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シノビナイト★ ~世界最弱と判定された少女は、忍術で本気だす~  作者: PP
弐乃巻:ダスト

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15/20

シノ(前)

視界が、まだ揺れている。


腹部に叩き込まれた衝撃は、致命ではない。


(……強い)


単純な評価だった。


魔法でも、技巧でもない。

人間の身体を、限界まで正確に引き上げた結果。


身体強化。

それだけで、ここまで到達する。


私は、すぐには動かない。


忍びは、まず“状況”を見る。


相手は、まだ余裕がある。

走馬は、使われていない。


(ここからが本番)


私は、袖の中で丸薬を生成する。


噛み砕く。


一粒目。

膂力の丸薬。


筋肉が、瞬間的に収縮する。

限界を超えた動きが、可能になる。


――代償は、崩壊。


長くは、もたない。


二粒目。

俊足の丸薬。


脚が、異様に軽い。

関節の警告を、脳が無視する。


(そのうち、外れる)


問題ない。


三粒目。

忍耐の丸薬。


痛みが、鈍る。

いや、違う。


痛みが、判断材料に変わる。


意識は、落ちない。

逃げ場も、なくなる。


四粒目。

生命の丸薬。


内部で、再生が始まる。


この世界では、

これはほぼ完全回復薬だ。


元の世界では、

考えられない贅沢。


だが、今は使う。


私は、踏み込む。


俊足。

床が、追いつかない。


拳が来る。


――避けない。


体術。


急所。

関節。

重心。


骨法術。


だが、通らない。


筋肉の密度が、違う。

衝撃が、吸われる。


(想定内)


私は、口を開く。


含み針。


至近距離。

視線の死角。


走馬が、反応する。


だが、致死ではない。


判断が、ほんの一瞬、遅れる。


その隙に――

強化手甲鉤。


刃が、皮膚を裂く。


浅い。

だが、確かに通った。


シンの視線が、私の手を追う。


(確認された)


刃は、すぐに鈍る。

だから、捨てる。


私は、深追いしない。


水遁の術。


水が、球状に展開し、

シンを包む。


――走馬。


即座に、抜ける。


水滴が、床に散る。


(回避ルート、固定)


次。


雷遁の術(弱)。


雷を、撃たない。


大気に、仕込む。


静電気。

微弱。

だが、持続。


完全異常耐性。


だが、

これは異常じゃない。


環境だ。


空間全体が、

わずかに、反応を鈍らせる。


シンの動きが、

ほんの僅かに、重くなる。


気づかれない程度。

だが、積み重なる。


時間が、流れる。


呼吸が、増える。

床の傷が、増える。


私は、分身の術を使う。


二人に、分かれる。


――両方、本物。


リスクは、ない。


忍びは、

自分を疑わない。


シンが、笑った。


「どっちが本物だ?」


「さぁ」


分身が、同時に動く。


前。

横。


選択を迫る。


走馬が、まだ使われない。


シンは、楽しんでいる。


拳を振るい、

踏み込み、

私たちを追う。


強化手甲鉤を、付け替える。


裂く。

鈍る。

捨てる。


また、裂く。


筋肉が、悲鳴を上げる。

脚が、外れかける。


忍耐が、意識を縛る。


(……まだ、動ける)


時間が、積み重なる。


粉末が、尽きる。

紐が、切れる。


それでも、私は動く。


シンは、楽しそうだった。


挑まれることを、

心から、楽しんでいる。


私は、抗い続ける。


忍びは、

試し続ける。


世界が、少しずつ削れていく。


戦いは、まだ終わらない。

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