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シノビナイト★ ~世界最弱と判定された少女は、忍術で本気だす~  作者: PP
参乃巻:旅

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21/23

世界

世界は平和になった。


……そういえば、私はまだこの世界のことを、ほとんど知らない。


施設から放出されて。

ダストと関わって。

忍術がこの世界で通じるか、それだけを確かめるように、私は走り続けていた。


戦えるか。

殺されるか。

通じるか、否か。


その問いばかりを握りしめて、

マジックアースという世界そのものには、ほとんど目を向けてこなかった。


ふと足を止めると、

世界はあまりにも静かだった。


「……なあ」


私が声をかけると、

レイザーとシンは同時にこちらを見た。


「この世界って、結局……どんなところ?」


二人は顔を見合わせ、

どちらからともなく、肩をすくめた。


「何もねぇよ」


レイザーが、あくび混じりに言う。


「マジで、何もない」


「自分のアセットを極めるか、

 誰かとLv1かLv2で試すか」


「飯に困ることもねぇし、

 病気で死ぬこともない」


「ケガしても、フェムトデバイスが全部直す」


シンも、淡々と続ける。


「努力が無意味とは言わない」


「だが、成果を披露する場は限られている」


「退屈なLv1。

 少しマシなLv2」


「それ以上は、

 ほとんど選ばれない」


言葉の端々に、

長い時間を生きた者の倦みが滲んでいた。


「だからな」


レイザーは、空を見上げる。


「この世界じゃ、

 自分で何かを見つけないと、何も始まらねぇ」


歩きながら、私は周囲を見る。


地面は、場所によって違っていた。


綺麗に整えられたタイルの大地。

そのすぐ隣に、

ただの土の地面が現れる。


掘っても、何も出ない。

鉱石も、遺跡も、骨もない。


高い建物に登っても、

見えるのは同じ景色の繰り返し。


意味のある“高み”は、存在しない。


「大体な」


シンが言う。


「この世界の人間は、三つに分かれる」


「果てを目指す者」


「何かを求めて、旅を続ける者」


「そして――」


「俺たちみたいに、

 魔法大戦で満たす者」


どれも、

生きるために必要な選択ではない。


ただ、

“暇を持て余した結果の行動”だ。


私は、歩きながら考える。


地球で命を受けていたころ。

天を突き抜ければ、宇宙があった。


大気圏の向こうに、

無数の惑星があり、

重力と法則が、球体に収束して存在していた。


それが、

世界の常識だった。


だが、この世界には――

宇宙がないという。


先人たちが、

どこまで行っても、

空の向こうには何もなかったと語る。


果ては、

本当に存在しないのか。


それとも、

まだ誰も辿り着いていないだけなのか。


私は、立ち止まった。


(……確かめなければならない)


この世界の外側に、

何があるのか。


もし、

この世界が“閉じている”のだとしたら。


もし、

どこかに“管理されていない場所”があるのなら。


――主君がいた場所へ戻る方法も、

そこにあるかもしれない。


私は、進む方向を定める。


「まずは……」


一歩、踏み出す。


「こっちだ」


少し遅れて、

足音が二つ重なった。


「俺もついてくぜ」


レイザーが言う。


「……面白そうだ」


シンも、短く続ける。


振り返らなくても分かる。


三人分の影が、

同じ方向に伸びていた。


戦いは、終わった。


だが。


旅は、

ここから始まる。

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