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アート オブ エデン  作者: M-47


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1/13

機械仕掛けの心

廃墟区画 最深部


「あのー?」


ユナは恐る恐る声をかけた。


「もしもーし?」


返事はない。


目の前には、半ば瓦礫に埋もれた一体の観察ユニットが横たわっていた。


機体表面には無数の傷。


一部の外装は交換されている。


だが完全な残骸には見えない。


むしろ、誰かが長い時間をかけて維持してきたような印象だった。


「死んでる?」


「完全停止状態です」


探索ユニットが即座に答える。


「だよね」


ユナはしゃがみ込み、機体を観察する。


側面には見慣れない刻印があった。


M-47


「聞いたことない型番」


「データベース照合中」


数秒後。


「該当データなし」


「え?」


ユナは思わず顔を上げた。


「そんなことある?」


「登録情報は存在しません」


「余計怖いんだけど」


探索ユニットは気にした様子もなく続ける。


「起動シーケンスを施行しますか?」


ユナは周囲を見回した。


崩壊した天井。


割れた壁。


積み上がった瓦礫。


正直、あまり長居したい場所ではない。


「うーん……」


少し迷う。


だが好奇心が勝った。


「やってみて」


「了解」


探索ユニットが接続端子を展開する。


数秒後。


M-47の胸部に微かな光が灯った。


ピッ。


沈黙。


ピッ……。


再び沈黙。


何も起こらない。


「起動プロセスは正常に完了しています」


「いや、全然起きてないじゃん」


ユナは機体を見つめた。


光学センサーはうっすら発光している。


電源は入っている。


それなのに動かない。


まるで――


起きているのに、起きる気がないみたいだった。


「んー……」


ユナは頬を膨らませる。


「このまま持ち帰るしかないか……」


もちろん返事はない。


だが、見れば見るほど違和感が増していく。


古い。


それは間違いない。


だが古い割に綺麗すぎた。


関節部には補修跡。


外装にも何度も交換された痕跡。


周囲に転がる他の残骸とは明らかに違う。


人の温もり。


そんなものが残っている気がした。


変だった。


ただ捨てられた機械には見えない。


誰かを待っているような。


誰かを忘れられないような。


そんな気がした。


ユナは小さく首を傾げる。


「ねえ」


応答はない。


それでも、ただの機械に向ける言葉ではない気がした。


「あなたさ」


少し考えてから、自然に口を開く。


「あなたの大切な人って、どんな人だったの?」


沈黙。


一秒。


二秒。


三秒。


その瞬間。


カチッ。


どこかで小さな機械音が鳴った。


探索ユニットが反応する。


「異常確認」


「わっ、なに!?」


ユナが振り返る。


M-47の光学センサーが、先ほどよりも明確な光を帯びていた。


まるで長い夢から目覚めるように。


機体内部でシステムが再起動していく。


《観察ユニット M-47》


《起動確認》


《記録媒体正常》


《観察ログを再生します》


ユナは思わず息を呑んだ。



              機械仕掛けの心 end...

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