その14 イケメンマスター争奪戦
ここは家庭科実習室。
私達の食事の仕方が、あまりに衝撃的で人目に晒せないという房代さんの拘りにより、私達はお昼休みはここを借り切っているんだ。
でも今日はみんなお弁当には手もつけずに会議が始まった。
ここに居るのはエスパー部隊の33人と友美っちと冬姉と私。そして房代さんだ。
まだ友美っちは体を震わせている。
くそ、Vっちめ、友美っちが凄いショック受けたじゃないか!。
スイッチから出てきたら、友美っちのためにVっちが一番恐ろしいといっていた『タマ袋毛の一気抜きの刑』にしてやる。
そして私の怒りの分として、『一週間連続で私のめがねを買いに行く刑』だ。
私がそんな事を考えながら友美っちの肩を抱いていると、エスパー部隊隊長の柏ちゃんが教室の前に立った。
「では不肖・佐藤柏が現状打破の会議議長をしたいと思います。
問題点は3つです。
一つはVさんがエスパー部隊を鍛える為に敵についたこと。
二つ目が、そのことで友美様がショックを受けたこと。
三つ目はVさんがエスパーよりも武道家が好きとカミングアウトして私達に思い入れが低いかもしれないのではという事。
これについて何か考えがある人は遠慮なく発言してください!。」
私は手を上げて叫んだよ。
「だったら、Vっちの計画を打ち破るしかないよ。Vっちはきっと敗北したエスパー部隊を一時的に見捨てると思うんだよ、だってVっちは敗北から何かを学ばせたいんだよ。
だったら冷たくして敗北の苦しみをたっぷりに味合わせようとすると思うんだ。
でもVっちにそんな冷たい事されたら私は死んじゃうよ。だから絶対負けられないよ!。」
すると、3班班長の巴マコ子ちゃんが手を上げた。
「それに、エスパー部隊を敗北させたいのだったら、友美様は関係ないでしょ。
友美様には一言あっても良いんじゃないかと思うの。
でもこれじゃ友美様まで一緒に敗北に落とすようなものじゃない。
これはVさんに反乱しないといけない事態よ。Vさんにはお仕置きが必要よ。」
5班の班長の本庄静香ちゃんも手を上げる。
「反乱しよう。勝利しよう!。でついでにVさんの認識をここで変えておきたいな。
Vさんは『マインドコントロールが外れる=私達がVさんに懐いてるのは終わり』って考えているみたいだけど、それとコレは別だって思い知らせないといけないと思うね。
だから私はあえて反乱してVさんに勝って、それでもVさんに忠誠を誓う。
マインドコントロールなんか無くてもVさんの私兵として高いプライドを持っていることを証明したいいね。私は私の欲望のために、Vさんの野望を潰して、愛をこめて罰を与えたい!。」
各班長も手を上げて
「そのとおり、Vさんにはお仕置きが必要!。野望を砕こう!忠誠を証明しよう!」
と言い出した。
うなずいて隊長の柏ちゃんは言ったよ。
「そのためにはVさんの野望に勝たないといけません。そのためにはどうやって勝つかです。
Vさんは作戦の運用が神レベルの人です、その作戦の意図を見抜いてどう倒すか?
それに集中しましょう。」
そこで急に友美っちが立ち上がった。
「そうよ、Vちゃまにはお仕置きが必要。一瞬とはいえ私やエスパー部隊を捨てるようなことは許さないよ!
勝ってVちゃまが私達を一瞬捨てる事さえ出来ないことを思い知らせてやる!」
全員がうなずいた。
友美っちは、さらに言葉を続けた。
「だから私は協力者を探そうと思うの。Vちゃまを倒せるほどの協力者が必要だよ。
Vちゃまは私に指揮者の仕事は他人に仕事を割り振ることだと教えてくれた。
だから『対Vちゃま責任者』も誰かに任命しようとおもうの。
でもこの中にはそんな人材は居ない。だったら外から見つけてくるしかないよ。」
おお、友美っち・・・なんか頼りがいがある。
そこで冬姉が割って入ってきた。
「わかった、では各班で候補に声をかけて協力者を見つけることにしよう。
複数の協力者が居たほうがVさんを倒しやすくなる。」
私は力強くうなずいた。
そうだ、Vっちを倒すのに、一人だけ協力者を増やす程度じゃ足りない。
もっと沢山居るんだ、Vっちを止める力が。
私は友美っちに叫んだ。
「そうだ!勝ってVっちの武道の秘密をもらおうよ!。
中国の時から感じていたんだけど、私はESPだけの女の子だからVっちの豚太への信頼に勝てなかった気がしていたんだ。
私はVっちから武道の秘密を教わり、ESPに頼らない女になりたいんだよ!武道エスパーになりたいよ。
だから友美っち、私もこの戦いは絶対に勝ちたい!」
友美っちは私の肩を鷲づかみにつかむ。
「それだよ!
私も前から踏み込めない壁を感じていたけど、その正体がやっとわかったよ。
私達は武道家になって、初めてVちゃまの心に踏み込めるんだよ。
勝ってVちゃまの秘密を丸裸になるまで奪い取ろう。
Vちゃまはスイッチから出てきたら『24時間私達を鍛える刑』にしょうよ。」
柏ちゃんはそこまで聞いて話をまとめた。
「みんな、Vさんに勝って、Vさんの真荒神流を奪い取ろう!。そのために各班有力そうな人員へコンタクトをとり、できたら明日にはココにつれてくるか、協力を確約した書面をもらってきましょう。!。」
エスパー部隊は全員で敬礼して「は!」と返事をした。
やってやる、Vっちめ。
逆にVっちに敗北の苦酸をなめさせてやる。
もっともっと強くなってやるぞ!!!がおおおー。
~~~~~~
友美達が居ない教室。
餡は不安そうに周りの生徒と話していた。
そこへ、優雅に兼松美羅があらわれた。
「おほほほ、本日の扇子を決められなくて遅れてしまいましたわ。みなさまごきげんよう。」
餡はすこしあきらめた顔で言った。
「美羅、遅刻は駄目だろ。美羅が居ないうちに友美も大変だったんだぞ。」
「おほほほ、そのことでしたら既にメールで連絡をいただきましたわ。Vお兄様の『鍛えるマニア』にも困ったものですわね。さて、友美さんはどうされるおつもりなのでしょうね。」
「そこだよ。どうしたものか・・・。そういえば、美羅はどうするんだ?」
「おほほほ、みなさんヤル気満々のようですから、ワタクシも張り切らせていただきますわ。十代最強決定戦という裏テーマもあるようですし。
ここはワタクシも本気でいかせていただくつもりですわ。おほほほほ。」
そこに、鼻息荒く友美が教室に帰ってきた。
餡は友美にかけよる。
「友美、もう大丈夫かい?なんか出来ることがあったらいってよ。」
すると友美は微笑んで応えた。
「ありがとう。でも私達は決めたよ、Vちゃまの野望を叩き潰して、Vちゃまにはお仕置きしてやるって。一瞬でも私達を捨てようなんて、命に代えても許さないよ。」
餡はホッとした顔をした。
「そうか、ポジティブになれたなら安心したよ、これで僕も安心して君達と戦える。
僕もこの武道会に勝って、V兄さんに『押しかけ弟子入り』する覚悟を決めたんだ。
この戦いに勝って、V兄さんと父さんの確執を飛び越えて見せると誓ったんだ。」
それを聞いて美羅は嬉しそうに話に割って入ってきた。
「おほほほ、友美さんは思ったよりもガッツがおありなのですね。
そして餡も『でも、でも』言うのをやめて突っ込むことにしましたのね。
それでしたら私も優雅さを捨てて全力で行かないといけませんわね。
そしてVお兄様の後継者の一人になりますの。おほほほ」
そこで友美はうっすらある言葉が頭をよぎる。
ほんとうに、ちょっと思いついた言葉だったが、我ながらゴロが良くて感心するような言葉だった。
各校のトップが、実質的には荒川武威に向かって突き進んでいる。
だから友美は咄嗟に思った。
この武道会は、友美達にとっては
「イケメンマスター争奪戦」
なのだと。
次回予告
芽守学園で学校一武道会が始まろうとしていたその時。
スウェーデンで大黒玄太は、艶女スイッチを所有する「イケメン好き好き修道院」を見下ろしている。
その玄太の横には6流派から集まった仲間達が居た。
のちの世界の運命を背負うかもしれないこの7流派との結束こそ、玄太が中国の戦いで見つけた答えだった。
中国で見たエスパー部隊の強さを自分も欲しいと思い仲間を作ったのだ。
玄太は修道院を見下ろして仲間に言った。
「V君は一人で戦った時は数人の雑魚に負けたこともあるという。だが仲間が3人居れば負ける気がしないとも言っていた。僕達は7人だけど、きっと10万人の敵でも倒せる!さあ、我らが名を叫びながら敵に飛び込もう!我らの名は、・・・・」




