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その9 池袋の武器屋

タクシーで池袋に着くと、ポケットに百万円の束を四つほどねじ込み車外にでる。

うーん人が少ない。


渋谷で人が何十万人も爆発して電車も止まっているのだから当然か。

最初に俺はカバンを駅のロッカーに隠した。

さすがに一億円を持ち歩くのは重過ぎるし、なくしたら大変だし。。


だがこれ安心。

よし身軽になった。

俺は小走りで目的の場所に向う。


向った先は麻草議員から教えてもらった友美がいる建物ではない。

じゃあどこに向っているか?

北口方面にある、人通りの少ない裏道を目指している。

人通りが少ないから、すぐにその通りについた。


ここは、池袋のなかでも最も危険な場所のひとつ「中華道り」。

今俺はそこに来たのだ。

池袋には中国人がうようよ居て、危険で日本人が足を踏み入れない場所がいくつかある。

この通りは、その中でも最も危険な道で、主に福建派の華僑の巣窟だ。

警察もココには近づかないから、もしもここで殺されても誰も気づいてくれないだろう。


俺が通りに近づくと、柄の悪い数人の若い中国人がガムをかみながら道をさえぎる。

ココからは日本人は入るなという警告だ。

まあ、警告があるだけ、この通りの主は優しい方だと思うよ。

川崎にある「番地の無い」地域では警告も無くイキナリ襲われるのだから。

警告が有るという事は、話すことも可能だという事だと俺は安心した。


だから俺の前で道をふさぐ若い中国人に、下手な中国語で語りかけてみた。

「武器を買いたい、日本語か英語の分かる武器屋を呼んでくれ。」


若い中国人は中国語で語り掛けれて少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になり「OK,OK」と言いながら電話をかけてくれた。


若い中国人は数分電話で話した後、俺の身体検査をしてボロいアパートに通してくれた。

座らされてお茶を出されたが、周りは6人の若いチンピラ風の中国人に囲まれている。


警戒されているな・・・ま、一見さんの客だから当然か。


俺が400万円も持っていたから通してくれたが、普通ならもっと交渉が難航すると聞いた事がある。

今は急いでいるから、このラッキーはありがたい。


しばらく待つと、つぶれたカエルみたいな顔をした男が現れた。

40才過ぎくらいだろうか、その男は調子のよさそうな笑顔で近づいてきた。

「わたしチャンと言います。あなたか、わたしから武器買いたい言う人は。わたし達から武器買ういうことは安い武器ではないよね。何欲しい?」


俺はポケットから100万の束を出す。

「これで銃と刃物、隠し武器と槍を用意して欲しい。この後俺は別のところからも同じ金で武器を買う気だ。そこと比べてあんた達がいい商人だったら次も俺はココで武器を頼む。銃は2丁欲しいがどうだ?」


チャンは俺の出した100万の束を素早く数えると

「100万じゃ銃1丁とマガジン4つだけね。刃物はもう50万だね。」


そう言いながら俺の顔を伺っている。

ま、俺が400万円持ってたことは知っているんだ。

おそらくこうやって交渉しながら俺から400万円全てもぎ取る気なんだろう。

まったく、今は交渉で時間を潰す暇は無いのに。


俺はため息を付くと出した100万円をチャンから奪い取りポケットにしまう。

「わかった、別の中国人を当たる。また次の機会にでも頼む」


そういって、俺は立ち上がると、一瞬まわりの若い中国人がこちらに動こうとした。

しかしチャンはそれを制してから


「あなた度胸いいね。まあ座ってお茶でも飲んでいくいいですよ。ところで何でこんな危ない武器が欲しいか?話によっては丁度良い武器や紹介するよ。」


なるほど、目的にあった武器屋を紹介してくれる気なのかもしれない。

俺は再び座りお茶を飲みながら、どこまで話そうか考えた。


うーん、ホントどこまで話そう。


嘘は後々身を滅ぼす。

だから話すならばさしさわりの無い範囲の本当の事を言う方が良い。

それにこういう連中は嘘に敏感だから余計本当の話のほうがいいだろう。

俺は数秒考えると、話す内容を決めた。


「俺は・・・渋谷の爆発テロの連中と戦っている。

信じられないかもしれないが、奴らは人を爆発させる武器を持っているんだ。その武器を守るために俺は戦ったんだが、連中によって俺の連れていた女の子が捕まってしまったんだよ。

調べたらその子はこの池袋で捕まっていることが分かったんで、取り戻しに行く。そのために武器が居るんだ。」


うーん、本当の事だけど・・・・

口に出してみると、俺の話ってホント胡散臭い内容だよな。

やっぱ、多少嘘を言えばよかったかな。


だが意外な事にチャンは『え?』という顔をした。

「あなた、あのテロの人しってるのか?私の仲間も沢山やられた。本当なら私に教えるよ、あいつらは何ですか?。」

チャンが意外に食いついてきたので、俺はどこまで話すか迷った。

当然イケメンスイッチのことは話せない。


「あいつらは爆滅団という連中らしいが、俺も詳しい事は知らない。

でも女子を助けないといけないから武器が欲しいんだ。素手で行ったらおれも殺されてしまうからな。」


チャンは俺の顔を注意深く覗き込みながら俺の話を聞いていた。

そして

「あなた本当の事言ってる。わたし嘘分かる。だがそれでもすぐには信じる難しい。その話本当なら、私も情報欲しいからそいつら捕まえたい。わたしたちは仲間の人大事にする。殺した奴は絶対許さないから。」

そう言うと、中国語で若い中国人に何かを命令しだした。

命令された若い中国人はうなずくと、走って部屋から出て行く。

そして俺に再び話し始めた。


「わかりました、ではこうしましょう。銃を二丁、刀と槍と九節鞭と隠し武器、それにナイフ用意します。でもそれでもあなた一人で敵倒すは難しいでしょう。あなたに銃を持った手下4人貸します。それで400万円でどうですか?。」


意外な展開に、俺のほうがビックリした。

いや、正直言えば嬉しい誤算といえる。

こいつらは、本気で渋谷爆発テロの犯人を捕まえたいようだ。

俺には迷う理由は無い。


ポケットから、さらに100万の束を三つ出しながら言った。

「わかった、それでよろしく頼む。戦いで敵をどうしようとあんた達の自由にしていい。しかし!とらわれた女の子を助け出すのは絶対条件だ。女の子が助け出せたら、もう100万ボーナスをだす!」


チャンはニッと笑うと、右手を差し出してきた。

「わたしとあなた、商談せいりつね。」

俺はうなずいて、チャンと握手をした。

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