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シノビナイト★ ~世界最弱と判定された少女は、忍術で本気だす~  作者: PP
弐乃巻:ダスト

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12/23

シン(前)

プッコに背を向ける前、

私は一言だけ残した。


「……またくる」


それで十分だった。


プッコは、嬉しそうに手を振っていたが、

私はもう見ていない。


扉のない巨大な箱を出ると、

街の空気が、少しだけ張りつめていた。


次は、音。


それが、レイザーの想定だった。


「本来なら、次は“音”のやつだ」


歩きながら、彼はそう言った。


「派手で、うるさくて……

 生きてるって主張が強いやつだ」


「……だった?」


私が聞くと、

レイザーは言葉を濁した。


「ああ。

 ……だった、はずなんだが」


その時。


空気が、割れた。


音ではない。

衝撃でもない。


ただ――圧。


前方に、男が立っていた。


いつから、そこにいたのか分からない。

現れた、という感覚すらない。


気づいた時には、

“そこにいる”。


背は高い。

体格は、均整が取れている。


余計な装飾はない。

武器も、見当たらない。


それなのに。


レイザーの呼吸が、わずかに乱れた。


男は、こちらを見る。


正確には――

私を見る。


「貴様が」


低い声だった。


「イトを屠ったか」


私は、答えない。


ただ、頷いた。


それだけで、

男の視線が、わずかに鋭くなる。


次の瞬間。


アイズが、警告を発した。


【対戦Lv:3 合意申請】


――早い。


情報が、ない。


それなのに、

こちらの存在を正確に把握している。


私は、一歩だけ下がる。


拒否。


申請を、弾く。


男は、気にした様子もなく言った。


「賢明な判断だ」


声は、淡々としている。


「だが」


一歩、踏み出す。


距離が、詰まる。


「俺は、お前を逃がすつもりはない」


名乗りが、遅れて来た。


「俺の名は、シン」


そして、続ける。


「“使っている”アセットは、三つだけだ」


三つ。


それは、この世界では異常だ。


「身体強化」

「完全耐性異常」

「走馬」


短く、区切る。


誇示ではない。

説明だ。


「ほしい情報は、そろっただろう」


再び、アイズが反応する。


【対戦Lv:3 合意申請】


「受けろ」


レイザーが、息を呑む。


常時発動。


“使っている”という言い方。


切り替えではない。

解除されない設計。


――単純。

だが、無駄がない。


「俺は」


シンは、真っ直ぐに言った。


「強い奴を倒したい。

 それだけだ」


欲もない。

歪みもない。


ただ、刃のような思考。


私は、少しだけ目を細める。


強敵は、屠る。


忍びの結論は、変わらない。


私は、合意にチェックを入れた。


世界が、切り替わる。


当事者だけの空間。


シンの足元で、

地面がわずかに沈む。


身体強化。


次の瞬間――


激闘が、始まった。

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