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第十七話:『国立探索者特区からの招待状』

Eランクへの昇格が決まった翌日。


ミオの自宅のポストに、一枚の分厚い封筒が届いていた。  


差出人は「内閣府直轄・国立探索者管理特区」。


「……お嬢さん。お役所から直々のラブレターですよ。これは無視できませんね」  


リビングで封筒の中身を検分する周防が、眼鏡の奥の瞳を光らせた。


「なにこれ。……若手有望探索者・強化合宿? 参加報酬、五十万円……」


『がはは! さすがは首席、国もようやくお前の価値に気づいたってわけだ!』  


獅子王が書類を覗き込み、豪快に笑う。


 依頼の内容は、山梨県にある国立特区内の訓練施設で開催される、**「Eランク限定・次世代エース選抜試験」**への招待状だった。  


近年、ダンジョンの活性化に伴い、国は若手の育成に躍起になっている。


この試験で優秀な成績を収めれば、国からの多額の補助金と、希少な魔導装備の優先購入権が与えられるという。


「……参加するだけで五十万。これで屋敷の屋根の修理ができる。あと、叙々苑のワンランク上のコース」




「お嬢さん、思考が完全に肉に支配されています。ですが、これは良い機会です。国が管理する『龍脈の支流』に触れることは、あなたの修行にもプラスになるでしょう」


 周防の分析に、ミオは静かに頷いた。


 数日後。ミオは富士山麓にある、広大な国立特区の施設にいた。  


集まったのは、全国から選りすぐられたEランク探索者、約五十名。  


Aランクのような雲の上の存在はいないが、皆、各地方で「天才」と持て囃されてきた同年代の精鋭たちだ。


「おい、あれが噂の『芋ジャージ』か? 首席だってな」 「武道大会の映像、見たか? ありゃ絶対、インチキかハッタリだろ。あんな寝ぼけた女に負けるはずがない」


 周囲には、ミオをライバル視する同ランクの探索者たちが、それぞれの武器を携えて集まっていた。


特に、九州の支部で無敗を誇るというEランク最高位の少年、**一ノいちのせ**が、不敵な笑みを浮かべてミオに近づいてきた。


「折原ミオ。君の噂は聞いているよ。……だが、ここは実戦形式の試験場だ。道場の畳の上とはわけが違うということを、教えてあげよう」


 ミオはあくびを一つした。

(……めんどくさい。早く終わらせて、お風呂入って寝たい)


『……お嬢さん、あの少年、Eランクにしては良い練気れんきをしています。油断は禁物ですよ』  周防の忠告。


『ふん、たかが知れてる。ミオ、こいつらに「基礎」の違いってやつを叩き込んでやれ』  


獅子王が背後で腕を組む。


 試験の内容は、特区内に放たれたDランク相当の人工魔物『魔導ドール』を、制限時間内にどれだけ多く破壊できるかという、過酷なポイント制サバイバルだった。


「試験開始!」


 合図と共に、若き精鋭たちが一斉に森の中へと駆け出していく。  


ミオもまた、折れていない「新品の模擬刀」を手に、静かに地を蹴った。


「……五十万。叙々苑の……特選コース」


 執念にも似た食欲を原動力に、ミオの影が、他のエリートたちを置き去りにして加速する。  


ここから、ミオと「全国の天才(Eランク)」たちによる、格の違いを見せつけるサバイバルが始まる。


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