表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シノビナイト★ ~世界最弱と判定された少女は、忍術で本気だす~  作者: PP
参乃巻:旅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/34

相応しき者(三段目)

最初の衝突のあと、

二人は同時に距離を取った。


わずか三歩。


だが、その三歩が

戦闘の意味を変える。


レイザーが肩を揺らす。


「……なるほどな」


シンの拳を見る。


黒い歪み。

魔装グリッチ。


拳二つ分、射程が伸びる。


普通なら誤差だ。


だが圧倒的な近距離を得意とする者は――

圧倒的なバフを意味する。


「近づく前に殴れるわけか」


レイザーが言う。


シンは静かに答える。


「殴れるだけじゃない」


次の瞬間。


シンの足が、

半歩だけ前に出る。


拳は振らない。


だが、レイザーは動いた。


横へ。


拳が来ると判断したからだ。


その瞬間。


シンの拳が伸びた。


空を切っていたはずの距離。


そこに、

突然“届く範囲”が現れる。


レイザーの肩が弾かれる。


「……!」


衝撃は軽い。


だが、意味が違う。


魔装グリッチは

単純な射程延長ではない。


距離の認識を狂わせる。


レイザーが舌打ちする。


「見た目と距離がズレてやがる」


シンは答えない。


ただ歩く。


一歩。


また一歩。


拳を振らない。


なのに、

レイザーは後退する。


それは直感だ。


“入れば殴られる距離”が

普通より外にある。


つまり。


中距離が消えている。


シンの周囲には

半径三メートルほどの

見えない圧ができていた。


そこに入れば殴られる。


だが、

入らなければ攻撃できない。


「……檻か」


レイザーが笑う。


中距離制圧。


これは

近距離戦の強者がやる戦術だ。


近づけば勝てる。


だから、

近づく前の距離を

全部支配する。


シンが拳を軽く振る。


空気が裂ける。


レイザーの頬に、

また拳圧が触れる。


「くっ」


今度はジョルトカウンタを

出せない。


理由は単純だ。


前進できない。


ジョルトブローは

体重移動で打つ拳だ。


飛び込む。


踏み込む。


相手の前進も利用する。


つまり。


距離が必要。


だが今、

その距離が存在しない。


シンは歩くだけで

その距離を潰してくる。


レイザーが、

ゆっくり息を吐く。


呼吸が整っている。


デラックスカツのバフ。


集中力。

地形対応。

持久力。


「……いいね」


自然と笑みがこぼれる。


「近づかせないわけか」


シンの足が止まる。


レイザーの口元が歪む。


「でもよ」


「俺の戦い方、忘れてないか?」


その瞬間。


レイザーが、

消えた。


安置テレポート。


ただの瞬間移動ではない。


安全地点を先に固定し、

そこへ飛ぶ。


そして。


次の瞬間、

シンの真横に現れる。


距離ゼロ。


ジョルトカウンタの距離。


レイザーの肩が沈む。


体重が、

拳に集まる。


「取った!」


だが。


シンの顔が、

少しだけ笑った。


その拳が来るより早く。


彼の拳が、

横へ伸びる。


普通なら当たらない角度。


だが。


魔装グリッチ。


拳の判定が、

レイザーの顎を捉える。


「……っ!」


レイザーの視界が跳ねる。


拳は浅い。


だが、

完全に潰された。


ジョルトカウンタは

発動前に崩された。


レイザーが距離を取り、

唾を吐く。


「……参ったな」


シンの周囲。

見えない檻。


中距離を全部、

支配している。


さらに。


風に乗って、

甘い匂いが流れる。


イチゴ。


泡クリームの残り香。


レイザーの足が

わずかに前へ出る。


近づきたくなる。


無意識に。


「……くそ」


彼は舌打ちする。


魅了。


意識では分かる。


だが身体が

距離を詰めようとする。


シンが言う。


「来い」


短い言葉。


レイザーが笑う。


「……お望み通り来てやるよ」


そして。


今度は、

真正面から踏み込む。


ジョルトカウンタ。


今度こそ、

真正面から。


拳がぶつかる。


空気が爆ぜる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ