SCORE9:ツイン・ナーガ Ⅹ
・・・尺です。恐らく二つに分けないと尺が恐ろしく長くなってしまう恐れが出てきてしまい、例の八〇〇〇字越えになりかねない状況になってしまいまして。その調節のために実は二分することになりました。申し訳ありません。
終わる終わる詐欺、ホントすみません。
「そんなこと言ってホントはサボりたいだけだろ!!」とおっしゃるかもしれません。ですが、こっちも必死で出来る限り時間を割いています。ただ、いち早く提出するために内容が一〇〇〇字少なくなってしまっている事態もよろしくはありません。
投稿者失格、かもしれません。・・・だからと言って打ち切りにするような考えは一切ないのでご安心を。
それでは、どうぞ。
ホバーボートに乗っている人間は以下の通り。
第一陣はオグラ中佐及び第一・第二(リューベリックら四人)中隊の混成部隊が数機。そして「輸送」するのは貴族たち。ブラフとして騎士団も何人か入れておく。
第二陣はカール・レベッカ・キースたちソルジャー部隊、第一中隊と騎士団の一部の混成部隊。そして輸送するのはタリウス・クルバノフ王と閣僚たち。
第三陣では第一中隊のバルバロッサ小隊長率いる残りの部隊。
ホバーボートはW字で少し真ん中が出っ張った状態であり、Wの足を置く溝の部分でシールドを置き、そして隠れるという形だ。
貴族・・・とはいうが、実態は安月給の文官がそれなりを占めていた。だからなのか、そう言ったことにはある程度耐性があった。
ただ、一部の権力闘争に躍起になっていた貴族たちは不満気だった。国を売ろうと画策する者、自分の保身のために王を売って、帝国で再び貴族の地位をとろうとする者、逆に王に「最後まで戦え」と圧をかける者もいて、滅茶苦茶である。
そして、それらの貴族たちは別称なのか「蔑称」なのか、一般で「大貴族」と呼ばれる。
と、一緒のボートに乗っている騎士団のセルスに一般常識をローゼンバーグは教えられた。思えば、意外に面倒な所に降り立ったのかもしれない、そうローゼンバーグは思い始めていた。
とはいえ、その面倒さと今現に起きている非常事態とは、乖離していた。内憂外患といっても、その「外患」の要素が濃ければ今はそのことを無視せざるを得ない。
そして、いかに敵と遭遇しないように調節したところで、敵は来る。アークへシス軍の一同はショットガンで撃ち、敵をなるべく退ける。が、相手は空を飛べるジェットパック、「メイジ・ランサー」を持っている。機動力はホバーボートと比べそこまで差はないにせよ、障害物を無視できる点で言えば利は帝国軍にあった。
次第に当たらなくなっていった。敵も射撃角度を認識し、建物とホバーボートが通る通路を考え出した。その結果。
「た、隊長!いきなり敵がこんなにも!」第一陣は待ち伏せされた!大体三、四〇人の帝国軍の空挺部隊がつぶてと小型火炎瓶を当てんとすべく撃ってきた!
だが。
「予想通りよ!」オグラ中佐はむしろ興奮気味でショットガンを撃ち放った。次々とつぶての軌道が逸れ、そしてすぐさまビームモードに切り替えては空中で火炎瓶を爆発させた。かくして、面前の敵の半数近くを撃ち落とし、地面にたたきつけたのだった。その間わずか一・五秒。二丁のライフルを手に取って、何度も連射したのだ。・・・この二つのライフルのエネルギーパックはなくなったが。
「嘘・・・」先導部隊の面々は、彼女の神がかった射撃の腕に戦慄し、畏怖した。恐らく、第六連隊の中で一番強いのは彼女だ、そういう意見はもっともだろう。そして、それは誇張表現ではなく事実であった。
「ボーっとしてないで、さっさと脱出するよ!!」オグラに喝を入れられた一同は、再び周囲に警戒した。
だが、その努力も虚しく今度は第二陣・第三陣の方へと移ってしまった。敵はこちらの方に来ていない、「安全」と謳ってもいい位に。
「もしかしたら、さっきのが・・・!」彼女はミスを犯した。それは、彼女が殲滅部隊であり、後続の面々の輸送を補助する「決死隊」であったことに。つまり王がそこに居ないと悟られたのだ!
ショットガンの特性を利用されたからか。
「・・・合流ポイントまであと何メートル?」オグラ中佐は通信兵に聞いた。
「あと一三〇〇メートル。・・・まさか。」
「八人、いや六人だけでいい。屋根の上で戦闘を行う!」
「いや、待って下さい!そしたらここの指揮は誰が?」
だが、その通信兵に対するオグラ中佐の不気味な微笑みが全てを物語っていた。
「まさか・・・、そのまさか・・・」
「お願い?」
「・・・分かりました。あと一二五〇メートル、ここからの第二・第三陣まではそれぞれ七〇〇メートルですからね?!」半泣きになりながらもその通信兵は言った。
「了解!それで十分!」そしてオグラ中佐から直接、通信で命令を出された第一・第二中隊の陸戦部隊のエリートはそれぞれの通路の屋根に飛び立った。
第二陣にて。
「敵が非常に多くなった!かわし切れるか、キース!」クリプトンはキースに怒鳴っていた。
「分かっている!」彼らは、剣を抜かずに事態を対処した。両方はソルを使ってつぶての軌道を直接変えた。キースは手から生じた磁力場のような力で、クリプトンはというと・・・。敵兵と同じようにつぶてを用い、それを利用して敵の飛ばしたつぶてに当てて相殺していた。だが、どこか不自然であった。
彼は、カール達からしてみれば攻撃方法を察知されていなかった。
しかし、これでも「クルバノフ最強核のソルジャー」として名をはせている。彼がこんな中途半端な真似をするわけがない。カールはとても疑問に思っていた。が、その後、すぐに撤回することになる。
「これを使いたくはなかったのだが・・・。仕方ない。」そう言って取り出したのは、何とただの白い糸。円状のコイルに仕上げただけのただのワイヤー。だが、キースやアータルタは、危険物を見るような目で見ていた。
「嘘だろ!」
「本当に?!」二人は動揺していた。だが一瞬だけ、その一瞬だけだったが、彼らに隙が生じた。それは、致命的なミスだった。
「がら空きだ、今だ!!」ジルカン兵の一部が突出してきた。このままでは、色々まずい。ここには王様が乗っている!
「くそッ!」カールはブラスターを向けたが、敵はまさに特攻せんが事く突っ込んできた。
しかし。
「ほぉ。わざわざ近づいて来たとは。射程が短くなって助かるよ!」クリプトンはいきなり狂ったように敵を見ては、ワイヤーのロックをオフにした。すると、しゅるしゅると端から出て来た。クリプトンがソルで操っているのだ!
そして、彼は敵の首に巻き付けて切断した。一瞬の出来事であり、尚且つその光景はグロテスクであった。カールは、その様子は既に軍の作戦行動や山賊騒ぎで履修済みであったが、それでも直視はきつかった。
「で、誰が『がら空き』だって?」ジルカン兵に向けて不敵な笑みを浮かべると、クリプトンの袖の中から出て来たワイヤーがまるで空中を闊歩するが如く大きく動き、敵の行動に大きく影響を与えた。何しろ、いきなり障害物が建物と建物の間から生じたのである。
これは敵にとって大きな痛手である。「ワイヤーがあるのではないか、トップスピードで動いたら身が千切れてしまう、ならば切除せねば!!」と敵は躍起になって風のウェーブを起こすが、メイジ・ランサーの刃の部分かナイフを当てて切らない限り切れることは無い。真空波を起こしたら、味方の制御行動にも影響が出る。
市街地という制限された舞台で、ここまで用意周到に逃げまとう敵に敬意を表さずにはいられない帝国軍だったが、今そのようなことを悠長に言っていられるだけの余裕はなかった。
先程まで戦闘行動が行われていた村の中では、クルバノフの首都・カルナブルクや砂漠の前哨基地の戦闘状況を打開する物ができていた。いや、正確に言えば「データ」と言うべきであろうか。
帝国軍の士官に毒の刃で刺されたシャプト使い、シーディアを覚えているだろうか。彼女は生きていた。だが、すぐに昏睡する羽目になる。
自らが科学者にして閣僚のシュー・レイアン科学技術相は、彼女の掌にあるシャプトにとても興味があった。蜂の飛ぶ仕組みを応用した小型ロボットであったからだ。
村の駐屯地、そこの医務テントにて。
「・・・余裕があったらその仕組み・・・教えたいんだけど・・・。」
「いや・・・元気になったらで構わんよ。」だが、シーディアが昏睡するまでの短い間に、そのデータの存在を知らされる。
「アルミナは・・・?」
「この子もあの刺客と同様、昏睡じゃが・・・。」
「言ってなかったことがあるの。あの子には、・・・杖の先にある『媒体を無条件に壊す力』がある・・・。」
それを聞いたレイアンは、驚いた。そして、医療スタッフに怒られた。
「彼女は今でも重症化するリスクがあるのですよ!ただでさえ亜硝酸ナトリウムを直接摂取するという暴挙に出たんですから・・・」だが、そのスタッフの静止も他所に、シーディアは加えてこう言った。
「録音って・・・できたりする・・・?あの、カールたちが持っていたような・・・」もう限界に近かった。急いで録音マイクを第二中隊に持ってこさせる。
その時には既に、彼女の血行は悪いどころか悪化の一途を辿って行った。
「さあ、一回きりよ・・・。」そう言うと、その蜂から甲高い音がしたかと思うと、音が急に収まった。
だがすぐに、また再び音がしたが、今度は逆に低くなっていった。燃料不足ではない、よく見るとシャプトが崩れ落ちていった。中に内蔵されていた灰色の水晶はきれいに割れていた。
「・・・これで、良いのじゃな、シーディアよ・・・。」レイアンは彼女の顔を見た。やり遂げたような満足感でいっぱいだった。
「重篤!シーディアは重篤!直ちに医療スタッフは・・・」機械の甲高い音声が流れて、まさに第二の戦場がそこにあった。
まだまだ運ばれてくる重傷者、すでに息を引き取った者、それに涙する者、さまざまである。
そして外では、第二中隊による敵兵殲滅作戦が行われていた。ジェノサイド、人はそういうだろう。だが、決してそうではなかった。むしろ帝国軍は民間人(それも、アルミナだけではない)に対し被害を加えた。
途中、作戦を完遂すべく、S4を狙って手に取った火炎瓶と共に特攻をしようとした者がいたが、すぐにベン小隊の兵によって阻止され、ビームモードで音もなく崩れ去った。
「・・・コールよ。ちょっといいかのぅ。」コールのパワードスーツ宛てに届いた一通の音声通話が、事を大きく変える。
「何です?」
「あの悪名高い『メイジ・ランサー』を、ただの棒切れにする方法が見つかってのう。で、ホワイトスクエアにそのデータを送りたいのじゃが、生憎その機材ではエネルギー、音量上限がどっちもキャパオーバーなのじゃ。」
「・・・S4を使わせろ?いや、言いたいことは理解できてもパイロットが居ない以上は・・・」
「クレア・ユース一等兵。親の財力で買ってもらった民間小型S4を幼少期から操縦、元々パイロット志望じゃったのが筆記試験に落ちて泣く泣く陸戦部隊に・・・」
「待って下さい、何で閣僚、まして防衛相でないあなたがこの情報を?」
「老人を侮ってはいかんよ、小僧。」きつく言われたのだった。
コールは悩んだ。今、この場での最高責任者は明らかに自分だ。この場を乗り切らなければより多くの死人が出る。だからと言って、今、自分がS4を弄るとなれば・・・。
「ええい、法など気にしていられるか!」遂に決心した。
「その意気じゃ、ふぉふぉふぉ。」
コールの目は、覚悟が決まった目つきであった。
「アークへシス・クルバノフ一同に告げる!」それは、この星全体と母艦マーシャル6に向けて開いた全体通信であった・・・。
最終スコア、2・8日公開。




