第1話:世界をカケタ闘い
11月、3連休企画!
「ギャンブル好きってアンタのことか?」
「ん? そうだが」
「俺と賭けをしないか?」
好戦的な男の目に、神であるオーゼウスはテンションが上がる。
「受けて立とう! さて、何を賭ける?」
オーゼウスのハキハキとした物言いに、男も機嫌をよくした。
そして、男の口が開く。
「世界を賭ける」
男、サタンストはにんまりと笑った。
─第1話:世界をカケタ闘い
「やっちまったーー!」
「だからあれほど賭けは止めてくださいと言ったじゃないですか!」
オーゼウスは白の世界を創った創造主であるが、彼は賭けが好きという欠点がある。
今まで大層な負けをして来なかったオーゼウスだが、今回は大負けしてしまい、自身が創った白の世界を奪われてしまった。
「……オーゼウス様の賭け癖は大目に見るとして、相手をよく見てからしてくださいよ。相手はあのサタンストですよ!?」
「本当にすいません……」
オーゼウスが賭けで負けた相手は黒の世界の創造主であった。
白の世界は人間が住む、いたって平和な世界であるのに対し、黒の世界は魔族がうじゃうじゃ住む所である。つまり、サタンストも魔族である。さらに言えば、魔王である。
その彼に白の世界を奪われ、しまいには天界からもオーゼウスは追い出されてしまったのだ。
「創造神として情けないですよ」
「しかし! 私が勝っていれば黒の世界を掌握で──」
「負けたくせに」
「すいません、すいません……。ミカエラ許しておくれよぉ」
オーゼウスは彼の付き人であるミカエラにすがりついて許してもらおうとしていた。
誰しも泣きついている方が神様だとは思うまい。
「泣きつく暇があるならこの世界を何とかしますよ。白の世界にも魔族が入ってくるんですから」
「そんな事言ってもなぁ。魔力も全然無くなっちゃったし」
「賭けバカがっ」
「ミカエラ、曲がりなりにも私は神だぞ!?」
「五月蠅い。……私は行きますからね」
「ちょ、待ってよ、ミカエラーー!?」
ミカエラは容赦なくオーゼウスを引き剥がし、置いていった。自分の仕える神の失態に彼は頭を抱える。
普段は一応しっかりしているオーゼウスなだけに、信用しきってしまったのがこの敗因だとミカエラは反省する。同時にオーゼウスよりも焦っている自分が悲しくなってくるのだった。
「ミカエラさん? 頑張りますから、一緒に世界を取り戻そう?」
「事の重大さを分かっておられますか?」
「わ、分かってる!」
「……まあ、いいでしょう。まずは残り3人も見つけないとですね」
本当に分かっているのかどうか怪しいオーゼウスに疑いのまなざしを向けながら、ミカエラは歩き出した。
オーゼウスはミカエラの顔色を伺いながら付いていった。彼も一応事の重大さを理解してはいるが、何とかなるんじゃないかと楽観的に考えている。
オーゼウスには4人の側近がいる。
オーゼウスとを含めその5人が天界で暮らしていたのだが、神が賭けに負けたせいでその全員が下界に来ている。天界に住むものは下界に降りると魔力を失ってしまう。
ミカエラは何とか集まってこの状況をどうにかしなければと思っている。彼1人ではどうしようも出来ないことも、オーゼウスが3人いるより、彼ら3人が来てくれた方が助かると考えていた。
たとえ魔力が無くとも、神に仕える4人はそれなりに強いのだ。
そう、魔力に頼りきっていた神とは違うのだ。
魔力の保有量が多いオーゼウスは魔力がなければただの人間に等しい。
「オーゼウス様、知っていますか? 貴方が一番弱いんですよ?」
「……だからこそのミカエラじゃないか!」
(この野郎っ)
殴りたい気持ちを必死に押さえたミカエラは深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
(こういう時は話題を変えよう)
何とか落ち着きを取り戻しつつあるミカエラはそんな事を思った。
「ちなみに、賭けの内容は何だったのですか?」
「ん? ああ、適当に見つけた家の朝食がご飯かパンかという賭けだ。私は絶対パンだと思っていたのにな。忙しそうな感じだったからパンですませると思ったんだよ。でも、ちゃんとご飯を炊いていたんだ。参ったなぁ」
「……この、バカ野郎がっ!!」
世界は黒く染まるのか、それとも白に戻るのか?
3連休、1日1話でおおくりします。
本当は連載の方書きなさいよ!
って感じなのですが、ちょっと待ってください。
ちょっと、お話を練ってます。リハビリ(?)という事でお願いします、許してください。
またもやコメディファンタジーです。
3話で終わるといいな……。
それでは、また明日!
2014/11 秋桜空