その13 ヤンデレ発動の予感
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体育館裏、竹内館の出身者が、リーダーの大黒雅人を囲むようにしゃがんで集まっていた。
雅人は立ち上がるとみなに叫ぶ。
「俺達は、学校公認で頭を獲るチャンスを得た。学校一武道会とは俺達向きじゃないか!
だが敵は三校で仲良くやってやがる。俺達は孤立していて不利な戦いなるだろう。
だが勝つのは俺達だ!お前ら、気合入れるぞ!」
不良たちは、全員が腕をあえげ「おー」と応える。
全員が、やや興奮気味だ。
そこに、その場にそぐわぬような人間が、大きな荷物を持ってテクテク歩いてきた。
友美の乳母である、田島房代だ。
荷物で前が見えないらしく、ふらふら歩いてくる。
房代が雅人の横まで来た時、雅人は遠慮気味に房代に声をかけてみた。
「あ、あの乳母さんですよね・・・。」
「え、その声は雅人ですか?。おはようございます。」
そう言いながら、房代は抱えた荷物を地面において驚いた。
自分が、不良校の集会の中心に立っていたのだから。
「あ、お邪魔してしまったようで申し訳ありません。すぐに移動しますので。」
そう言って、いそいで荷物を持とうとする。
そこで、雅人は困った感じに房代に聞く。
「あの乳母さん、よくココを通るけど、なんか体育館裏がすきなんですか?。」
房代は雅人を向く。
「いいえ、駐車場の裏口がそこに有るもので、近道でここを使っているんですよ。」
そう言って房代が指差す方向には、確かに小さい柵の扉があった。
「それで昨日もココを通ったのか。いや俺達の事は気にしないでください。お邪魔しているのは俺達ですから。・・・っていうか俺も持ちますよ。」
そう言って房代が荷物を持とうとするのを制した。
しゃがんでいた不良も、数人「俺も持つよ」と立ちあがる。
「あ、ありがとうございます。」
すると、房代の通信機の外部スピーカーから声が聞こえた。
『雅人!おまえは良い男に育ったな。俺も嬉しいぞ!。』
その声に驚いて、雅人は思わず直立に立ち返事をする。
「ヴ、Vさん!いえ自分は当たり前の事をしただけです。玄太兄ちゃんも『ご婦人が重いものをもっていたら、持って上げるのが男の勤めだ』って言っていますし。」
『はっはっは、さすが大黒兄弟は立派だな。そうだ、実は雅人に俺から提案があったんでちょうどいいや、房さんもちょっと付き合ってもらえるかい?。』
房代は「はい」と言いながら通信機を首から外し、雅人に渡した。
『では雅人よ、俺は・・・実は学校一武道会ではお前に勝利して欲しいと思っているんだ。』
雅人も不良たちも驚いた。
「Vさん、、なんで俺に手を貸すんですか?俺はてっきりお姫様とお花隊に味方するんだと思ってたのに。」
『お姫様とお花隊?。』
房代は「友美さまとエスパー部隊の事ですよ」と補足する。
『ああ、お花隊とか呼ばれているんだ。でもあいつらはお花とは程遠い戦士達だ。業界最強と呼ばれているエスパー部隊で、あいつらのESPは素手で完全武装の特殊部隊を倒せる力がある。っていうか倒した。』
「そ、そんな。それじゃ俺達に勝ち目は無いじゃないですか。」
『おいおい、弱気になるな。エスパー部隊はあの中国で、玄太君を主力としてフォーメーションを組んでいた。つまり、一人ひとりの攻撃力や防御力は玄太君よりも低い。お前の常識を超えた存在じゃない。俺と組めばお前なら勝てると思うぞ。』
不良たちはゴクリと唾を飲む。
雅人はいったん仲間を見ると、すぐに通信に向かう。
「ですが・・・・なんで俺達の味方をしてくれんですか?。」
『まあそこは疑問だよな。実は俺は今までエスパー部隊を倒せる存在を待っていたんだ。で、お前達ならできると思ったから利用させてもらおうと思ってね。』
「なんでエスパー部隊を倒したいんですか?Vさんが鍛えた部隊ではないんですか?。」
『ああそうさ、俺が鍛えた。だから連中は俺に負けても悔しさを感じなんだ。
でもできるだけ安全に敗北を経験して欲しいと思っている。
でだ、この学校一武道会はその意味でうってつけだ。だから俺は一番エスパー部隊に勝てそうな雅人に力を貸したいんだ。
俺に利用されるのは癪かもしれないが、見返りはおおきぞ。
これで雅人は玄太君も手に入れられなかった『十代最強』の称号を手に入れられるんだ。どうだ?。』
「俺が10代最強・・・あの玄太兄ちゃんでも手に入らなかった称号を・・・・。」
雅人は少し考えて言葉を続けた。
「Vさん、俺はVさんに利用されるんじゃない。生意気かもしれないが俺の野望のためにVさんの目的を利用させてもらう。だから、力を貸してくれ!。」
『ふ、良い返事だ。それなら俺も安心してお前達を鍛えられる。
だったらこれから一週間、俺が竹内館を鍛えてやる。
鍛えながらエスパー部隊の特徴や弱点も教える。
エスパー部隊はお前達に負けた後は放り出して自分でのし上がってきてもらうから、その時はフォロー宜しくな。
だが雅人を鍛えるのは楽しみだよ、何だかんだ言ってエスパーよりも武道家の方が鍛えて楽しいしな。
俺の指導は厳しいかもしれないが宜しく頼むぞ。』
「はい、宜しくおねがいします!。」
雅人の後ろの不良達も立ち上がる。
「宜しくお願いします!。」
この会話を体育館の影から聞いていた集団が居た。
中等部2-Sの人間全員だ。
レクリエーションで体育館の見学に来ていて、偶然居合わせてしまったのだ。
荒川餡は「V兄さんが敵か。やっかいだな」と言いながら友美を見た。
すると・・・・
友美は手が真っ白になるほど固く握り締めて、目を見開いて小さく震えている。
餡は驚いて友美の肩を掴む。
「大丈夫かい友美、しっかりしろ。」
しかし、瞳孔を開いて硬直する友美は小声で呟いた。
「Vちゃま盗られた・・・・Vちゃま盗られた・・・・Vちゃまが敵だなんて・・・・どうしよう。」
慌てて芽衣は友美を抱きしめた。
「大丈夫だよ、Vっちは友美っちの味方だよ。大丈夫だよ。」
友美は叫びそうな自分の口を手で鷲づかみをするように押さえる。
傍にいたエスパー部隊の数人で友美を一旦教室に抱いて連れて行くのだった。
読んでくださりアリガトウございます。
田島房代マメ知識:不良たちの初恋をかなりゲットしている。




