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シノビナイト★ ~世界最弱と判定された少女は、忍術で本気だす~  作者: PP
壱乃巻:施設

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2/20

施設

施設の中で、Lv2の話題はほとんど出なかった。


出たとしても、

それは「危ないからやらないほうがいい」という注意としてだ。


Lv1は娯楽。

派手で、安全で、失敗しても笑える。


Lv2は――

「現実的すぎる」。


負傷判定。

戦闘不能。

痛覚は制御されているとはいえ、魂が摩耗する。


それを、誰も好まない。


「わざわざ、そこまでしなくていいでしょ?」


授業の合間、誰かが言った。

否定でも、恐怖でもない。


当然という顔だった。


(……そう)


この世界では、

“そこまで”行く理由がない。


死ななくていい。

飢えなくていい。

働かなくていい。


だから、

命に触れる必要もない。


管理者たちは、外の世界について何も語らなかった。


「自由に生きていい」

それだけ。


危険も、暴力も、悪意も。

あるのか、ないのかすら教えない。


まるで――

子どもが転ぶ可能性を、最初から考慮していないみたいに。


(……優しいんじゃない)


(これは、放棄だ)


私は訓練室の隅で、ひとり動いていた。


アセットは使わない。

というより、使えない。


保存しようとすると、

イメージが“そこに留まらない”。


まるで、

私の中に、保存先が存在しないみたいに。


でも、それで困ったことはなかった。


忍術は、

元々そういうものだ。


型はある。

けれど、正解はない。


同じ術を、同じ状況で使うことなんて、二度とない。


だから私は、

魔造も、魔加も、アセットも、無視する。


一気に魔行へ。

一瞬で、現実へ。


管理者は言った。


「それは非推奨です」

「暴走の可能性があります」


知ってる。


暴走する。

だから、制御する。


保存された“安全な成功”じゃなく、

今この瞬間に通るかどうかだけを研ぎ澄ます。


それを、私は忍術と呼ぶ。


ある日、Lv3の説明が表示された。


誰も選ばない項目。

ほとんど冗談みたいな扱い。


――死亡した場合、敗北。


フェムトデバイスは介入しない。

魂の摩耗が限界を超えれば、完全な死に至る。


画面を見つめながら、私は思った。


(やっと、ある)


(ここだけは、娯楽じゃない)


Lv1は、見せ物。

Lv2は、事故。


Lv3だけが、

殺す気がある者しか立てない場所だ。


忍びは、暗躍する。


正面から勝たない。

称賛を求めない。


――ただ、

確実に終わらせる。


管理された安全の中では、

それは永遠に成立しない。


だから私は、妥協しない。


外の世界がどうなっているか、知らない。

管理者も教えない。


それでもいい。


(知らないなら、斬って確かめる)


十二歳になれば、施設を出る。


そのとき私は、

Lv3を選ぶ。


娯楽じゃない戦いを、

最初から、殺す気で。


霧は、まだ濃い。

――けれど、もう迷ってはいなかった。

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