SCORE9:ツイン・ナーガ Ⅶ
この作品を読んでいるもの好きな読者諸君!今一度この世界の火器についておさらいしたいと思う!
(ハイテンション)
・ノーマル・エネルギーライフル・・・一般兵が主に使う。すべての陸戦兵はこれを活用している。モードは3段階。
①ビームモード・・・これが一番スタンダードで基本。長めの線が出る。小出しでは出ないが、その分貫通力も大きくなっている。(しかし近年では小出しの方がコスパがいい、という統計も出ているため、一長一短。)
決して弱くはない。むしろ、次の奴がおかしいだけ。
⓶エレキ・ショット(ショットガン)モード・・・真打。対空・対人においてその効果を発揮する。ビームではなく、砂のような高分子。そしてショットガンのように出すには多くのエネルギーが必要。水流のノズルのように調節が可能。命中率も高め。
本来は敵を弱らせるスタンガンの用途のために作られたものだったが、高出力にすることで破壊力・スピードが倍増した。
コスパが良けりゃ大満足であった。
③実弾コイルガン・・・ゴミ。あって無いようなもの。パワードスーツには聞かない。生身の人間でないと効かない(⇐とはいえ本来はこの用途)。死に際の最後っ屁。
(バリエーションが豊富なため、別に他の火器を運用する必要もあまりない。)
・ブラスター・・・ノーマル・エネルギーライフルの小型(劣化)版。とは言うものの、実際この方が使いやすいという側面もある。ただしエネルギー容量は少なめ。用途に分けられて使われる。
・BM20(ビーム・マシンガン20)・・・かつてドイツのヘッケラー&コッホ(H&K)社が開発した実弾武装兵器「MP5」をエネルギーライフル用に置き換えた代物。
ただし本来実弾時代の性能はアサルトライフルと比べ貫通力が低い代わりに精度が良かった、という感じの代物。それが一転、ビーム兵器に置き換わってしまうと「ビーム兵器の頂点」と称された時代が一時期あった。
今でこそ対策がなされ、若干その人気に陰りが出ているものの宇宙空間、コロニー、どこでもブラスターと同じように重たくなく手軽に使えるため、警察の急襲部隊でも活用されるなど、幅広い。つまりオールマイティーで高火力、という事になる。(もうこの字面だけでも物騒。)
軍用は大容量マガジン(大容量かつなるべく小型なエネルギーパック)を用いられている。(命中率高めな軍人たち程、『鬼に金棒』が似合う単語はそうはない。)
※加えて「ネメシス」の住人であるエルナシア人には通じない・・・かもしれないと思われているが、本来エルナシア人はそこまで「ソル」の精度は良くなく、魔道杖などの道具が無ければ楽々と扱えない(人間が銃を持ってイキるのと同じような感覚)。
またビーム対策としてある程度確立されている水蒸気法でも、制御するために「ソル」を使いまくり、結局早めに燃料切れを起こしてしまう。その為役割分担のために集団で群れる。
アークへシスがジルカンに対する決定打となりうるのは恐らくそれだろう。
「あと二分でカルナブルクの上空三〇〇〇メートル!に辿り着きます!!」
一二〇人もの「カチコミ部隊」こと第一中隊を載せたシャトルの操縦士が声高に言った。彼らは暫く前、砂漠の基地から要人保護のための応援として来ていたのだ。そして今、その作戦を実行するに至った。
具体的な作戦としては、まず半数に分かれ、それぞれをAとBと置く。第一中隊長ジャック率いるAは王城から出口までの道を切り開く。それに対しBは王城からの脱出口に入り、かつ脱出口も確保する。
「どこにあるのか」という疑問はすぐに解消された。オグラ中佐が送ったGPSデータと幼王及び宰相が提示した情報によれば、王城の裏にある人工果樹園へ続くことが判明した。その為、彼ら第一中隊は迷いなく「要人救出」の名の元、軍事行動に出れたのである。
「総員、ホバーボート及び人用スラスターの準備を!」アナウンスが再び流れ込んできた。そして、次々とシャトルに詰め込まれていたホバーボートに乗り込み、武器・・・ビーム兵器のサブマシンガン・BM20とノーマル・エネルギーライフル(もっぱらショットガン用)の最終調整を行い、そして。
「アルファ・ブラボー共にスタンバイ!三、二、一、ゴー!!」シャトルの上部分が一気に開いた。そしてシャトルは一気に急降下し、折り紙のように綺麗にたたまれた天井から、次々とホバーボートが出動した。
ホバーボート自体は三〇〇〇メートルの落下に耐えられない訳でもない。むしろ、宇宙空間では自由落下以上の加速度を誇る状況において安定した動作を示せた。
ただ・・・搭乗員の事を考えていたわけではなかった。大きさはせいぜいS4を五人か六人で乗れるようにした、そんな感じであり、搭乗員はあくまで「馬乗り」に近かった。
つまり、落下中においては己の握力だけが頼りという事だ。いくらパワードスーツとて、それにも限界はある。
「た・・・隊長ぉ!!これ本当に・・・!」
「気にするな!俺だって初めてなんだこういうのはな!!背中にあるスラスターは一体何のためだ?!」
「ほ、保険の為であります!」
「分かっているなら空飛んでいる敵に注意を向けろ!!」部下の動揺は仕方のない、だからと言って看過するわけにもいかない第一中隊長・ジャック・ハーマントンだった。
そして、敵も黙っているだけではなかった。落下中であることに気づいたのか、次々と向かって来ていた。
「後方八時の方向、敵一二〇名!いや一五〇、一六〇・・・!増えていきます!」全体のチャネルに流れて来た情報は、まさに叫ぶようであった。
「伏兵か・・・敵はまだ一部だ!これから先かなり増える!気を付けろ!」
「「了解!!」」そして、先に降下したホバーボートから、次々と安定して地面すれすれの地点で落下が止まった。
「Aは俺に、Bは第一小隊のバルバロッサに続け!!手遅れになる前にオグラ中佐とローゼンバーグの元に辿り着くんだ!!」
ジャックが言った直後、例の敵が落下シークエンス終了間際に撃ってきた。やはり、弾を飛ばすには杖のような媒体が必要なようだ。
見逃す理由はなく、他の第一中隊の陸戦隊が撃墜させた。例の緑の光は作動しなかった。ただ、撃ち落としたのはショットガンではなくビーム兵器のBM20で。どうやら、彼らは攻撃しようとしている最中は水蒸気シールドを張らない、いや疎かにする傾向にあるようだ。
しばらく前にカールが情報を伝達させていたのが功を奏していた。
「・・・オグラ中佐、どうやら彼らは『ソルは一度に別の動作をできない』という特性があるそうです。」
「マルチタスクができない?・・・詳しく教えて欲しい、カール。」
「ええ。彼ら曰く、ソルを使うのに相当な集中力がいるために、それ故に生半可な制御では動かない、と。例えるなら、『片手でピアノのソナタを弾きながら、もう片方の手で野球のボールを一五〇キロ近くで投げる』という芸当な様らしいです。」
「・・・あの『アータルタ』でもできないの?」
「はい。」
「クルバノフの中でも随一、とも称されるアータルタでさえも?」
「そのようです。どうやら、『やらないだけ』ではなく、実際に出来ないのだと。」
「・・・一応、報告ありがとう。」
「それでは。」
「ええ。」
そのような会話の一分後、すぐに他の部隊にも伝達された。その内容は、
「仮にビームが弾かれたら、ビームとショットガンを同時に出したら対策しきれないから『積極的に』行え」というものだった。
これはあくまで仮定の話であった。過去形になってしまったが。ずいぶんと強引な仮定であることは否定できないが、それでもオグラ中佐は確信を突いていた。
これによって、第二中隊たちの全滅を防ぐことができたのである。バーバラとリンはそれの「毒見役」のような感じではあったが、それでもそれが重要な証明になっていた。
そして、そのような仮説だの証明だのを考える暇もない第一中隊たちは、すぐさまオグラ中佐たちの出てくるであろう脱出口へとホバーボートを進めた。
クルバノフの幼王タリウスは若干呼吸が落ち着かなかった。
「・・・早くサインをしなければ、ここに居る味方だけでなく、大勢のカルナブルク市民を殺すことになる。」リオはしびれを切らしていた。勿論、リオにそんなつもりなど毛頭ない。
むしろ、彼らを取り入れたい一心すらあった。なるべく平穏に済ませたい、それにはまだ年端の行かない少年を王位に据えているこの状態をうまく活用・・・脅迫まがいの言葉をかけているのであった。自分の良心をすり減らしてでも、この少年に嫌われてでも、穏便に済ませられるのであれば。
もっとも、その魂胆自体タリウスに勘づかれていた。子供だましもいいところだ。クルバノフからもジルカンへ密偵を送っているのだが、リオの情報は大抵「真面目で優しい愛妻家」というものに過ぎない。
そのような人間にこんなことを言わせる立場にも可哀そうであるとも勝手ながら思っていたタリウスだった。だが、その降伏文書のサインとやらも、内容はひどいものであった。
「一、以下の要項が守られていない限り、本国はクルバノフに全面侵攻をする。
二、食料にして軍事物資と直結するソルネラの輸出を、優先的に本国へ送るものとし、そして本国は一定の市場価格で買い取る。
三、騎士団、及びソルジャーギルド含む全ギルドは反乱分子となりうるため、即刻解散を要求し、仮に彼らが職に付けなくなったら、全面的にわが軍への参入を希望する。予備兵力はとても貴重で・・・」
・・・この字面だけであればまだ、納得がいくのかもしれない。事実上のジルカンの入植ではあるが、軍事的な優位を覆すことは今のクルバノフには無理であり、尚且つ全体的な利で考えたら当然サインするに越したことは無い。
ただ、自分の直感が納得がいかなかった。確かに、リオ中将・・・彼はあくまで「悪人を演じたいが演じきれない善人」であろう。しかし、この文章は恐らく皇帝の息がかかっている。つまり、リオ本人の意思は関わってはいない可能性、というものも否定できない。いや、否定したいができない。
それに、この攻撃戦自体リオと皇帝の二人三脚。どちらか一方が、いやどちらもまともでない可能性だって。
「本当は、民を殺したいのか?」少年とも思えぬ目つきで、リオを見た。今、彼らの周りにはリオの護衛と例の二人しかいなかった。カールたちは、あくまで人質とも言えた。もしくは、リオの殺害を防ぐためにリオの周りと出口を阻まれているだけに過ぎなかったのかもしれない。
本来だったら、この賭けは危険な賭けだ。もしもただ単に領土を手に入れたいだけだったら、自分や他の者も殺せば良いだけの話。だが、彼はそれをしなかった。
それどころか、一方的でかつ脅迫的ではあれど、それでも「対話」の道をとっていた。だが、王自らがこのような質問をすることは、本当に危険であった。もし仮にその気になれば今ここで、殺すことも可能であることは否定できない。
「・・・それをやって、何のメリットが?不穏分子を生んで、それで我々の寿命を速めるつもりは無いし、第一『国民は国家の重要な資源。それをおろそかにしたときは、国が亡ぶときだ』、と皇帝陛下もおっしゃっていた。・・・まさか、あの言葉を本気で信じていたと?・・・タリウス王、貴方が書かなければ、この状態は解決しない。それに、これは我々や貴国らでさえも重要なことだ。」
これが、答えだった。
「で、では・・・。」
「そういう訳で、早く書いていただけるとこちらとしても非常に助かる。」そして、悩むに悩むこと二分、遂にペンを手に取ろうとした時。
「オグラ中佐!!」裏手から声がしていた。それは、第一中隊のバルバロッサ小隊長。この地下道まで、辿り着いていたのである。彼は道中多くの敵兵に遭遇し、それによって多くの血を浴びていた。全部返り血である。
白のシルバー・パワードスーツが赤に染まっていた。ショットガンが切れて、斧で突撃していたのだ。いくらソルの理力があったとて、パワードスーツは自分の重さを自分で支える、そして動作を動きやすくさせるといった正に「人間戦車」だった。
背後の叫び声から、リオは察した。我々は「アークへシス」と名乗る空の民をあまりにも過小評価しすぎていたことを。今ここで彼らを攻撃したら、いくら人数差があっても一時的に有利になるだけで作戦的にも失敗する。
だが・・・ここで負けて、「はいそうですか」と皇帝陛下がお許し下さるだろうか?曲がりなりにも空の民の基地を攻撃したのだ。我々の面子が、いや、私の命も・・・我々の命も、いや、陛下の命こそ危ぶまれる!
そしてすぐに切り替えた。
「全員、武装解除!彼ら『空の民』も解放しろ!」
「で、ですが閣下!」
「仕方なかろう!・・・だが、幼王だけは絶対に解放するな。サインを書き終えるまでは、な。」
結果、次々とアークへシスの関係者は解放された。・・・ただ、アータルタ、キース、クリプトン、テネフ、そして幼王タリウスは別だった。彼らは重要な「捕虜」であり、尚且つクルバノフの智と武をどちらも抑えた状態。
だが、さらに混沌を極める出来事が、先程オグラ中佐達が通った地下道の中で行われていた。
これ、後三パートぐらいかかるかもしれません。
追記:1/14作成。(前回は時間がヤバかったので急遽こうなった次第、きちんと次は。)




