄班はすぐに地下に行ってくれ。嫌な予感がする。こちらも地下にすぐに向かう。地下班は慎重に行動しろ。」


すぐにチャペル班から返事が飛んできた。

『こちら布袋・福禄班だ、了解した。』


しかし、数秒待っても地下の班から連絡が帰ってこない。


玄太は再度呼びかける。

「地下班、慎重に行動してくれ。わかったら返事を。」

しかし返事が無い。


玄太は慌てて布袋・福禄に呼びかける。

「布袋さん、僕らが行くまで地下には入らないでください。」


しかし、返事が無い。


ここで玄太はVの言葉を思い出した。

『微妙な状況では現状維持だ。とくに罠と思われる場所には軽々しく突入指示を出してはいけない。』


玄太は急いで地下入り口に向かって走りながらつぶやく。

「しまった。きっと正解の指示は地下で合流ではなく、チャペルで合流だったんだ。」


玄太と多聞邪鬼が地下入り口前に着くと、そこでVから通信が入ってきた。


『玄太君、ここが罠なら味方は全滅している。だから慌ててはいけない。いま通信できない味方を戦力として考えては駄目だ。どうする?。』


玄太は数秒考えて答えた。

「よし、二人で慎重に進もう。」


するとVは通信機の向こうから怒鳴った。

『違う!ここは一旦退いて増援をつれてくるんだ。もう味方がいないなら二人での突撃もありかもしれない。でもまだ9人の予備戦力があるんだろ。部隊の再編成後に地下への攻撃だ。』


玄太は動揺しながら答えた。

「あ、あ、そうか。分かったよ、じゃあ待機場所に一旦帰ろう。」


するとまたVは怒鳴る。

『違う!建物外へ一旦退避。そこに予備の仲間を呼ぶんだ。完全に離れたらその後に大きな変化があっても分からないだろ。呼ぶ仲間と装備を考えて建物外で身を隠しながら合流だ。』


「あ、そうか。わかったよ。では通信を待機班に・・・。」


またVは怒鳴る。

『違うだろ!まずは二人が建物外へ出て安全確保!その後で仲間へ合流の連絡だ。急いで外に出るんだ!』


玄太は泣きそうな声で答えた。

「うん、急いで外に出るよ。」


玄太はそのあと、10回以上怒鳴られながら屋外での安全確保、仲間への合流指示、作戦の再編成をやらされた。


30分後

増援に五人呼んだ。

子供や機材整備の人間4人は待機班として待機場所に残した。


玄太は再び突入しようとする。

そこでまたVが怒鳴った。

「まだだ!通信機確認、時計の時間確認、各員の装備不足がないか確認!分かりきっていても人数確認!慌てたときほど確認を習慣をつけろ!突入はその後だ!。」


玄太はもう本当に泣いていた。

イジメられっこのような顔で、Vの怒声にしたがう。


すると最後に、Vが優しい声で言った。

「玄太君、どんなにテンションが下がる状況でも、リーダーは泣き顔なんかしちゃ駄目だ。

もうあと一秒後には死ぬと思えても、勇ましく落ち着いていないといけない。

チームはリーダが作るものだ、仲間を不安にさせてはいけない。

みんなが勇気を持てるように考えて振舞うのもリーダーなんだ。

無理にでもテンションあげるんだ。」


半べそをかきながら玄太は答える。

「無理だよ。僕にはリーダーは無理だったんだ・・・。V君・・・今からリーダーを交代してくれないか?。僕には無理だよ・・・。」


しかしVはさらに諭すように言った。

『いいかい、リーダーは素質なんだ。強いだけでも、頭がいいだけでも、勇敢なだけでも駄目だ。

リーダーに必要なのは信念なんだよ。仲間が寄り添うための信念という指標が必要なんだ。

そして信念はリーダーの人格から生まれる。

だからリーダーは素質ある人格をもってる必要があるんだ。

分かりきった言葉でも信じたリーダーの口から信念を聴きたいと思うのが苦しい時の人の心理だ。

そいう言葉を危機の中で言えかどうかは、最後は人格なんだ。

だから信じるんだ、そのリーダーとしての人格を玄太君は持っている。

信じて考えるんだ、そしてこの後はどう戦いたいかを。』


「それは・・・絶望的でも仲間を助けたい。生きて助け出してそれから艶女スイッチを奪う。そして全員で生きて帰る。・・・でもこれはV君から見たら甘いよね。」


『そんなことは無い、死体を見るまで仲間を助ける希望は捨てては駄目だ。作戦上は死んだこととして扱うが、心の中では生きていることを信じる。この矛盾を現場で適切に扱うのはリーダーの素質だよ。』


玄太は涙を袖でぬぐうと立ち上がる。

「よし、まず小型カメラを投げ込みながら地下を前進する。

地下だから先頭の多聞さんはガスのチェックをしつつ前進。

僕達は少し離れて進み、敵の位置を確認できたら合図と共に突撃だ。

地下入り口は布袋弟君が隠れて見張り。

それで突入する。ユックリ進むが合図が出たら迷わず突っ込むように。」


「はい!」


「では、警戒前進!」


素早く地下入り口まで進むと、一同は玄太の指示に従い前進をする。


しばらく進むと、地下の曲がり角の奥から血のにおいがしてきた。


覗くのが怖い。


このまま、覗かないでスマートスイッチで奥の人間をみんな殺したい衝動に駆られた。


しかし思いとどまった。

この奥には仲間が居るかもしれない。

博打は出来ない。


玄太は全員に指示を飛ばす。

「ココから先は僕が突撃を掛ける。多聞さんは僕の状況を見て後ろのみなに指示を。戦闘が始まったら全員突撃だ。いいね。」


全員が通信機で小さく返事をする。

「はい!。」


玄太は飛び出した。

見ると地下の暗がりに、ろうそくの光が揺らめき、その中に人が居た。

恐怖で玄太の視界が狭くなっているため、人影が男か女かもわからない。

緊張で焦った。気念砲を構える。


思わず撃った。


その瞬間。

気念砲のタマが弾かれた。


玄太は緊張して、思考が追いつかない。

思い切って目の前の人に突撃を掛ける。

その時、

玄太は強力な力によって正面から吹き飛ばされた。


「なに!そんな馬鹿な・・・」


ふっとんだ玄太は多聞邪鬼の前まで転げていった。

福神七傑に緊張が走る。


この大黒玄太は訓練ではバズーカにすら耐えるのを見ている。

その玄太が吹き飛ばされたのだ、全員の視界が恐怖で真っ暗になった。

全員迷った、進むか?逃げるか?。


すると、先ほど玄太が突っ込んだ方向から、布袋の声が聞こえてきた。

「おい大黒さん、俺達を殺す気かよ。いまのはかなりやばかったぞ。」


玄太は起き上がり声のほうをよく見た。

そこには、連絡が絶たれた仲間達が縛られてぶら下げられていたのだ。

こんな姿すら見えなくなっていた。

玄太は、恐怖による視界の狭まりは恐ろしいと実感した。


その奥から、さらに聞きなれた声と共に男が姿を現した。

「人影が敵かどうか確認しなくちゃ駄目だろ玄太君、どうやら最終テストは落第点だね。」


それを見て、玄太は何が起きていたのか理解して、がっくり力が抜けた。


ーーーーー


実はこの本部は、Vがすでに攻め落としていたのだ。


そしてわざと、福神七傑の失敗を誘導し、仲間を失う恐ろしさを体験させ、恫喝して緊張の中で動く経験をさせた。


馬小屋に帰ってきてから、Vは艶女スイッチを手でもてあそびながら福神七傑に言った。


「デビュー戦っていうのは、実はかなり戦死率が高いんだ。

だから俺は対麻薬組織部隊に居た頃から、こうやって実戦のフリをした卒業テストを最後にさせるようにしていたんだ。

安全にデビュー戦が出来たんだ、良い経験になったろ。」


多聞邪鬼の息子の多聞持塔は泣きながらVに殴りかかってくる。

「怖かったんだぞ!泣かす気かよ!このやろう!。お父さんが死ぬかもしれないと思ったじゃないか!」


Vは優しく持塔の頭をなでる。

「ははは、悪かったな。だがこれからは毎回この危険と隣りあわせだ。おまえももう6歳ならビビらないでしっかり戦いを見るんだぞ。」


そう言いながら、一瞬Vは泣きそうな表情をした。

それを見て多聞邪鬼は息子を抱いてVから引き離して言うのだった。


「わかってますよVさん。俺もあんたの四次元力を見て、あんたの未来の話を信じている。

だからそう辛い顔をしないでくれ。自分の息子が救世主の一人になるなんて武道家冥利につきるってもんだ。

あんたは気にしないでくれ、この子を救世主にするのは俺の意思だ。」


Vは硬く目を閉じてつぶやく。

「すまないみんな。過酷な運命を背負わせてしまって・・・・。」


すると大黒玄太はVを強く掴むと、爽やかに言った。

「V君、僕は感謝しているよ。自分と世界の運命を選べる立場になれたって事だもの。

これからこの福神七傑は未来のV君が見た姿よりも、はるかに強くなって未来を変えてみせる。

V君だけが苦しむことは無い、一緒に戦おう!。」


Vは涙をこぼしながら玄太を抱きしめた。

「ありがとう!ありがとう!」


こうして、Vが見た未来よりも3年以上早く、福神七傑は結成された。

~~~~~~

お読みくださりありがとうございます。


次回以降の予告


男達は苦しんでいた。

学校にテロリストが襲ってくるという、男なら誰もが一度は妄想するシチュエーションで武道男児がだれも活躍できなかったのだから。

Vの兄であり教師として学園にきている武義も、あらためて弟の恐ろしさを感じ嫉妬する。

大黒玄太の弟の雅人も、兄が生き抜いた戦場の1%以下の戦力に怯えて動けなかったことに苦しんでいた。

自分よりも大きすぎる弟と、偉大すぎる兄。

偉大な兄を追う弟はまだ良い。

しかし、大きすぎる弟に嫉妬する武義は友美の言葉でトドメを刺される。

「貴方はVちゃまを知る人に点数つけてもらう勇気はあるの?Vちゃまが100点だとしたら、貴方達に1点以上つける人が何人いるでしょうね?。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングアップのために、↓↓クリックしてくれると嬉しいです
小説家になろう 勝手にランキング

第四部はこちら
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ