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第六十一話:反撃の決意


 霞ヶ関の地下、冷たい空気の満ちる記録庫を後にしたミオの瞳には、かつてないほど鋭い決意の火が灯っていた。


世田谷の実家に戻ると、そこにはすでに彼女の呼びかけに応じた仲間たちが集結していた。


 居間に並ぶのは、一ノ瀬、ルナ、そして九条院。さらに、プロの意地を見せるために駆けつけたボルグ、ヴィオラ、クロウ。


教え子の窮地に立ち上がった鬼瓦教官、伝説の剣聖ガルド、そして情報の鍵を握る久我。


「……みんな、ありがとう。私のわがままに、付き合ってくれて」


 ミオの言葉に、九条院がタブレットを操作しながら不敵に笑う。


「わがままだと? 勘違いするな折原。東京の地下で勝手に門を開こうなんて連中、九条院家の事業計画の邪魔でしかない。……情報網を駆使してアジトを特定した。奴らの本部は、新宿地下の廃棄された巨大ダンジョン跡地だ」


 九条院の提示した地図を、ミオの脳内で周防が瞬時にスキャンする。


『……完璧な布陣ですね。お嬢さん、作戦を伝えます。「三段階攻勢スリー・ステップ・コース」です』


 周防の戦術プランがミオの口を借りて発表された。


第一波(陽動作戦): ボルグ、ヴィオラ率いるBランクパーティーが正面から強襲。エリュシオンの改造探索者部隊を地上へ引きつけ、戦力を分散させる。


第二波(潜入作戦): 影縫の隠密術を借りたミオと、影の専門家であるクロウが本部に潜入。指揮系統と通信網を遮断する。


第三波(封印奪還): 本部最深部にある「古井戸の遠隔制御装置」を破壊。エリュシオンの野望を根源から断つ。


「……一ノ瀬くんとルナは、私のサポート。……一番美味しいところ、一緒に食べよう」


「喜んで。師匠に道を作るのは、一番弟子の役目です」 「絶対、誰も通しません! 私の盾で、みんなを守ります!」


 作戦決行は翌朝。ミオは一人、中庭の古井戸の前に座り込み、師匠たちと向き合った。


『……ミオ。シンクロ率を四十%まで引き上げる。……だがな、今のままでは三分が限界だ。……五分まで持たせろ。死ぬ気で霊素を練り上げろ!』  獅子王の叱咤を受け、ミオは体中の魔力を循環させる。


 一ノ瀬は広域斬撃『一閃・千本桜』を、ルナは範囲防御『絶対領域』を。


それぞれが死線を越えるための準備に、夜を徹して励んだ。


 出陣の直前、ミオは静かに師匠たちに語りかけた。 「……私、もう逃げない。この家も、師匠たちも、パパとママが守りたかったものも……全部、私のかけがえないものだから」


『……ハハハ、泣き言を言うなら今のうちだぞ、ミオ!』 『……お嬢さん、無茶は承知ですが……我々がついています』 『……お前は、もう独りじゃない。……行くぞ』


 翌朝、新宿。朝日がビル群を照らす中、芋ジャージの少女を先頭にした異形の精鋭部隊が、地下へと続く扉を蹴破った。


「……開店だよ。……お腹、空かせて待っててね、アルカディア」

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