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SCORE9:ツイン・ナーガ Ⅴ

 紅白が放送されている時間帯にこいつを出すのもいささか酷な話だろうとは自分でも考えている。

 とはいえ、今回はそこまで陰鬱な話では無い。では、どうぞ。(2026年1月3日更新します、結局年始もやることが多めで。)

 王城の地下には、隠し通路が存在した。とはいえ、その存在自体目新しいものでもない。現に地球の中世ヨーロッパ史においては、かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチが関わったとされているイタリア・スフォルツァ城の地下トンネルが発見されたと二〇二五年の三月にCNNで報道されたばかり。歴史的発見だった。


 そして、ここ「惑星ネメシス」の住人は、「ソル」と言う名の万能力学が存在していた。端的に言えば、分子を動かす、ただそれだけのシンプルな能力であった。エネルギー保存の制約こそはあるものの、高度な職人ともなれば少ないコストで石を粘土細工のように曲げたり、形を変えたりすることも可能である。

 その為、建築物及び初歩的なインフラ整備(とは言うものの、上下水道の整備、多少の浄水機能設備の構築・・・と、「初歩的」と位置付けるには失礼に近い程)は進んでいた。


 そのせいか、彼らの生活レベルがどの時代に区分されるのかが不明ではあった。第一、彼らエルナシア人の種がいつ起こったのかが不明なのだ。少なくともカールたちアークへシスには、ましてや「ネメシス」の住人たるエルナシア人にとっても。

 もっとも、そんな彼らのことである。地下道位作れる技術力は存在していてもおかしくなかった。だが、それが活用されるようなことにならない政治状況を作ることこそが、政治家としての役目である・・・相手国が聞く耳を持てば、の話ではあったが。


 そして、このような政治状況のおかげで、カールたちは今、こうして地下通路を通っているのである。決してこの幼い王様(カールたちから見れば傀儡政権のように見られているが)、本名タリウス・クルバノフの采配が決して悪かったわけではない。ケロセン・テネフ宰相の仕事に不備があったわけではない。

 ただ、ジルカン帝国との折り合いが付かなかっただけである。彼らはクルバノフの肥沃な黒色土が欲しかっただけである。自国で生産し、自国で消費する。貿易では搾取されるだけ、そんな風土が彼らには存在していたのであった。


 それは主に歴史的背景によるものであった。かつてジルカン帝国が亜寒帯と寒帯にしか領土が無かった時に、一時食料が入って来なかった時があった。彼らは主に鉄鉱石や石炭の輸出と食料の輸入による交易が盛んで、今の様に工業化をしていない時ではあったが、それでも主要農業国と同じ位には栄えていた。

 しかし、食料でソルの能力の源泉であるイモ類、「ソルネラ」及びその他主食作物が冷害によって大幅に収穫量が減少。輸出をしていた多くの農業国家が輸出停止に迫られた。国内の自給率でさえままならないのだ、当然の結果と言えた。


 だが、農業があまりできないジルカンでは、そうはいかなかった。彼らは主にウシ科の酪農を主に行っていたが、飢えを凌ぐために皆が食べ、一時的にその数が減少した。かつてアイルランドの芋飢饉のように、人口の減少も起こっていた。元は氷河のあった地域であるための、仕方のない事態ではあった。

 それでも、しぶとく生き残っていた。ジルカンの豊富な資源を輸入する近隣諸国は、ジルカンが無くなったら均衡がとれなくなる、資源が入って来ないとして余裕ができたら食料的な援助を行うなど、積極的とは言えぬまでも対応はしていた。

 そして大体冷害の後三年位すると、輸入量が再び回復し、また同じ生活に戻る、そんな均衡が保たれていた。

 そう、保たれていた。あの事件さえなければ・・・。




「ここに入った訳だ、総員追撃!八人私と共にここに残れ!」王城の謁見の間にて、帝国軍・マージ・ブリスツ部隊の面々は、急いでクルバノフの国旗の裏に隠れてあったドアを見つけては、開いて入ろうとした。しかし、隊長にして中佐のスクリード・アレインⅡ世が先程の発言の次にこう加えて警告した。

「だが十中八九罠がある!気を付けろ!歯車だかワイヤーだかがあの王様が通った後に、作動しているやもしれぬ!」

「「了解!!」」そして、残る三四人は後を追って行った。しかし、八人のみで守り切れるわけもない。なぜなら、王城には騎士団がいる。そして・・・


「陛下ァ!陛下をお守りしろォ!!」そう、その予想(、できれば当たって欲しくなかったその予想)は見事に的中した。クルバノフ騎士団団長・クロード・ヘルマン率いる王城駐在武官部隊が謁見の間に侵入して来たのである。

 彼らは、陛下に「彼ら『空の民(アークへシスからやって来た連中はこう呼ばれている)』を刺激したら良くない」という理由から、謁見の間から一部屋離れた所から待機していた。勿論、彼らは反対した。タリウス陛下の命を守るのが仕事である。


 いくらギルドの優秀なソルジャーが護衛に入っているとはいえ、不十分極まりない。そしてギルドのソルジャー部隊だけで十分だというケロセン・テネフ宰相の圧力で騎士団の存在意義を失いつつあったが、それでも王様を守りたい忠誠心と技量は本物であった。

 そして、その技量と、旧アメリカ合衆国海兵隊のように死を恐れない精神のせいで、スクリードにとって作戦成功の足枷になっていた。


「アレイン中佐!やはり罠が張り巡らされてございます!ワイヤーソーから鋼鉄の杭まで!!」部下の報告で諦めがついた。

「そうか!では、助っ人のヴァンディ兄妹に任せよう!頼む!」しんがりの八人の内、二人を割いた。そう、彼らはこの分隊に居たのだ。

「「了解!」」しかし、三歩振り返ってメグリ―は隊長に言った。

「じゃあ彼らはどうするので?!」

「知らぬ、行け!どぅせ()()のエスケープ機能を使うまでだァ!・・・おるァ!!」彼の手に握られているサーベルが、突進してくる騎士団の剣に当たって火花が二、三粒飛び跳ねる。


「「急げ!」」再三、兄のタングストと隊長のアレインに責められ、クルバノフ国旗の隠し通路の入り口に立ち、タングストに言った。

「もう水素ガスは充満しているのよね?」

「当たり前だ!撃て!」タングストに急かされ、発破した。メグリ―の誘爆にもコントロールは必要で、半径二〇メートルまでは気体の極一部を「揺らし」、熱を帯びさせることが可能である。しかし、気体全体の移動は苦手で、タングストがそれを担っている。息の合う兄妹だからこそ成り立つ技であった。


「これで多少の罠は機能しなくなった!後は工作班、頼む!」

「「了解!」」そして、ソルで多少壁や床を押し固めて、追撃するマージ・ブリスツであった。しかし、それを「本当」の騎士団が黙っている筈が無かった。


「六人だけでしんがりが成り立たん!!!」クロードたちは、もう二名のしんがりを倒していた。しかし、どちらもよく考えればおかしな話である。

 普通、大規模にソルを操る際に、魔道杖やメイジ・ランサーは必須である。でなければ、多くのエネルギーを無駄に消費してしまう。燃費が悪い。水流と同様、なるべく細く、そして集約する方がソルは強くなる。支えも必要。要は、「釣る時に支えとなり、浮きを遠くに飛ばすための釣り竿」という事だ。

 そして一番は人間に反応してソルの情報を伝達する灰色の水晶、「シルバークォーツ」を埋め込んでいる点であろう。これによって、コントロールも取れる。逆になければ、それは何処に飛んでいくか分からない危険物へと成り下がる。


 しかし、彼らは何もなかった。あるのは、自分の体を最大限酷使する戦法であった。物理攻撃を主に行うマージ・ブリスツと言えども、まして騎士団も、シルバークォーツを必要としていなかった。マージ・ブリスツの場合は手元にある武器を利用した飛び道具・中距離攻撃や、周りの環境を利用するパルクールと接近戦がもっぱらであった。

 それに対し騎士団は己の体を操り人形のように点と点の関係にして、関節を酷使する戦法であった。どちらの動きも人間離れしており、太刀打ちできない。だが、それはこの世界に住んでいる彼らにとってはごく自然で当たり前のことかもしれない・・・。


「・・・畜生、どうなっている?!」アレインは、後ろが気になっていた。もう、行ったかどうか。無事に辿り着けて、あの幼王を捕まえられるか。その時点で、戦争は終わる!

「覚悟ォ!」バレエのような剣裁きの後に、サイドジャンプで真横に一直線に飛ぶ騎士団の凶刃が、アレインの太ももに突き刺さった。そして、骨盤にまで達し得ようとした所を、サーベルで彼の剣を叩き斬った。だが、


「これで歩けまい!陛下に対する無礼!万死に値する!」そして、ナイフを振り下ろされようとした時。

「隊ちょぉぉぉぉ!」近くにいたしんがりの味方が、そいつをタックルしてくれた。

「今のうちに脱出を!」

「分かった・・・!つゥ・・・!!」足の痛みがやっと来た。急いで緑の宝玉を割る。しかし。すぐにナイフで刺殺された様子を見て、苦痛の表情がより一層深まった。


「団長!もう大分片付きました!」

「よし、すぐに跡を追う!避難経路自体はタリウス殿下から前もって伝えられている!問題ない!進むぞ!」そして、クロード団長のもと、騎士団たちは幼王の後を追うのであった。




「アレイン中佐が脱出(エスケープ)!」その報は、砂漠の大地の地下に掘った前線基地を大いに震え上がらせた。マージ・ブリスツの捕縛タイムリミットまで残り僅かだという事を。


「畜生・・・!あのメスガキめがァ!!殺す!あの白いあいつもだ!殺す、殺してやるぅァ!!」前線基地にあった転移ターミナルから、遅れて担架で運ばれてくる陸軍少佐が見えた。あれはどうも助かるかどうかわからない、とはいえ自分自身もどうか分からない身ではあったが・・・、とアレインは思うのであった。

 ・・・えぇ?キャラが多くて話が分からん?・・・仕方ないなぁ、じゃあ

アークへシスの皆「止めろぉ!殺すんだったらノクタリスだけにしろ!」

ノクタリス〃「止めろォ!殺ルんだったらアークへシスの既得権益者にしロ!」

クルバノフ〃「止めんか!殺るんだったらジルカンの過激派だけにしろ!」

ジルカン〃「止めんか!殺るんだったらクルバノフのマリィンズ(海兵隊)だけにしろ!!」


僕「じゃあみんな平等に。僕のモットーは『人類平等』だからねぇ・・・」

皆「止めろォォォぉ!」

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