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この春に社会へ出る人へ~新社会人へ贈るメッセージ~  作者: ful-fil


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新社会人~住む場所がなくなることもある

 義務教育で家庭科ってありますよね。

 あれを習って、家事全般が一通りできるようになるんでしょうか?


 家事は家庭で親から教わるものなんでしょうが、時代が変われば家事のやり方も変わってきますよね。

 畳の部屋で箒と雑巾が当たり前だった時代と、フローリングでロボット掃除機のある時代とでは掃除の常識も変わっているはず。

 私などは親から教わる機会が乏しく、総合的な家事のやり方が身についていない自覚があります。

 必然的に、息子にも『こうやるんだよ』と教えることができていないわけで。


 学校の家庭科でカバーできているんだろうか、と中学の家庭科の教科書を開いてみました。

 感想。


「ダメじゃん」


 教科書は全国共通ではありませんから、あくまでも我が子の使った教科書についての感想です。


 まず、『食』についてはかなりのページ数が割かれています。

 包丁の使い方から図で解説されており、なかなか親切です。

 レシピも数多く掲載され、これを読めばある程度は栄養バランスの良い食事が作れるでしょう。


 『衣』についても『食』ほどではありませんが、まあまあ実用的な内容です。

 ボタンの付け方が図解されていましたから、あとはズボンの裾上げが解説されてればもっとよかったかな、と思いました。


 そして『住』。

 ……実用性がない、と感じました。


 和風と洋風の違いとか、夏涼しく過ごすためのグリーンカーテンとか、社宅に押し込まれる新社会人に何の役に立つのか。

 狭い部屋の掃除の仕方とか、水回りの清掃管理の仕方とか、社会に出てすぐ役に立つ事柄を載せといてくれてもいいのに。

 こんな教科書だから汚部屋が発生するんだよ……などと教科書のせいにしてはいけませんね。

 教育は親の責任。


 うちの息子は学校の掃除は真面目に取り組む子でした。

 他のクラスメイトがサボっていても、自分一人だけでもきっちり掃除する。

 そんな清掃ボランティアみたいな息子でしたが、一人暮らしのアパートの掃除は勝手が違ったようです。


 だって狭いし。

 物が多いし。


 学校の教室だったら机寄せちゃえば何もない空間ができますが、七畳の部屋に『ベッド・机・椅子・モニター・扇風機・室内用物干し・収納家具』などを置いてしまえば、動かしようがないのです。

 そして徐々に散乱していく衣類、書類、買い置きの消耗品……。

 部屋の隅っこに立てかけてある掃除機は虚しくホコリをかぶるのみ。


 昔は『掃除は上から』と言って、高い所にハタキをかけて、ホコリを下に落としてから床掃除……という順番だったと思うのですが、狭い部屋の一人暮らしでこれってどうなんでしょう。

 ハタキをかけたら部屋に置いてある持ち物にホコリが落ちませんか?

 今時のハタキは静電気で吸着するから、大丈夫なのかもしれませんね。

 いっそ床掃除もハタキですればいいじゃん、狭い部屋ならそれで充分、と思う私でした。


 さて、私が現代の家庭科教育に疑問を抱いている頃、息子が正月休みで帰省してきました。

 そして一言。


「異動になるらしい」


 なんでだ。


「いつ?」

「わからないけど隣の県の支社に異動」


 配属されて一年も経ってないのに。

 しかも県外。


 二年や三年は今の配属先にいるものと思って、彼は夏に小型金庫を買っていました。

 盗難に備えて。

 そんなにすぐ異動になるなら買わなきゃ良かった、小型金庫。


 詳しく聞こうにも、本人もまだ詳細がわかっていない様子。

 実家を騒然とさせながら、彼はアパートへと戻っていきました。


 そして徐々に解明されていく異動の実態。


「異動先で寮が解体工事中らしい」

「住むところが決まってないらしい」

「住むところが決まるまで、ホテルの部屋を取るから、体だけ先に行くことになるらしい」

「少なくとも2月いっぱいはホテル暮らしらしい」

「今の部屋に次に入る人が決まっているらしい」


 ……。


 まとめると、こうです。

 彼の会社は人員削減と組織再編の真っ最中でした。

 支社の数を減らし、人員を三分の二に削減。

 必然的に、少ない人数で今までより広い地域をカバーしなければならなくなり、トラブル多発。

 彼が所属していた部署は解散、各地に散らばることになった。


 まあねえ、な~んかトラブル多いな~と思ってましたよ。

 ここでは書いてない問題もありましたのでね。

 私の知らないトラブルもあったのでしょう、問題だらけの部署が解散するのは当然のことです。


 だがしかし。

 入る部屋もないのに異動させるとは。

 組織再編の混乱ぶりが伺えます。


 次に異動してくる人が息子の今いる部屋が空くのを待っているわけですが、息子も入る部屋が決まらないと引っ越しできず、あの四階の部屋に荷物を置いたままでホテル滞在せねばなりません。

 本来ならトコロテン式に押し出されるはずが、先が詰まってて押し出せない状態。

 どうなるんだ、社会人一年目二度目の引っ越し。





 ……三月になりました。


 先日、息子の新しい部屋が決まりました。

 今月中頃に引っ越しの予定だそうです。

 ただし、その前に長期滞在中のホテルが改装工事につき一時閉館で、数日間実家に戻ってくることになりましたけどね。

 本っ当にケチがつきまくりだな、この会社。


 それでもまあ、一か月に及ぶホテル暮らしを経て、息子も一回り大きく成長したことでしょう。

 ウエストサイズが、じゃないですよ、社会人としての成長です。


 前の部屋は実家から車で一時間弱と近かったので、呼ばれれば気軽に行けましたが、新しい部屋は実家から車で二時間強……気軽には行けません。

 多少の困難は自力で乗り越えるか、近くにいる他人に手伝ってもらうことを覚えてほしいと思います。


 新社会人の皆さん、安心してください、普通は一年目でこんなにトラブル多発しません。

 もしもトラブル発生したら『山で遭難するのとどっちがマシかなぁ……』と遠い目になりながら乗り切ってください。


 そして息子よ、これを読んだりしないと思うけど、まあ頑張れ。

 何かあったら呼べば助けに行くから。



2026年3月3日 ful-fil



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