新社会人~住居が選べないこともある
この春から社会に出る皆さんへ。
そしてお子さんを社会へ送り出す親御さんへ。
おめでとうございます。
そして夢と希望でいっぱいの一人暮らしを始める皆さんへ。
心からのエールを送りましょう。
そして伝えたい。
世の中には『事実は小説より奇なり』なことがあるんだよ!
まず自己紹介から始めましょう。
趣味で主にコメディを書いているアマチュア作家、ful-filという者です。
年齢性別は非公開ですが、昨年社会に出た息子がいるとだけ明かしておきましょう。
このエッセイでご紹介するのは、その息子の就職と一人暮らしを始める様子を見て思ったことです。
短くまとめれば……。
「息子よ、体、丈夫で良かったな!」
……なのですが、これだけでは意味不明ですね。
それでは彼の身に何が起こったのか、順に語っていきましょう。
それは研修を終えた彼が配属先の支社のある都市へと引っ越す日の事でした。
実家を出て一人暮らしすることは確定していましたが、どこに住むのかは会社からの連絡待ちでした。
支社によって寮が用意されていることもあれば、民間のアパートを会社が借り上げて社宅として提供していることもある……と聞かされていました。
住むところが決まらなければ引っ越し荷物も送れません。
今か今かと連絡を待つ私たち(実家の親)。
そして届いた引っ越し先の住所と部屋の鍵。
立ち会った私たち(親)が見たものは……。
「窓、割れてる」
「思いっきりヒビ入ってるね」
まだ荷物を運びこむ前、下見の段階ですでに窓ガラスを横断する大きな割れ目が入っていました。
しかも部屋は四階、エレベーター無し。
まあエレベーター無しは仕方がない、妥協しましょう。
四階まで階段を上がるのも、いい運動になると良い方へ考えることにしましょう。
しかし割れ窓、おまえはダメだ。
「写真撮って、証拠として添えて会社に報告しよう。これは管理会社の手落ちだ」
「そうだね。こっちが責任追及されないように、今、ちゃんと言っとかないと」
これを読んでいるかもしれない若い読者のために解説します。
賃貸物件は退去する時、入居した時と同じ状態に戻さなくてはなりません。
これを原状回復と言います。
普通に使ってて自然に劣化する程度ならいいのですが、過剰に汚したり傷つけたりすると、補修費用を払うことになります。
そのために入居時に預けるお金が敷金と呼ばれるものです。
この敷金は何事も無ければ退去時に返してもらえるお金です。
が、壁や床に傷を付けたり、設備を壊したりしたら、補修費用に充てられるため、返ってこなくなります。
うちの息子の場合、賃貸契約が会社が借主となっているため、敷金は払っていません。
しかし、このひび割れた窓ガラス、もしも『うちの息子が入居してから割った』と見なされたら、補修費用を請求される可能性があります。
やってもいないことで費用請求されてはたまりません。
それ以前に、窓の割れた部屋に我が子が住まわされると思うと、むかっ腹が立ちます。
舐めとんのかワレ、といった気分です。
息子に窓ガラスを撮影させ、会社に報告させました。
数日後、業者がやってきて、新しいガラスに交換されました。
どうやら息子の前にこの部屋に住んでいた人が入居した時から既にガラスは割れていたらしく、その人も報告を出していたようです。
が、その報告がなぜか忘れられ、その人も気が弱かったのか強く修復を求めず、テープを貼って補強することでやり過ごし、修理されないままに一年が過ぎ、その人が退去しても部屋は会社が契約し続けているため管理会社はチェックに来ず……。
今回、強めの要求(割れた窓の写真付き)で担当者が管理会社に連絡を入れ、ただちに直された、ということのようでした。
寮(または社宅)があるからお部屋探ししなくて済んでラッキー、と思ってたんですけどね。
自分で選んでない物件は、こういう落とし穴もあるので気を付けましょう。
入居前からの不具合はきちんと担当者に報告して、直せるものは直してもらい、直せないものは入居時に既にこの状態であったことを証明しておきましょう。
クレーマーになれと言ってるわけではありませんよ、冷静に伝えるべきことを伝えるだけです。
誰が見たっておかしいんですから。
令和のこの時代に、県庁所在地の大きな町で、新社会人が入る賃貸物件の窓が割れてるなんて。
この部屋、他にも問題のある物件だったのですが、その話はまた今度……。




