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シノビナイト★ ~世界最弱と判定された少女は、忍術で本気だす~  作者: PP
弐乃巻:ダスト

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16/19

シノ(中)

効かない。


一つ、また一つ。


私は、引かない。


忍びは、諦めない。


シンの拳が、地面を抉る。

空気が、砕ける。


私は紙一重でかわし、

転がりながら――次を試す。


撒菱(まきびし)


古い。

地味。

誰もが知っている。


床にばらまく。

足元に注意を向けさせるための道具。


――踏まれない。


だが。


踏まれない、という事実が、

動線を限定する。


私は、その“避け方”を記憶する。


次。


目潰し粉。


石灰。

胡椒。

土。


混ぜて、投げる。


走馬が、反応する。


顔を逸らす。

呼吸を止める。


――だが、その動作が入る。


(入った)


私は、即座に距離を詰めない。


釣り野伏。


逃げる。

誘う。

追わせる。


忍びは、追われているときほど強い。


シンは、楽しそうに追ってくる。


速度が上がる。

踏み込みが深くなる。


(踏みすぎ)


次。


逆木さかき


折った枝を、

尖らせて、地面に突き立てる。


即席。

粗末。


だが、

“踏めない場所”が、また一つ増える。


空間が、削れる。


私は、飛ぶ。


空を蹴る。

天井はない。


壁走り。


実在した忍術。

現実でやるには、かなり無茶。


だが、

俊足の丸薬が、まだ効いている。


壁を、横に走る。


シンの視線が、上に向く。


その瞬間。


含み針。


また、地味。


だが、

距離が近い。


当たらない。

当てない。


視界に、入れる。


走馬が、

“死なない未来”を探す。


その思考の隙間に、

私は――消える。


隠れ身の術。


完全に消えるわけじゃない。

気配を、削る。


呼吸。

体温。

視線。


すべてを、地面に落とす。


シンが、立ち止まる。


「……」


探している。


私は、背後にいる。


だが、斬らない。


抱きつかない。


代わりに――

耳元で息を吐く。


それだけ。


走馬が、反応しかけて――

止まる。


(殺意が、ない)


私は、次の行動へ。


蜘蛛走り。


低姿勢。

四肢で移動。


人間の形を、捨てる。


シンの拳が、

空を切る。


その下を、潜る。


関節技。


限界を超えた怪力を前に、

痛みを情報として確かに残す。


時間が、流れる。


息が、乱れる。


どちらのものか、分からない。


私は、まだ試す。


遁術で生まれた水場を利用した水蜘蛛。


水面を、踏む。

ほんの一瞬だが行動パターンが変化する。

空間の定義が、また一つ壊れる。


シンは、笑っている。


本当に、楽しそうに。


「まだ、やるか」


「うん」


即答。


私は、汗だくで、

筋肉は悲鳴を上げて、

関節は、限界に近い。


何度も何度も丸薬で全回復をするも、

回復が追いつかない。


それでも。


私は、やめない。


“効かなかった術”を組み合わせる。


削る。

積む。

ずらす。


一つずつ。


シンの動きが、

ほんの僅かに、読めるようになる。


それは、勝ちじゃない。


だが――


対応できている。


私は、また構える。


次の忍術を、思い出す。


生前にあった。

確かに、存在した。


――そして、

まだ、試していない術を。


私は、笑わない。


ただ、

一歩、踏み出す。


忍びは、

最後まで、試す。


終わるまで。

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