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SCORE9:ツイン・ナーガ Ⅷ

 前回遅延に遅延を重ねて、尚且つ夜遅くに提出したこと、申し訳ございませんでした。


 という訳で、鬱憤が溜まりまくっているであろう読者たち!(情緒不安定)

 今回はちゃんとドンパチを含みます。

「まだ来ていやがる!!」

「どうする?!」

「知るか!!走れ!今、再び充満させた!早く!」ヴァンディ兄妹同士のイヤミの応酬は続いたが、今、自分たちが置かれている状況を理解していた。


 今、自分たちがここで例の騎士団を食い止めなければ、闘技場へと流れ込み、結果ウルツワイツ中将が不利な立場に置かれてしまうことになるという事を。こうなったという事は則ちマージ・ブリスツの隊長、アレインⅡ世が討たれたと判断できる。あまり愉快でない推測だったが、十中八九そうであろう。


「分かってる!!」そして、空洞内で大きな水素爆発が再び起きた。爆風の衝撃を兄のタングストが吸収し、妹のメグリ―は加えて追撃のために瓦礫の二、三粒ほどのつぶてをある程度の風力を使って射出した。金属音がしたが、恐らく弾かれたかもしれない。


 それはメイジ・ランサーの先端を中心軸に据えて、野球のバッティングセンターによくある三段ローター式ピッチングマシンのローラーを空気の回転で行い、射出するのである。これは最初に学ばされる一般兵の基本。

 例え得意分野が違えど、全員が学ばねばならないことはしっかりと学ぶ、それがジルカンのスタイル。


「やっぱ基本って大事・・・。」そう言って再びつぶてを何個も拾っては撃って、を繰り返していた。

「やっと気づいたか。」

「何よぉ・・・え・・・」愚痴の応酬はしばらく続いていたが、火の中から、何やらうごめくものが。よく見たら見覚えのある甲冑の形が・・・。メグリ―は絶句した。

「おいマジか。」

「逃げよう!」

「ああ!!」


 前に居るマージ・ブリスツの連中にも応援を頼もうとしたが、流石に分が悪い。

 いくらマージ・ブリスツの技量が並みの騎士団よりは上で、尚且つ一般的な騎士団の兵装であるブロンズは熱と爆風で溶かせて半分近く負傷させてリタイアさせられたとしても、銀の甲冑をまとっている特選騎士団にはあまり効果が無かった。

 そして、一番のリスクは騎士団の団長、クロードによる猛攻であった。彼はいわゆる「猪突猛進」をモットーにしているため、無茶苦茶な戦闘スタイルでもあった。だが、それだけシンプルな戦法であるにも関わらず、彼ら騎士団が国内随一の「戦闘集団」であることには否定できない。


「陛下ァ!!どこに居りますかァ!!!」クロードの悲痛な叫び声が、逃げるヴァンディ兄妹にも大きく響いた。




「・・・私たちは、いいので・・・?」闘技場内で、貴族たちも解放された。何やら腑に落ちない、そんな感じだった。

「私は、()()()()人間を巻き込みたくはないのでね。」リオは冷淡にも言った。彼は貴族を嫌悪していた。それこそ、どこの国のでも。国家権力者がまともでも、その取り巻きがまともであるという保証はない。


 加えて、この国のトップはまだ一〇代前半、いや身長的に言えばそれ以下かもしれない。それをトップとして奉ろうとして、「まだお若いので」という名目をこじつけ、実権を握りたいと誰しもが思っている筈だ。だが、この宰相が睨みを利かせているせいか、強硬手段にも出れずくすぶっているだろう。

 そのような状態だとしたら、今こうして区分けすることで示すことがどれ程彼らの自尊心たるものを打ち壊すことだろう・・・そう、リオは考えていた。


 彼の目論んでいる考えはこうであった。

 一、取りあえずこの幼王タリウスに降伏文書に書かせる。その後、強制的に武装解除して交易相手としてのパートナーシップを築き上げる(後者は文官の仕事だが)。

 二、もし仮に反乱の兆しがあれば、帝国軍ではなくクルバノフ国民によってそれを鎮圧させる。貴族同士による確執は帝国と同じ、ならばそれを利用する手はない。

 現に戦争で兵士になるのは一般人だが、いつだって戦争を始められる階級に居るのは貴族などの権力者である。その場合、プロパガンダ・間者をそれぞれ広報担当及びマージ・ブリスツに一任する。

 三、二の場合、最優先で王位につけさせるのはタリウスに、その順でまだ貴族の中ではまともな部類に入る・・・

 といった具合である。


 タリウスの考えは意外とリオや宰相テネフと一致してはいた。戦争はしたくはない、かといって貴族たちに反乱を起こされてこちらの方で戦争を起してもらっても不都合だった。

 だが、タリウスやテネフにとって、属国となるのは何よりも回避したいところであった。特にテネフは、ジルカンで苦汁をなめさせられた・・・いや、決して忘れがたき悪しき記憶がある。


 彼がまだ学生だった頃、同級生や教師陣から「属国の人間が高等な教育を受けられるものか」と常日頃から言われ続けていたのだ。まだクルバノフとジルカンが国境沿いでない時だった。この時、第五代皇帝サルファ・ジルカンの時代で、あまり良い時代とも言い難かった。付け加えるなら、「コバッティよりはマシ」である。差別は横行、第六代のパライトの時代が来るまで長く続いた。


 暗雲な学生時代の最中、一筋だけ光が見えた。それは、彼の家・・・郊外にあった安い集合住宅のようなもので風情は無かったが・・・から学園までの通り道にあったソルネラ粉製のパン屋の一人娘と親しくなったことだった。いわゆる「青春」と呼べるものがそこにはあった。

 彼自身、その思い出だけだったらどれだけ良かったことか。だが、後悔することになる。


 それは、彼が卒業間近で、彼女から食事に誘われて待ち合わせ場所で待っていた時であった。時間になっても、それから数時間たっても彼女が来ることは無かった。そして心配になってテネフがそのパン屋へと向かった。その時、彼は心臓が一〇秒止まった気分だった。時刻は、夜中の一〇時であった。


 一家が惨殺されていたのだ。実は、テネフは待ち合わせ場所に来る前に一度パン屋の方へ向かったが、「余計なおせっかいだろうか」とためらってしまったのだ。そして、このざまだった。太陽のように明るかったテネフの彼女の顔は今はもう動いておらず、そしてスカートには作りかけだったパンの粉と、()()()()()()()()白い液体がこびり付いていた。全員、首を斬られていた。


 彼はすぐに憲兵に通報した。彼は一時連行されたが、すぐに釈放された。彼が第一発見者だったからである。しかし、アリバイもあり、死亡時刻が一日前であったこともあり、彼は白であったことが証明された。だが、彼の心は晴れなかった。ドアの前には「閉店」としっかりと書かれていた。


 その後、彼は追われるように学園を中退。そしてクルバノフに渡った。


 ジルカン帝国は、それ以来テネフの脳裏から離れることを知らない。あの日々を、あの後悔を。


 そんな感情もいざ知らず、貴族たちは不満を露わにした。

「何故『関係ない』と!我らはクルバノフ王家に使える誇り高き—」

「その割には逃げていたではありませんか。」アークへシスの外務相、フレデリックは冷淡に、それも貴族たちを睨むように言った。


「なっ・・・!」

「もし、本当に誇り高いのであれば、王様の盾になることが筋ではありませんか?」

 言いくるめられていた。だが結局、アークへシスの一員と共に逃げる連中が殆どであった。


 そして、闘技場から脱出(という体で、あくまで『見逃してもらった』ことを悪く書かないように配慮した言い方ではあった)をしようとした際。とある情報がマージ・ブリスツの連絡担当から入った。

「騎士団がこちらに向かっています!!」

「この斧を持っている奴らではない、剣の方か!!」リオは声を荒げた。どうやら、クルバノフ王家の騎士団がここに向かって来ているようだった。アレインⅡ世のしんがり作戦は無謀だった、そしてヴァンディたちが時間を稼いでいるとはいえ、ずっと耐えられる訳ではない!


「成程。では、タリウス王の身柄だけは確保しろ!この小ささじゃ、緑の石の光径に入るだろうからな!」

 人さらいもいいところであった。だが、アータルタ、キース、クリプトン、そしてテネフには、止められなかった。何故なら、タリウスがリオに近づいた直後に、マージ・ブリスツの面々に早急に捕縛されたのだ。「動けば殺す、この王様を!」と耳元でささやかれて。幼王には聞こえない大きさで。


「では、出発する!さらば、カルナブルク!次合う時は帝国の旗が揚げられていることを願って!」リオはそう言って、緑の石を割って作戦を終わらせようとした。




「おい・・・お前、何か様子がおかしいぞ?・・・おい!どうした!!」闘技場の観客席でずっとメイジ・ランサーの照準を合わせていた兵士が、同僚の挙動がおかしいことに気が付いたが、だからと言って照準を合わせなければならなかったので、手を使えなかった。


 彼は、酒に酔った以上のふらつきで、まともに立っていられなかった。

「どうしたってぇ、何だァ!」この言葉を発した歪んだ笑顔の持ち主は、いきなりメイジ・ランサーを気遣った同僚に向けて、つぶてを高速で射出した。それは実弾のライフルにも劣らない速度だった。


 己の顔面が大きく削がれ倒れる最中、とあることに気が付いた。しばらく前、空を飛んでいる時に、彼は水筒の味がおかしいだのなんだのとずっとぼやいていた。・・・だからと言って、もう遅い。こえがでない。なにもいえない。


 くらい。こわい。


「何だ!何が起こっている!」リオは叫んだ。異常だった。味方の同士撃ち。それも錯乱状態に陥った自軍の兵士によって。毒か?!麻薬か?!

「何をしている!とっとと始末し・・・ろ・・・」だが、雄弁だったリオでさえも左太腿を撃たれた。その間、一瞬で何が起きたかを瞬時に理解した。今、人数的に異常が起きているのはおよそ一〇名。だが、その要因が未だにつかめていない。第一、何のためだ。うまく行っていた筈だ。何故、何のために!!


「いたぞ!陛下だ!」クルバノフ騎士団も加勢した。純白な金属の甲冑を身にまとったものであり、アークへシスのパワードスーツの色とは違う。そして、あのアレインがやられた今、彼らに対応できる者はいない。あれがやられるとしたら、その時は人数的に差がありすぎた時だ。だが、今、こちらには王の身柄はこちらのものだ。こちらにまだ軍配がある!

 逃げようとしていたタリウスは、リオの護衛に腕を掴まれ、そして胴と首を掴まれていた。

「こいつ・・・!逃げようと!」

「大丈夫だ、・・・よし・・・割るぞ・・・」かすれ声のリオの声と共に、緑の石を今度こそ割ろうとした。


 だが、そのリオの体を、この騒ぎに乗じてテネフが立ち上がって押しのいた。彼は今、両手は後ろで縛られて、脚も本来ならまともに動かせられないはずであるにも関わらず、大きく踏み込んで跳んだのだ!

 だが、その石は既に割られていた。

「何だと!お前もこの光に巻き込まれるぞ!」リオはテネフに言ったが、逆にテネフが不敵な笑みを浮かべた。

「これでいい!これで良いんだ!」そう、これで良いのだ。守りたい者を守れたのだ。これで、良いのだ。


「もう時間がない!おい!ギリギリのタイミングで良い、ここに投げろ!」リオは叫んだが、その護衛は、もう人だった物と化していた。眉間を撃ち抜かれていたのだ。山賊騒ぎの時のような、あの細い光の線を!


「これで、これで良い!多分!」オグラ中佐だった。そして、リオとテネフが光に飲まれてしまうのを見て、報告せざるを得なかった。

「ローゼンバーグ提督。・・・人質、これで四名になりました。」一部の軍人だけは残っていたのだ。知識枠としてカール、実戦部隊として第一中隊たちとレベッカ。少なくとも、今の帝国軍の対処を知っているのは第六大隊の中でも限られている。特に「マージ・ブリスツ」においては。皮肉なことに、カールはパイロットであるにも関わらず、学者のような立場に置かれていたのだ。


「死んだのか?!」

「いえ・・・緑の光に飲まれて。」

「そうか。ではあとの三名を連れて逃げれるか?!もちろん、あの幼王は大前提だ!!」ローゼンバーグは通信で告げると、オグラ中佐たちは作戦を実行した。

一応17日を予定しておりますが、今月もまたスケジュールがひっ迫しておりますので、万が一できなかった場合は、24日になります。ご容赦。


カール「つまりサボり・・・」

僕「違う!本当に忙しいの!!」

カ「じゃあ何で忙しいか言えって。」

僕「個人情報にあたるからいーやーよ!!」

カ「だらしない奴だなあ。」⇐どの口が。

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